ゼンハイザー コンシューマー事業部門売却も?その原因は?

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ゼンハイザー コンシューマー事業部門売却も?

オーディオ愛好家なら非常にびっくりするようなニュースが飛び込んできました。

あのゼンハイザーが、コンシューマー部門の売却の可能性を示唆するニュースです。

音響機器メーカー・ゼンハイザーがコンシューマー事業部門への出資を募集、部門売却も視野か
ドイツの音響機器メーカーとして知られるSennheiser(ゼンハイザー)が、社内にある「プロオーディオ」「ビジネスコミュニケーション」「ノイマン」「コンシューマーエレクトロニクス」の4ユニットのうち、「コンシューマーエレクトロニクス」に投資する強力なパートナーを求めていることを明らかにしました。

オーディオ・ビジュアル系のニュースサイトではもう少し柔らかく、部門売却というよりも「パートナーを探している」といった言葉にしており、悪いイメージを与えないように配慮しているような印象も受けます。

ゼンハイザー、今後はプロ向け事業に注力。コンシューマー事業は「パートナーを探している」 - PHILE WEB
ゼンハイザー、今後はプロ向け事業に注力。コンシューマー事業は「パートナーを探している」
ゼンハイザー、プロ向け事業に注力。コンシューマは「パートナーを探している」
独ゼンハイザーは現地時間の16日、同社の今後の事業方針として、プロフェッショナル事業に注力し、コンシューマー向けについては「市場での地位を強化するためのパートナーシップを確保することを目指している」と発表。共同CEOのDaniel Sennheiser氏、Andreas Sennheiser氏がメッセージを寄せている。

いずれにしても、ゼンハイザーは「プロオーディオ」「ビジネスコミュニケーション」「ノイマン」「コンシューマーエレクトロニクス」の4部門から成り立っているそうですが、このうち「コンシューマーエレクトロニクス」部門の売り上げが思わしくないのは確かなようで、部門売却も視野に入れた打開策が必須の状況なのは確かなようです。

「コンシューマーエレクトロニクス」部門は、オーディオ愛好家がゼンハイザーというとイメージするヘッドホンやイヤホンを扱っている部門であり、ゼンハイザーと言えば開放型ヘッドホン、開放型ヘッドホンと言えばゼンハイザーというほどにブランドイメージが確立されています。

ヘッドホンの輝かしい歴史を持つゼンハイザーなのに

実際、世界初の開放型ヘッドホンはゼンハイザーの手になりますし(HD 414)、開放型ヘッドホンによるモニター機と言えばロングセラー・HD 600をはじめ、HD 800といった名機が代名詞です。密閉型ヘッドホンについても、モニター用の世界的定番・HD 25があります。

一般ユーザー向けのヘッドホンもかつて「プリン」と呼ばれた開放型機・HD 598から、ほとんどそのままの内容の後継機・HD 599は今もって手頃な価格の開放型ヘッドホンの定番です。

これまでに挙げた機種はいずれも現在でも売れていると思っていただけに、ゼンハイザーのコンシューマー部門が実は苦境だったというのは驚きです。

ゼンハイザー イヤホン・ヘッドホン苦戦の理由を探る

どうやら、ヘッドホン・イヤホン業界全体としては売り上げは上がっていても、その内容・質がこの数年で急激に変わったことが要因にあるようです。

というのも、ヘッドホン・イヤホンはこの数年、急激にBluetoothワイヤレス接続タイプが販売の中心になっています。ゼンハイザーも時代に合わせるべく他社同様に製品をラインナップしましたが、それらの売り上げが芳しくなかったようです。

Bluetoothヘッドホンは屋外でも使えるモバイルタイプが基本で、屋外使用に適さない開放型が得意なゼンハイザーにとってはこの点も逆風だったかもしれません。

ゼンハイザーのBluetoothヘッドホンも音質面での評価は全然悪くなく、むしろ良かったくらいですが、音質を重視するあまりか、売れ筋価格よりも高い設定であることもまずかったのかもしれません。

また、アクティブノイズキャンセリング機能への需要も高まっていますが、この点ではゼンハイザーはボーズやソニーといった大手の競合メーカーよりも騒音低減性能が弱いと言われたのもまずかったのでしょうか。これについても、単に技術力がないというよりも、音質を犠牲にしないで騒音を低減する性能を追求した結果と言われており、実直に音質を追求するゼンハイザーの姿勢が仇になってしまったのでしょうか?

イヤホンにおいても、IE 800といった高級機が数年前までは非常に高い評価でした。しかし、ここ数年、中国メーカーも含めて多くの高級イヤホンが乱立。ナチュラルな高音質が持ち味のゼンハイザーですが、聴き映えのする派手なサウンドがややもするともてはやされる風潮でイヤホン業界での存在感が薄くなっていたのかもしれません。また、多くのメーカーが業界標準のリケーブル端子,MMCXか2pinを採用するなか、ゼンハイザーは頑なに独自規格を使い続けたこともまずかったのでしょうか。

完全ワイヤレスイヤホン市場において、ゼンハイザーが主導的になれなかった?

さらに、今イヤホン・ヘッドホン業界でもっとも重要な市場と言われる完全ワイヤレスイヤホン市場において、ゼンハイザーが主導的になれなかったのはかなり大きいようです。

ゼンハイザーも完全ワイヤレスイヤホン市場には参入しており、やはり再生音質を重視したMOMENTUM True Wireless、MOMENTUM True Wireless 2、CX 400BT True Wirelessなどを発売し、いずれも音質では高い評価を受けています。

ただ、これらも売れ筋よりも高い価格がネックになっていると言われてはいました。つまり、売り上げに貢献するライトユーザーを多数は取り込めなかったということでしょう。

最近、CX 400BT True Wirelessを期間限定ながら一気に40%も割引するというニュースがあり、その結果、一気に売り上げが伸びていたということもありましたが、その背景にはゼンハイザーのコンシューマー部門の不振があったのかと思うと複雑な気分です。

ゼンハイザーはほかにもゲーミングヘッドセットやヘッドホンアンプも発売しており(EPOSブランドとして展開、現在は分社化)、それらの音質的評価も高いのですが、それもより低価格なハイコスパモデルに押されていたのが実情のようです。おりしも、マイクロソフト社が12,000円の低価格でワイヤレス対応のゲーミングヘッドセットを発売することになり、この分野でもゼンハイザーは苦しいようです。

ヘッドホン業界の新たな局面に入っていることは間違いないようです

ゼンハイザーの開放型ヘッドホンの既存モデルはいずれも現在でも高い音質評価であり、その価値に変わりはなく、競合に対してもアドバンテージはあるのですが、つまりは、音質志向の有線ヘッドホン自体の市場が縮小しているということが大きいようです。

ヘッドホン業界の新たな局面に入っていることは間違いないようです。

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