Astell & Kern A&ultima SP2000T レビュー・音質情報など

Astell & Kern A&ultima SP2000T 約33万円のDAP

アユートは、Astell&Kernブランドのハイレゾポータブルプレーヤー「A&ultima」シリーズの第4弾モデル「A&ultima SP2000T」を10月15日より発売しました。価格は329,980円。

従来モデル「A&ultima SP2000」の後継機というよりも、バリエーションモデルのような位置づけ。

内容的には、AKのDAPとしてははじめて、ヘッドホンアンプ部に真空管（KORGのNutube）を採用しているのが特徴。2.5mm/3.5mm/4.4mm全てのイヤホン出力タイプに対応しており、幅広く真空管ならではの特性を楽しめます。

通常のOP-AMP(オペアンプ)モードとTUBE-AMP(真空管アンプ)モード、両者を組み合わせたHYBRID-AMP(ハイブリッドアンプ)モードの、異なる3つのサウンドを切り替えることができる新機能「トリプルアンプシステム」も搭載。

HYBRID-AMPモードでは、OP-AMPとTUBE-AMPの最適な比率を組み合わせた5つのパターンから、好みに合わせたサウンド特性が選べます。

AKシリーズ初となるクアッドDAC構成も採用。ESSのオーディオ用最新DAC「ES9068AS」を4基搭載。

最大384kHz/32bitのPCMとDSDに対応。MQAの再生にも対応。USB-DACとしても利用できます。USBデジタルオーディオ出力も入力端子兼用で搭載。

イヤホン出力は、3.5mmのアンバランスで光デジタル出力兼用端子を1系統、2.5mmバランス、4.4mmバランスも1系統備えています。出力レベルはアンバランスが3Vrms、バランスが6Vrms。

Wi-Fiは2.4/5GHzのデュアルバンド対応。Bluetooth出力も搭載し、コーデックはSBC、AAC、aptX HD、LDACに対応。

さらに新機能「BT Sink」を搭載。スマホなどの外部機器からの音楽をBluetooth入力してSP2000Tから再生できます。

動画/音楽ストリーミングサービス「V-Link（Movie/Music）」機能や、音楽ストリーミングサービスアプリ等をインストール可能な「Open APP Service」機能も備えています。

同じネットワーク上にあるPCやスマホ、FTP プログラムなどを使用して、ワイヤレスで自由にファイル転送できる新機能「AK File Drop」も搭載。

そのほか、音量の異なる音源を同一の音量レベルに調整する「ReplayGain(リプレイゲイン)」機能を新搭載。

外形寸法は約78.1×17.5×141mm(幅×奥行き×高さ)。重量は約309g。

フルHD(1,920×1,080ドット)解像度の5型ディスプレイを搭載。ストレージは256GB。microSDカードスロットを備え、最大1TBまでのmicroSDカードに対応。

連続再生時間は約9時間。充電時間は9V/1.67Aで約3.5時間、5V/2Aで約5時間。充電端子はUSB-C。

高価ではありますが、やはり真空管搭載と最新DACの組み合わせということもあり、十分に独自の存在価値はありそうです。とくに、真空管回路を採用したDAPはほかにもありますが、バランス出力時には真空管が使えないモデルもあるので、本機はその点でもアドバンテージがあります。

また、真空管とソリッドステートとのハイブリッド使用時も、比率の異なる5パターン用意しているのも他にはない特徴です。

本機の音質への感想やレビューについては、基本的に価格なりのレベルを有しているという印象。ただ、すでにAKの同価格帯以上のDAPを持っている人が買い足す、買い替えるほどかについては意見が分かれているようです。

いわゆる真空管サウンドを好むかどうかも本機への評価へのポイントになりそうです。たとえばオペアンプのみの音質のほうが気に入るのであれば、本機の使い道としてはもったいないでしょう。

また、拡張性の高いAndroid OSそのものを搭載していないため、ハイレゾストリーミングなどの新サービスに容易に対応できない点にも留意が必要です。また、現在対応しているサービスも今後使えなくなる懸念もあります。

独創的かつ、音質的な魅力にも溢れるDAPですが、これ一台買っておけば幅広いユーザーニーズをカバーできる万能機とは異なる方向性とも言えるのではないでしょうか。

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