アキュフェーズ(Accuphase)は、純A級のステレオパワーアンプ「A-80」を2023年10月上旬に発売しました。価格は1,540,000円(税込)。
従来モデル「A-75」(2018年発売・税込み1,430,000円(発売時は1,320,000円から値上げ))の後継機。
AccuphaseのA-80とA-75は、どちらも純A級ステレオパワーアンプであり、基本的な回路構成は共通しています。しかし、A-80はA-75の後継機として、以下の点で改良が施されています。
:A-80は65W/8Ω、130W/4Ωを実現し、A-75の60W/8Ω、120W/4Ωから8%アップしています。
:フィルターコンデンサーの容量がA-80は120,000μF、A-75は100,000μFと、A-80の方が20%増量されています。これにより、低インピーダンス負荷ドライブ能力が向上。おもに低域の再生能力が向上することが期待されます。
:A-80は129dB、A-75は128dBと、A-80の方が1dB向上しています。これにより、スペック上の雑音が抑えられ、よりクリアな音質の実現が期待されます。
:A-80は振動減衰特性に優れた『ハイカーボン鋳鉄製』インシュレーターを採用しています。これにより、外部からの振動の影響をより受けにくくなり、より安定した音質が実現されています。
:A-80のサイズは465D×515W×240Hmm、質量は44.6kg。A-75のサイズは465D×515W×238Hmm、質量は43.9kgです。A-80の方がわずかに大きく重くなっています。実用上はとくに問題ないでしょう。もともと重量級の大型パワーアンプです。
:価格は、A-80が¥1,540,000、A-75が¥1,430,000と、A-80の方が11万円高くなっています。
A級動作パワーMOSFET『10パラレル・プッシュプル出力段』
低雑音を実現したフルディスクリート構成の信号入力部
『 インスツルメンテーション・アンプ』採用
『 カレント・フィードバック増幅回路』搭載
『 バランスド・リモート・センシング』採用
『 MCS+回路』搭載
高ダンピング・ファクター1,000を達成
高効率大型トロイダル・トランス
ガラス布フッ素樹脂基板に実装された電力増幅部
高感度大型バーグラフ・メーターとディジタル・パワーメーター
4段階のゲイン・コントロール機能
ブリッジ接続への切替機能
プロテクション回路に直結された大型スピーカー端子
ショート事故を防ぐスピーカー出力プロテクション回路
機械的な接点がなく信頼性が高い『MOSFETスイッチ』
アルミ材ヘアライン仕上げのトッププレート
OFC導体5芯構造の電源コード『APL-1』
買い替えても家族に発覚しにくい同様の外観デザイン
RCA1系統、XLR1系統の入力
スピーカー出力2系統
これらの違いと共通点を踏まえると、A-80はA-75の性能をさらに向上させたモデルと言えるでしょう。特に、出力の向上とS/N比の向上は、音質面でのメリットとなりえます。また、振動減衰特性に優れたインシュレーターの採用により、音の安定性も向上が期待されます。
ただし、価格はA-75より11万円高くなっているので、予算と音質の向上度合いを比較して、どちらのモデルを選ぶか検討する必要があります。
純A級のパワーアンプで大出力・大音量をというニーズに対して、これまでも対応してきたのがアキュフェーズの最上位純A級ステレオパワーアンプ。モデルチェンジのたびに最大出力をアップさせてきました。
正直、一般的な部屋で一般的な能率のスピーカーを常識的な音量で鳴らす範囲であればどちらもオーバースペックかと思われますが、オーディオ趣味人のなかには、エキセントリックな、低能率で鳴らしにくいスピーカーを、大空間で大音量で鳴らそうという人もいます。そういった用途には新モデルがさらなる性能で応えてくれるのではないでしょうか?