アイワは、首掛け式スピーカー「ButteflyAudio」を発表。Makuakeでのクラウドファンディングを開始しました。クラウドファンディング後の一般販売価格は21,780円(税込/以下同)を予定していますが、Makuakeでは最大25%オフの16,335円で購入できる支援コースなどを用意しています。
ヘッドホンのハウジング部を取り付けたような独自形状が特徴の首掛け式スピーカー。首掛け式という点では似たようなスピーカーがソニーやボーズをはじめ、聞いたことがないようなメーカーまで参入し乱立している「ウェアラブルネックスピーカー」業界に新風を巻き起こすべく登場した意欲作。
2017年に新体制となったアイワ株式会社による“新体感サウンドギア”としており、三井知則社長は今回のButteflyAudioについて「『アイワ』ブランドの復活の狼煙をあげる挑戦」と意気込んでいます。
耳から約5cmの場所に100mmの大口径スピーカーを配置することで、「ユーザーだけが大迫力を楽しむことができる」のが魅力としています。
スピーカー位置は調整可能なので、好みの音質や空間表現性のバランスに調整することも、ある程度はできるかもしれません。また、装着が容易なようにネックバンド部分はエラストマー素材で柔軟性を持たせています。質量は約340g。
ヘッドホンのように耳を塞がないため、周囲との隔絶もなく、周りの人との会話も普通にできます。ただ、周りの人への音漏れはそれなりにあるでしょう。
低音をしっかり感じられるように、ノイズキャンセルの技術を応用し、低音域の逆位相の音を被せて低音を拡散させない独自の方式も採用しているというのも注目点。どうしても開放的な構造だと低音が環境内に逃げてしまい、結果としてリスナーの耳に届く低音が薄くなるというウェアラブルスピーカー共通の弱点を低減している点では大変興味を惹かれる技術です。
Bluetooth送信機能がない場合や、一般的にBluetooth送信機能を持っていないテレビとの接続用に、Bluetooth送信機も付属。
Bluetoothは本体、送信機ともにバージョン5.0で、SBC/AAC/aptX/aptX LLコーデックに対応。現在普及しているコーデックではもっとも低遅延なaptX LLに対応しているので、動画やゲーム(内容にもよりますが)での使用も可能。
送信機は3.5mmステレオミニジャックと光デジタル音声入力端子を搭載。幅広い機器と接続して音楽が楽しめます。送信機の外形寸法と重量は約60×60×15mm(幅×奥行き×高さ)、約50g。USB Type-C端子経由で給電。
ウェアラブルネックスピーカーのなかでは、快適性や総合的な使い心地よりも、音質を最重視して設計したようなモデル。そのためか、見た目や周囲への配慮という点では他社の人気モデルよりも分が悪そうです。
ただ、アイワの説明は音質面では期待できそうな内容が並ぶので、家電量販店などで実機が確かめられるようになることを期待します。
アイワというと、ソニーをはじめとする一流オーディオメーカーよりも安くミニコンポやポータブルプレーヤーを発売してくれ、予算の少ない若者にありがたいメーカーというイメージもありますが(1990年代までのこうしたイメージを知らない若い人も多いでしょうが)、一方では1991年に世界初のドルビーS NRを搭載した高級カセットデッキを発売するなど、意外なところで意外な実力を発揮するメーカーでもありました。
2017年の新生アイワは、以前のアイワとは同一ではないものの、かつてのアイワに在籍した人もいるという情報もあり、往年のアイワを知る者にとっては期待がかかります。
2017年以降の新生アイワは、かつてのようにラジカセやポータブルオーディオに再参入し、もっと商品展開を拡大するものかと思いきや、発売予定だったはずのDAPが出ないなど、少し心配気味の状況でした。
今回、アイワが得意とするゼネラルオーディオ的なジャンルに、思い切った新製品が出てきたことは、新生アイワが元気であることの証拠であるとともに、今後のアイワにおおいに期待させるに足る朗報だと思います。
著名なオーディオ評論家である故・江川三郎氏は、肩乗せで超小型スピーカーを近接試聴することで、本格オーディオに負けない高音質で音楽を聴けるという意見を持っていました。
ウェアラブルネックスピーカーもうまく設計することで、高音質なオーディオ再生の方法としても成り立つことをアイワには示してもらいたいですね。
ちょっと心配なのは、商品説明の写真が、よく言えばインパクトがあり、悪く言えば、何かの冗談で、ふざけた商品と誤解されかねない雰囲気なこと。一般の人には笑い目当てのネタ商品と思われてしまいそうです。オーディオ愛好家なら、説明を見れば真面目で真剣なのはわかると思いますが…。
そういえば、江川三郎氏が自身の説を説明する際にオーディオ雑誌に載せた、小型スピーカーを肩掛けする写真も、オーディオ愛好家の間で笑いのタネになったことがありました(現在もときどき5chで見ることがあります)。
オーディオ機器は音が良ければ売れるとは限らず、あまりにもスタイルが変わっていると思われると、売れないというリスクもあると感じます。
アイワが音のよさで、世間の誤解?を突破できるでしょうか(ウェアラブルネックスピーカー+aiwa)。
ウェアラブルネックスピーカー市場をリードするソニーに対抗できるか?
独創的な名機・SONY PFR-V1 を発展させたようなタイプも期待