ミックスウェーブは、アメリカ・Campfire Audio(キャンプファイヤー・オーディオ)のイヤホン「SOLARIS」「ANDROMEDA」について、国内取り扱いの終了を発表しました。
すでに販売された製品については、継続してメーカーにてサポートを行なうとのことで、すでに購入されているユーザーの方はご安心ください。
この2モデルのメーカーでの生産が終了するためとしています。
「ANDROMEDA」はアルミニウム筐体採用の5BAイヤホン。2016年6月18日に発売されました。
その独特なデザインの筐体と、緑の美しいカラーリング、宇宙をモチーフにしたモデル名、なにより煌びやかな音色によって、「ANDROMEDA」は一躍、高級イヤホンを代表する人気モデルになります。2018年のe☆イヤホン年間ランキングで、全有線イヤホンの中で売上ランキング1位にもなりました。これは大変な実績。Campfire Audioの名をイヤホン業界に知らしめた名機と言えるでしょう。
2019年6月21日にMMCX端子の耐久性強化や付属ケーブルの変更などが行われましたが、イヤホン部分は同じで、ロングセラーを続けていました。
Campfire Audioは、自身の代名詞となったこのイヤホンを最大限に活用しようとします。その結果、「ANDROMEDA」の名を冠した素材違いや色違い、チューニング違いなどの派生モデルがいくつも生まれ、結構なイヤホンマニアでも訳がわからない状況に? しまいには、5BA構成ですらない7BAの「ANDROMEDA Special Edition Gold」が生まれ、イヤホン愛好家の間にも困惑が広がりました?それでも、Campfire Audioはたくましく、今も「ANDROMEDA MW10」が発売中です。
「ANDROMEDA」は派生モデルが出ても販売を続ける、まさにCampfire Audioの看板的存在です。流通させていればCampfire Audioを儲けさせてくれる存在だと思ったのですが、生産完了。その真意はわかりませんが、「ANDROMEDA」に寄り掛からないブランドになるという意思の表れでしょうか?
一方、「SOLARIS」はちょっと事情が違います。2018年12月19日に発売されたダイナミック×1/BA×3の計4ドライバー構成のハイブリッド型。こちらも独特のデザインと印象的なイエローのカラーリングを持つ高級イヤホンです。
「SOLARIS」は音質面での評判は上々だったのですが、あるスキャンダル的な出来事がありました。それは、「SOLARIS」が使用しているBAユニットが、中国・Bellsing社製だということがひょんなことから判明するとともに、それが問題のあることだともわかったからです。
中国・Bellsing社は安価なBAユニットを作っている企業で、10万円を超えるクラスの「SOLARIS」で使用しているのはいかがなものか的な意見もあります。しかし、イヤホンのユニット供給メーカーを知らせる義務はないため、これだけだと何とも言えません。
しかし、そもそも「SOLARIS」が使用しているBAユニットが、中国・Bellsing社製だと判明したのは、BAユニットのトップメーカーであるKnowlesが、特許侵害でBellsingを訴えたからです。
どうも、元Knowlesの社員がBellsingに移って、Knowlesの特許を侵害するユニット(コピー品?)を作って、イヤホンメーカーに供給していたそうです。
Knowlesは実際に製品を買って調べ、メーカーと型番を特定した上で、発表もしています。そのリストの中にCampfire Audioの「SOLARIS」があったというわけです。
どういう経緯で「SOLARIS」にBellsingが使われたのかは、Campfire Audio自体が説明していないので、真相はわかりません。
それでも、このKnowlesの発表によって、「SOLARIS」というモデル単体だけでなく、Campfire Audioに対しての信頼を持てなくなったと思うユーザーは少なからずいるようです。そして、「SOLARIS」の生産完了。
「SOLARIS」はCampfire Audioの黒歴史になってしまうのか、それどころか、会社を傾けることになるのか、と思いましたが、Campfire Audioは意外にも?「SOLARIS」のバリエーションモデル「SOLARIS Special Edition」をこの騒動?のあとも元気に出しています。「SOLARIS Special Edition」はホタテやあわびなどにも似ていると評される独特のカラーリングが目立ちます。
こんな様子なので、Campfire Audioはこれからも元気に「ANDROMEDA」と「SOLARIS」の派生モデルを出し続けるかもしれません。
それはそれとして、オリジナルの「ANDROMEDA」は現在も高級イヤホンの名機として扱われています。特に、ケーブル変更以前の最初のモデル(旧モデルと言われます)のほうが「ANDROMEDA」らしい煌びやかさの点で、音がよいという人も少なくありません。
つまり、中古市場で人気があるのは「ANDROMEDA 旧モデル」です。こちらはすでに生産完了ですが、新モデルのほうも生産完了になったわけです。そのことがオリジナルの「ANDROMEDA」の中古価格にどんな影響が出るでしょうか?「ANDROMEDA」は人気モデルで販売数が多く、中古では手に入りやすい高級イヤホンとは言えです。
「SOLARIS」については「ANDROMEDA」よりも高価であり、また販売数も少ない、ユニット問題があるなどから、もともと中古流通量は少なく、だからといって中古市場で高い人気というほどでもないようなので、今後も劇的に中古価格が変動する可能性は低いのではないでしょうか?