アユートは、Astell&Kernブランド初の完全ワイヤレスイヤホン「AK UW100」を国内発表しました。価格は39,980円。製品の詳細や国内での発売日は、決定次第改めて発表するとしています。
海外の製品サイト
ハイエンドクラスのDAPでおなじみのブランドから、初めての完全ワイヤレスイヤホンが登場。DAPだけでなく、デスクトップ用アクティブスピーカーやBluetoothスピーカーなども出し始めていましたので、ある程度予想された展開ではあります。
独自のオーディオ回路技術と32bit Hi-Fi DACを搭載、aptX Adaptiveにも対応するなど、極めて高音質志向の完全ワイヤレスイヤホンです。
海外での情報によると、Qualcomm QCC5141のBluetoothチップを採用。これにより、最大24bit/48kHzでのハイレゾ受信が可能(送信側もaptX Adaptiveコーデックに対応している必要があります)。対応コーデックはそのほかAAC、SBC、aptX。左右同時伝送のTrue Wireless Stereo Plusにも対応しています。Bluetooth バージョンは5.2。
「ワイヤレス環境でも限りなく原音に忠実な再生に近づける」ため、Bluetoothのチップセット内蔵DACとは別に、旭化成エレクトロニクスの高性能32bit DAC「AK4332」を搭載しているのも大きな特徴。完全ワイヤレスイヤホンでBluetoothチップ内蔵DACを使わないのはかなり珍しく、相当に音質に凝っていると言えるでしょう。同様の方法を執っている製品例としてはSHANLING NW200があります。
Astell&KernのDAPに搭載されている独自のアンプ・オーディオ回路技術も組み合わせ、「極めて低歪みで高品質な音を実現」したとしています。Astell&KernのDAPというと高音質DAPの代名詞であり、ここに投入している技術が完全ワイヤレスイヤホンに生かされるのであれば、大いに期待したいところです。
イヤホンのドライバー構成はKnowles製BA(バランスド・アーマチュア)型をフルレンジで1基搭載した1BA型。これは価格を考えるとやや意外。感度:94 dB/mWと発表されています。イヤホン部の周波数特性は不明です。
BAを使うならダイナミック型とのハイブリッド構成か、マルチBA構成にするのが高音質志向の完全ワイヤレスイヤホンの一般的な設計ですが、ユニットを増やすとバッテリー持ちが大幅に悪化するのを避けたのでしょうか。BA1基でも極めて高音質なエティモティックのイヤホンもあるので、この構成で高音質を狙えると判断したのでしょう。
筐体には、人間工学に基づいたという五角形デザインと、クラス最高レベルというパッシブノイズアイソレーション(PNI)を搭載。一目でAKシリーズの製品と分かるデザインとカラーリング、質感に仕上げているのはブランディング上もさすがと言えるでしょう。アクティブノイズキャンセリング機能を搭載していないだけに、パッシブノイズアイソレーション性能はできるだけ高めていて欲しいところです。なお、外音取り込みのアンビエントモードは搭載しています。
そのほか機能面ではマルチポイントに対応しています。デュアルマイクによるクリアな通話品質も謳っており、通話用やリモートワーク用などのヘッドセットとしても活躍できそうです。イヤホン本体の操作はタッチ式。装着センサーを内蔵しており、イヤホン着脱により再生一時停止と再生再開の機能も有しています。
独自開発の専用スマートフォンアプリ「AK TWS」に対応。EQ調整や各設定が行えます。
バッテリー持続時間については、本体のみで6時間、付属の充電ケース併用で最大24時間の再生が可能としています。10分充電で1時間再生が可能な急速充電にも対応。充電ケースはワイヤレス充電にも対応しています。
イヤホン本体の重量は片側7g、充電ケースは65g。5サイズのイヤーピースが付属。
Astell&Kern初の完全ワイヤレスイヤホンとして大いに注目されるモデルでしょう。ANC機能がない、1BA構成などを考えると、やや強気な価格には思えます。そうした意見を一蹴できるほどの高音質を期待します。
機能面ではaptX Adaptiveに対応するなら、さらに上のグレードのSnapdragon Sound(24bit/96kHzに対応)まで対応して欲しかったところ。本機より安い製品でSnapdragon Sound対応機が他社に実際にあるだけに。(Cleer Ally Plus II、AVIOT TE-BD21j-ltdなど)これは、今後の製品でお願いしたいところです。
海外ではすでに発売されているため、購入者などのレビュー・感想が英語でネットに上がってきています。
海外でのレビューを読むと、音楽再生の音質については、極めて高い評価を得ているように感じます。どうやら、完全ワイヤレスイヤホンとしては最高レベルの高音質のようで、1BAから想像されるレンジ感の狭さも感じさせることなく、幅広い音楽ジャンルを魅力的に聴かせられるようです。さすがに超低音の力感には不足するようですが、それは無いものねだりの範囲でしょう。
音質以外の点では、外音取り込み、通話品質はそれなりのようで、やはり音楽再生用途中心に使うべきアイテムのようです。Qualcomm QCC5141はANC機能を内蔵しているチップなので、あえて使わないことへの残念さも一部ではあるようです。
実用面では防水性能の表記は全くないため、屋外やスポーツ時の使用に不安があるのも弱点と言えば弱点でしょう。
やはり、高音質再生特化型の個性派のようで、国内発売後のレビューもとても気になる製品になりそうです。
4/1追記:国内発売日が4月9日に決定しました。ファイルウェブのレビュー記事も公開されました。