アスクは、米AUDEZE製の平面駆動型ヘッドホン「LCD-1」を2月上旬に発売しました。オープン価格で、店頭予想価格は52,800円前後(税込)。
AUDEZEの平面駆動型ヘッドホン・LCDシリーズ最新機にして、これまでで最もリーズナブルな価格を実現した、エントリーモデル。
LCDシリーズでは初の折りたたみが可能になっているのもポイントで、250gの軽量・コンパクトさでモバイルヘッドホンとしての用途を強く意識しています。
ハウジングは開放型のオーバーイヤータイプ。堅牢なメモリーフォームイヤーパッドとヘッドバンドを備えており、コンパクトになると側圧が強くなりがちな点を抑え、長時間のリスニング中でもストレスの少ない快適性を実現しているとしています。
ドライバーは90mmで、独自の平面磁気技術「Fluxor Magnetic Technology」や、歪みを抑える「Uniforceダイヤフラム」を採用。N50ネオジウムマグネットを搭載。このあたりは定評のある同社の平面駆動ヘッドホンのノウハウが存分に活かされています。
周波数特性は10Hz~50kHz、感度は99dB/1mW、インピーダンスは16Ω。ヘッドホンケーブルの長さは2m。ステレオミニ-標準の変換アダプタや、ジッパー付きトラベルケースなどが付属しています。
モデル名や内容からすると、本機のすぐ上の上位モデルは、LCD-2 Classic(2018年・実売7.5万円程度)となりましょう。
LCD-2 Classic自体、2009年に発売されたLCD-2をほぼ踏襲したモデルで、ブランドを代表するモデルでもあります。
LCD-2 ClassicもLCD-1同様に開放型のオーバーイヤータイプ。ただし、室内利用前提で、折り畳みはできません。また、全体にLCD-1よりは大型で、重量の記載はありませんが、250gよりはかなり重いはずです。
AUDEZE社独自の平面磁気技術と、振動板に大型で超薄型のダイヤフラムを搭載しているのはLCDシリーズに共通する特徴です。
LCD-2 Classicの周波数特性は10Hz~50kHz、感度は101dB/1mW、インピーダンスは70Ω。明らかにLCD-1のほうが鳴らすやすいスペックになっています。特にインピーダンスの差は大きく、LCD-2は、スマホや安価なDAP、ポタアンでは鳴らしにくいことが想像される一方、LCD-1では、特に接続機器を選ばないのでは、というほど機器に優しいスペックになっています。
周波数特性はどちらも同じでワイドレンジ。ハイレゾ対応要件も楽々クリアしており、高精細で広帯域な最新ハイレゾ録音も十分に楽しめるでしょう。
LCD-1は軽量で折り畳みもできるので、屋外利用も想定したモバイル使用が可能です。ただし、音漏れの激しい開放型ですので、電車内やカフェなどでの公共の場で、大きめの音量で使用するのはマナーの上からも難しいと思います。近くに人がいない状況での屋外使用なら問題なく楽しめると思います。
メーカーとしては、レコーディングやミックスダウン、マスタリングなど、スタジオワークに最適なサウンド再生能力と、軽量コンパクトで、疲れを感じさせないデザインを採用した、スタジオモニターヘッドホンの新定番、とアピールしています。
このことからは、いわゆるリスニング寄りの音作りよりも、原音に忠実な方向性を帯びた、モニター系のヘッドホンを志向していることがわかります。
リアルなモニター志向のサウンドを、軽量で疲労感の少ない平面ヘッドホンでじっくりと室内で聴いてみたい、という用途に向いているようです。
もちろん、LCDシリーズの音をこれまで以上に手軽かつ、再生環境に悩まなくて導入したい、という方にもおすすめできそうです(平面駆動ヘッドホン+AUDEZE)。