オーディオテクニカのアクティブノイズキャンセリング機能搭載型のネックバンド型ワイヤレスイヤホン「ATH-ANC400BT」が、発売当初(2019年11月)の実売価格2.7万円から、2020年12月下旬から2021年1月現在、約半額の1.35万円程度にまで値下がりしています。
「ATH-ANC400BT」というと、発売当初の価格で比較すると、ソニーの「WI-1000XM2」(2019年12月発売・発売当初から現在まで実売価格約2.7万円)というライバルがいます。
正直、同価格で比較すると、NC性能、音質、機能などの各面で「ATH-ANC400BT」が「WI-1000XM2」に負けるという評価が多い印象でしたが、これだけ「ATH-ANC400BT」が安くなると、絶対的な評価が「WI-1000XM2」に負けるとしても、「ATH-ANC400BT」のハイコスパぶりが際立ってくる様相を呈してきます。
とはいえ、実は価格抜きにしても、「ATH-ANC400BT」が「WI-1000XM2」に勝っていると思われるポイントも少なくなく、特にそのポイントを重視する方にとっては「ATH-ANC400BT」はまさに今がチャンス、買い時かもしれません。
まず対応コーデックについては「ATH-ANC400BT」はaptX HD/aptX/AAC/SBC、対して「WI-1000XM2」はLDAC/AAC/SBC。ハイレゾ対応という点ではソニーのLDACに対してオーテクのaptX HDと住み分けているようですが、aptXについてはオーテクのみ。aptXを重視したい方には「ATH-ANC400BT」でしょう。
Bluetoothの機能面ではオーテクはマルチポイント接続対応。複数機器を切り替えて使いたいなら「ATH-ANC400BT」でしょう。
Bluetooth接続時の専用アプリでの音質調整についてはソニーがスマートフォン専用アプリ「Sony | Headphones Connect」で多彩なイコライザーや音場調整が可能。さらに、非ハイレゾ音源をハイレゾ相当にアップコンバートするソニー得意の「DSEE HX」も搭載。Bluetooth接続時に音質をいろいろと調整したり、音源をハイレゾ化して聴きたいという方にはソニーの「WI-1000XM2」のほうがおすすめでしょうか。
Bluetooth以外の有線接続については、両機ともステレオミニに対応しますが、オーテクではさらにUSB-C端子での直接接続にも対応します。USB接続の場合は音質劣化の少ないデジタル接続となるので音質面でも有利です。ただ、USB接続時にハイレゾ伝送には対応していません。ハイレゾ音源は16bit/48kHzにダウンコンバートされての伝送となります。有線接続時には両機ともハイレゾ対応のハイスペック・高音質となっています。
ドライバーユニットについてはそれぞれのメーカーが工夫を凝らしたダイナミック型を使用しています。ソニーは口径が9mm、オーテクは12mmと違いがあります。一般にユニット口径が大きいほど低音やスケール感の表現力で有利と言われるので、この点で「ATH-ANC400BT」が優れている可能性があります。
バッテリー持ちも違います。ロングバッテリーというとソニーが優れているという印象が一般にありますが、この両機の比較ではオーテクが勝っています。
「ATH-ANC400BT」の連続再生可能時間は最大20時間(ノイズキャンセリング使用時)、「WI-1000XM2」の同一条件では10時間と差があります。ただ、ソニーには10分充電で80分再生できる急速充電があります。
ただ、両機のメイン機能であるアクティブノイズキャンセリング機能に関しては、ソニーが上回っている、というのがもはや定着した評価です。同じくソニーのノイズキャンセリングヘッドホン「WH-1000XM3」や「WH-1000XM4」といった、ノイズキャンセリングヘッドホンとして高い評価を得ているモデルと同じ、「高音質ノイズキャンセリングプロセッサー QN1」を搭載したソニーに分があるのも仕方なさそうです。
それでも、いろいろとみてみると「ATH-ANC400BT」は単体ではかなり優秀なノイズキャンセリング機能搭載型のネックバンド型ワイヤレスイヤホンと言えましょう。とくに実売1.35万円程度というのであれば、ちょっとライバルが見当たらないほどではないでしょうか?
最近はBluetoothイヤホンというと、とかく完全ワイヤレス型に注目が集まりがちですが、本機のような左右一体型のほうがそもそも音質や機能面でのコスパは高いとされています。再生時の基本的な音質にこだわりつつ、コスパも求めるなら、この価格での「ATH-ANC400BT」は大いに注目できそうです。