東芝エルイートレーディングは、 CDラジカセ「TY-AK2」を2020年9月下旬に発売。オープン価格で、税抜29,000円前後での実売。
「手軽に高音質」がコンセプトで、東芝の往年のオーディオシリーズ名でもある“Aurexシリーズ”に属する高音質志向のラジカセ。
2018年に税抜き約2.7万円で発売された「TY-AK1」(生産完了)の後継機。今回、新たに、CDラジカセとしてはじめてBluetooth送受信機能を搭載するなどの機能・内容面での向上が図られています。
「TY-AK2」はCD、USB、SDカード、FM/AMラジオ、アナログ外部入力、マイク入力(モノラル)、Bluetooth送受信に加え、カセットテープの再生にも対応したCDラジカセ。ラジオのタイマー予約録音、マイク入力を活用してカラオケも楽しめる機能も搭載。
Bluetoothのバージョンは4.2。送受信に対応するコーデックは標準のSBCのみとなっています。なお、Bluetooth送受信に対応するCDラジカセは「TY-AK2」が東芝初なだけではなく、国内では初とのこと。意外な感じですがBluetooth送受信に対応するCDラジオはすでにいくつもあるというのが関係しているようです。
カセットテープはノーマルテープの他、スイッチ切り替えによりハイポジションテープの再生にも対応。メタルテープに関しても、カセットに空けられたメタルテープ識別用の穴を塞ぐことで再生できるようになっています。
今日、カセットテープの再生が可能なCDラジカセはあっても、メタルどころかハイポジさえ再生できないモデルも多いだけに、ハイポジやメタルのテープを持っている人にとってはありがたい機能です。
オートリバース機能はありません。
録音時・再生時にドルビーに相当するノイズリダクションを効かせる機能はありません。
なお、カセットテープへの録音も可能ですが、その際はノーマルテープのみに対応しています。
USBとSDカードの再生可能な音源フォーマットは従来同様に、192kHz/24bitまでのFLAC/WAVフォーマット再生に対応。MP3にも対応しています。残念ながらDSD再生には対応していません。
従来機の「TY-AK1」でも搭載しており、高音質CDラジカセとして幅広く認知される要素ともなった、幅広い音源のハイレゾ相当品位へのアップコンバート再生も健在。
CD、ラジオ、カセットテープ、外部入力、Bluetoothの再生時に、最大96kHz/24bitまでのアップコンバート機能を行います。CDは88.2kHz/24bit、それ以外は96kHz/24bitまでアップコンバート。さらに、高音域の倍音も独自のアルゴリズムで補完再生します。このようなハイレゾ・アップコンバート機能は高級なCDプレーヤー・DACで使われることが多いものの、CDラジカセで導入しているのは異例です。
40kHzまで再生可能な20mm径のシルクドームツイーター、64mm径のコーンウーファーの2ウェイスピーカーを搭載。
独自のイコライジングにより中・高音域の厚みを増し、躍動感・臨場感のあるという音質を新たに採用。従来モデル「TY-AK1」のフラット志向の音質も「ノスタルジックモード」として搭載。切り替えて楽しめるようになっています。
アンプには片側20W、合計40Wの実用最大出力を有するデジタルアンプを引き続き搭載。CDラジカセ全盛時代の80-90年代には不可能だった大パワーと省スペース、省電力をデジタルアンプの採用により実現しています。
「TY-AK2」の外形寸法は350W×126H×218Dmmで、質量は約3.0kg。
東芝 AurexTY-AK2は、発売以来、その音質の高さや多彩な機能性が評価され、多くのレビューで肯定的な評価を受けています。
音質に関しては、現行のCDラジカセとしては最高レベルと評する声が多いです。高音から低音までバランスよく再生でき、音の解像度も高く評価されています。
CD、カセットテープ、FMラジオのいずれの音源も、ソースに関わらず、クリアでバランスの良い音を楽しめます。特に、ハイレゾ化やハイレゾファイル再生に対応していることで、最新の音質を満喫できるのが魅力です。
また、出力が40Wとパワフルで、ラジカセとは思えないほど迫力のある音を楽しめるのもポイント。大音量で音楽を楽しみたい人にもおすすめできます。
操作性に関しては、特に問題なく、容易に利用できる設計になっているという評価が多いようです。本体だけでほぼ全ての操作ができるのも、使い勝手の評価につながっています。
カセットテープのSDカード化機能やBluetooth送信機能も便利と評されています。カセットテープの大量保管に悩んでいる人は、SDカード化機能でコンパクトにまとめられるのは嬉しいポイントです。また、Bluetooth送信機能を使えば、カセットテープの音をワイヤレスで外部機器に飛ばすことができ、より自由なリスニング環境を実現できるのも好評。
このように、東芝AurexTY-AK2は、音質、機能性、操作性など、あらゆる面で高く評価されています。ハイレゾ対応CDラジカセを探している人にとって、最有力候補の1台と言えるでしょう。
ハイレゾ対応CDラジカセ・東芝 Aurex TY-AK2は、音質や機能性、操作性など、あらゆる面で高い評価を得ている製品ですが、一部のレビューでは、以下の点についてネガティブな評価が見られます。
CD音源をハイレゾ音源に変換するハイレゾ化機能は、音質を向上させる効果がありますが、ソースにもよるため、必ずしも効果が明瞭にわかるとは限りません。特に、元々音質が良く録音されたCD音源では、ハイレゾ化の効果がわかりにくい場合もあります。
イコライザー機能があれば、好みの音質に調整して楽しむことができます。TY-AK2にはプリセット2モードの切り替えのみで細かいイコライザー機能がないため、好みの音質に調整したいユーザーには物足りないかもしれません。
ヘッドホンアンプ部のホワイトノイズは、無音時に聞こえる雑音のことです。TY-AK2では、ヘッドホンアンプ部のホワイトノイズが気になるというレビューが見られます。
SDカードやUSBメモリに保存した音楽ファイルをフォルダ分けして再生する場合、フォルダの選択がやりにくいというレビューが見られます。TY-AK2では、フォルダリストを表示する際に、ボタンを押すごとに1つのフォルダずつしか切り替えることができないため、フォルダを探すのに時間がかかってしまうようです。
カセットのオートリバース機能があれば、面倒なテープ反転の手間が省けます。TY-AK2にはオートリバース機能がないため、カセットテープを繰り返し聴きたい場合は、手動でテープ反転する必要があります。
ドルビーB NRは、カセットテープの音質を向上させるノイズリダクションシステムの1つです。TY-AK2にはドルビーBがないため、昔のドルビーBでエンコードされたミュージックテープを聴くと、音がハイ上がりになってしまう可能性があります。また、サーというヒスノイズが耳につく場合もあります。
リモコンが小さすぎて使いにくいというレビューが見られます。TY-AK2のリモコンは、ボタンが小さく、押しにくいという指摘も見られます。
CDラジカセとしてはやや大きく重い
TY-AK2は、現行のCDラジカセとしてはやや大きく重いという印象があります。外形寸法は350W×126H×218Dmmで、質量は約3.0kg。近年主流のBluetoothスピーカーと比べるとCDドライブとカセットテープの空間、回路分、致し方ない点でしょう。これでもCDラジカセ全盛時の高級モデルと比べればそれほどでもありませんが、現行機のなかということです。
また、AC電源専用で屋外への持ち運びには適していないため、自宅で固定して使用するのがおすすめです。
考察としては、TY-AK2は、ハイレゾ化機能やハイレゾファイル再生に対応したことで、CDラジカセの新たな可能性を切り拓いた製品と言えます。しかし、一方で、ソースや好みによってはハイレゾ化の効果がわかりにくい場合や、イコライザー機能やドルビーBなどの機能が不足しているという指摘もあります。
今後、TY-AK2の後継機種が発売される際には、これらの点が改善されることが期待されますが、後継機のTY-AK21はほとんど同一内容でした(Bluetoothバージョンが違うだけ。実売価格が上がっているだけと言ってもいい)。明確に弱点が改善された後継機が出るまではTY-AK2を買うのが無難でしょう。
TY-AK2もTY-AK21も、そのメリットと弱点をよく見極めたうえで、ハイレゾ対応CDラジカセという現在も東芝のみの唯一性を重視して選びたいところです。