ベンキュージャパンは、同社の4Kフラグシップ・ホームシアター向けプロジェクター「HT4550i」を2023年7月7日に発売。オープン価格で、税込みの実売価格は450,000円前後。
単板のDLPプロジェクター。解像度は3,840×2,160ドット。光源は4LED(RGBB)で、明るさは3,200ANSIルーメン、コントラスト比は800,000:1。赤と緑の色域が広いDCI-P3 100%をカバー(調整項目で「広色域」を選んだ時)。同社初となるHDR10+、Netflixに対応しているのも特徴。
外形寸法は420.5×312×135mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約6.6kg。
起動に時間を要する従来の水銀ランプ式のプロジェクターと比較して、高速で起動が完了。1.3倍のズームレンズを搭載し、約3mの距離から120インチの4K映像が投写可能。縦60%、横±15%の縦横レンズシフト機能も使えます。天吊投写(天地逆)、背面透過(左右逆)に対応。ズームとフォーカスは手動。
RGBのカラーセンサーによるオートカラーキャリブレーション機能により、経年による各色のバランスの崩れを自動的に調整。LED光源は最大30,000時間(エコモード使用時)の長寿命を謳います。また、低発熱性で静音性にも優れ、エコモード時の騒音は28dBA。
HDRは、HDR10、HLGに加え、HDR10+にも対応。独自のHDR-Pro技術によるコントラストの向上も可能。Dynamic Black技術を搭載し、LED調光でコントラスト比を向上させます。
映像を複数の領域に分割、それぞれの輝度を分析し各領域の明るさを調整するローカルコントラストエンハンサーも備えています。
映画視聴向けのフィルムメーカーモードをBenQとして日本市場で初搭載。映像の後処理を無効化することで作品オリジナルのアスペクト比、色、フレームレートを保持し、制作者の意図したオリジナルの映像を忠実に再現するとしています。
Netflix対応Android TVを内蔵し、ネット動画に加え、Google Playストア内のゲームなどを楽しめます。HDMI eARC接続にも対応。
4K/60p対応のHDMI入力は2系統で、1系統はHDMI(eARC)に対応。このほか、USB端子、LAN端子、光デジタルオーディオ出力、アナログ音声出力などを備えています。
Android TVを内蔵した4K解像度のプロジェクターが増えているなか、本機はホームシアター向けの本格的な4Kプロジェクターとして投入されるBenQの意欲作です。
画質優先であり、そのため、使いやすさ重視の超短焦点タイプやモバイル対応タイプでもありません。据え置き前提のロングスロー投写タイプです。据え置きとはいっても大きすぎはせず、天井設置も容易です。
画質の実力は高いようで、高精細さ、コントラスト、色再現、高輝度については、実売で200万円台後半の高級機・Victor「DLA-V90R」と比較しても遜色がないほどだとAVウォッチでは評価されています。一方、映像の密度感や立体感には高級機とは差があるとはしており、価格なりの限界ももちろんあるでしょう。
各モードデフォルトの画質の完成度も高く、マニュアルでの画質調整なしでも十分楽しめるようですが、腕に覚えのあるホームシアター愛好家のうるさい微調整にも対応できるだけの画質調整の懐も深いようです。
24コマ収録の映像を忠実に再現する「24P Trueシネマ」が用意されていること、フレーム補間機能も備わっていますが、初期値では24コマ表示を行なう仕様になっていることからも、本機は映画をメインにホームシアターを構築したい4Kプロジェクターユーザーに向けていると思われます。
ゲーム用にも低遅延となる高速モードや、モーションエンハンサーを使うなどで十分に楽しめるようですが、AVウォッチのレビュー記事ではBenQのプロジェクターでゲームに特化したいという場合は、リフレッシュレート240Hz動作をサポートするゲーミングプロジェクター「X3000i」のほうが適しているように紹介していますので、本機はやはり映画で本領を発揮するのでしょう。
実売で50万円クラスの本格的な据え置き4Kプロジェクターは、意外にも製品が少ないだけに、この高額すぎない価格で映画向けの4Kプロジェクターを探している向きには、メーカー的には意外なところですが、堅実な実力とコスパを備えた優秀機となるのではないでしょうか?