ディーアンドエムホールディングスは、Bowers & Wilkins(B&W)のDolby Atmos対応サウンドバー「Panorama 3」を2022年5月下旬に発売。価格は159,500円。
別筐体のサブウーファーは付属しない、いわゆる一本タイプのサウンドバー。サウンドバーとしては、もっとも手軽なタイプながら、B&Wの単品スピーカーなどのノウハウを投入した高音質志向の意欲作となっています。型番に3とあるとおり、「Panorama 2」の後継機となりますが、「Panorama 2」は海外発売のみで日本では発売されませんでした。
「Panorama 3」はB&Wのハイエンド単体スピーカー「800 Series Diamond」を手掛ける音響エンジニアリングチームが開発を担当したというのが大きな売りになっています。
外形寸法は、幅1,210mm、薄さ65mm、奥行き140mm。この薄型筐体の中に、13基の独立したドライバーユニットを3.1.2ch構成で搭載。音質上のこだわりから、すべて円形のドライバーを使用。合計13個のスピーカーを駆動するアンプは、総合出力400WのクラスDアンプ(ツイーター用に40W×3、ミッドレンジに40W×3、サブウーファーに40W×2、Dolby Atmosイネーブルドスピーカーに40W×2)。スピーカー形式はサウンドバーとしては珍しい密閉型。
天面に、上向きにサウンドを放射するDolby Atmosイネーブルドスピーカーを搭載。Dolby Atmosの立体的な再現性を高めています。
入力端子はシンプルで、ARC/eARC対応のHDMIを1系統、光デジタル音声入力、ネットワーク端子、サービス用のUSB-C端子。
AirPlay 2とBluetooth受信にも対応。BluetoothはaptX Adaptiveコーデックもサポート。Spotify ConnectやAmazon Music(Alexa Cast)にも対応。
ネットワーク機能としては、DeezerやTuneInといった音楽配信サービスやインターネットラジオに対応。96kHz/24bitまでのハイレゾ音源の再生が可能。現時点ではAmazon Music HDやApple Musicには対応していません。
上面中央に手をかざすとバックライトによって照らし出される静電容量式タッチボタンを搭載。音量調整、再生/一時停止といったシンプルな本体操作系で、リモコンも付属しません。細かい操作や設定は「Bowers & Willkins Musicアプリ」で行ないます。「Bowers & Willkins Musicアプリ」では今後のアップデートでマルチルーム再生にも対応予定。ただし、同アプリで操作できるアクティブスピーカー「Formation Suiteシリーズ」との連携はできず、「Formation Suiteシリーズ」をリアスピーカーとして使うことはできません。
音声アシスタント「Alexa」も搭載。音声コントロール機能のAlexa Built-inに対応しています。音声で楽曲の選択や音量の調整ができます。
パッシブスピーカーメーカーの世界的な雄であるB&Wが満を持して放つ高品位サウンドバー。発売直後から、その高音質ぶりで多方面で高い評価を得ています。
とくに、音楽再生時の高音質ぶりの評価が高く、B&Wのパッシブスピーカーである600シリーズと近似した品位・音質であるという感想が評論家・ユーザーの双方から出ていることは、価格やサイズを考えると驚異的。さすがに800シリーズに近いとはならないようですが、この価格・サイズ・機能を考えるとやはりとんでもない実力であり、コスパと言えそうです。「色づけがなく情報量豊かな音色と広大な音場感」「低音の質の高さに感心」といった表現に本機のサウンド傾向が端的に表れているようです。
また、本来のメイン用途となるであろう、映画ソースのサラウンド再生、とくにDolby Atmos再生についても、「高さ感もしっかりと出るし左右の広がりはまったく不満なし」と、これも大変レベルが高いようです。
もちろん、さすがに「真後ろの音が不足している感じになる程度」の不満はあり、単品でリアルなサラウンドを組んだシステムとは異なるでしょうが、価格やサイズを考えると、上はキリがない世界なだけに、相当に価格帯満足度の高い製品なようです。
音質は高評価のモデルですが、機能面や使い勝手の面では、国内メーカー(ソニーやデノンあたり)の高級機と比べると、よく言えばシンプル、悪く言えば物足りないというところはあるようです。
HDMIについては、入力がなく、eARC対応の入出力が1つということで、単体の映像プレーヤーやプロジェクターと使用するのは容易でなく、別個、HDMI分配器を用意するなどが必要なこともあります。普通にARC/eARC対応のテレビと使う分には問題がないので、こうした使い方を想定しているということでしょう。
また、いわゆる音場補正機能の類もありません。テレビの前にサウンドバーを置いて、その近くで聴くというスタイルであれば、やたらと音場やイコライザーを調節する必要はない、という考えもあるようです。
96kHz/24bitまでのハイレゾ音源の再生が可能な能力はありますが、Amazon Music HDやApple Musicに対応しないのは残念。今後のアップデート対応などはあるでしょうか?光デジタル音声入力あたりから強引にハイレゾを入力すればいろいろと対応はできるでしょうが。
付属リモコンがなく、細かい操作は専用アプリからというやり方も、サウンドバーのユーザー像を見極めたうえでの潔い判断でしょう。
価格や内容面からの比較検討対象機種は以下の3つあたり(2022年11月現在)
Sonos Sonos Arc
JBL BAR 1000
SONY HT-A7000
Panorama 3とこれらと比較してのおおまかな違いとしては、音楽再生時の音質はPanorama 3が最も優れている可能性が高いこと、入出力や機能面(音場補正や操作性など)、ハイレゾ再生のスペック(ソニーはDSD対応)などはPanorama 3がライバルより劣ることかもしれません。
肝心のサラウンド再生音質については、それぞれのモデルで持ち味が異なる可能性もあり、好みで選べそうです。やはり、比較も含め、試聴はしたいところでしょう。