Bowers & WilkinsをSound Unitedが買収へ
米・Sound United LLC.は現地時間6月12日、英・Bowers & Wilkins(B&W)の買収に関する予備契約を締結したと発表しました。
Sound Unitedは、傘下にPolk AudioやDefinitive Technology、Polk BOOMなどを持つ、スピーカーシステムやサウンドバー、ワイヤレスオーディオの大手サプライヤー。Classe、Boston Acousticsといった高級オーディオブランドも傘下に収めています。
D&MもSound United傘下
Sound Unitedといって日本のオーディオ愛好家が思い浮かべるのは、なんといっても2017年のD&Mホールディングスの買収でしょう。なにしろ、日本を代表するオーディオブランドであるDENON(デノン)とmaranrz(マランツ)が買収されたのですから。
B&WがSound Unitedに買収されるのはそれほど突飛で驚く話ではない印象です。すでに、日本国内のB&W代理店はD&Mが行っていたので、買収が行われても、日本国内で劇的な違いは起こらないような感じです。
スピーカーメーカーとしてのB&Wの行く末は心配です
スピーカーメーカーとしてのB&Wの行く末は心配です。B&Wは実は2016年にすでに、米国のホームオートメーション企業「EVA Automation」に買収されていました。EVA社は韓国系アメリカ人であるGideon Yu氏が経営する企業で、Gideon Yu氏が何十年ものあいだB&Wの大ファンで、顧客だったという縁もあってB&Wを手にしたという経緯でした。
ところが、今回のことでB&WはEVA社から離れることになりました。Gideon Yu氏はアメリカンフットボールのサンフランシスコ・フォーティーナイナーズの共同オーナーとしても知られる富豪だそうですが、ビジネス的な観点から手放さざるを得なくなったのでしょうか?
B&Wのスピーカーといえば、伝統のケブラーコーンをはじめ、1998年に登場したノーチラス800シリーズで搭載した「ノーチラスチューブツイーター」の性能と独創的な外観で、スピーカーの定番メーカーの座を固めました。
その後も800シリーズのモデルチェンジを繰り返しながらも、同社の看板だったケブラーコーンをきっぱりとやめ、新たにコンティニウム・コーンという技術を開発し、最新の800シリーズに搭載。ハイレゾ時代にふさわしい高性能で高忠実度なスピーカーメーカーとしてのイメージを維持していました。
ただ、モデルチェンジのたびに800シリーズは価格が上がっていましたし、販売面で主力になりそうなエントリーからミドルクラスのモデルは、同じ英国でもKEFやモニターオーディオなどのほうが存在感があるような感じでした。
少しでもB&Wのスピーカーがいい方向に行くことを祈ります
とはいえ、今回の買収は、単にB&Wのスピーカー事業が不振だからが理由とは限りません。もしかして、今回のコロナ騒動が影響しているのかもしれません。むしろ、そのほうが救いがあります。コロナが関係ないのであれば、本当にB&Wのスピーカーの不振という根本的な理由になってしまいますから。
とにかく、この方向で話が決まるのであれば、少しでもB&Wのスピーカーがいい方向に行くことを祈ります。一部には、これまでのような本格的なオーディオ向けスピーカーの新規開発は難しいのでは、という悲観的な見立てをする人もいるだけに。
比較するのにスケールは小さいかもしれませんが、日本でのサンスイやナカミチのようにならないで欲しいと切に願います。
HEOSとDDFAを積んだネットワークスピーカーができるなどなら歓迎しますが…。
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