DENON(デノン)は、SACDプレーヤーの新モデル「DCD-1700NE」を2023年1月27日に発売しました。価格は198,000円。SACDは2chアナログRCA出力のみで、マルチチャンネルやHDMI出力には非対応。
「DCD-1600NE」(2016年11月に税別12万円で発売)の後継機。
DCD-1600NE同様、デノンの山内慎一氏がサウンドマスター(旧称サウンドマネージャー)として開発に携わり音質設計を行ったモデル。
音質にかかわる箇所のパーツをDCD-1600NEから80以上刷新し、山内氏が求める「ViVid & Spacious」なサウンドを実現したと謳っています。
15種類のオペアンプを比較し、コンデンサーや抵抗、インダクタなどのパーツも変更や新規採用が行われました。さらに、デジタル系ノイズ対策部品を25個追加し、デジタル系の信号を扱うFFCケーブルの長さを最適化するなど、細かい調整も行われています。
ドライブメカ部分には、オリジナルの「Advanced S.V.H. Mechanism」をリファインし、上位モデルのDCD-2500NEと共通化されたオーディオ基板と電源基板にも手を入れたとのことです。
デジタル基板は4層、アナログ基板は2層とすることで、信号経路を短縮化し音質向上を図っています。最終的に、あらゆるパーツを再評価・新規評価し、DCD-1700NE専用に最適化されたパターンに書き直したことで、より高品質な音質が実現されたとされています。
CDやSACDに加え、DVD-R/-RWやDVD+R/+RWに記録したDSDの5.6MHzファイルや、最大192kHz/24bitまでのPCMデータも再生可能。USBはじめ、デジタル入力は搭載していません。再生は完全にディスク専用。(機能面では従来同様です)
独自のアナログ波形再現技術「Advanced AL32 Processing Plus」を引き続き搭載。CD再生の場合、44.1 kHz/16bitのPCM信号を705.6kHz/32 bitへとアップサンプリング・ビット拡張。
マスタークロックをDACの直近に配置し、余分なジッターの発生を低減する「DACマスター・クロック・デザイン」も引き続き採用。
「ダイレクト・メカニカル・グラウンド・コンストラクション」と呼ばれる制振構造も引き続き採用。
出力端子はアナログRCA、同軸デジタル、光デジタルを各1系統装備。外形寸法は344×384×135mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は9kg。
DCD-1700NEは、単品のSACD/CDプレーヤーとして十分に高品位な音質を持つプレーヤーであるという評価が多く、とくに音の詳細さや空間表現力に優れているとの意見が多いようです。デザインについては、シンプルかつエレガントで、高級感があるという評価が多いです。このデザインは前作から基本傾向は同じですが、上位モデル「2500NE」や「SX11」の流れを継承した高級感あるデザインになっています。
操作性については、わかりやすく直感的なものであると評価されています。裏を返せば、昨今のSACDプレーヤーにしてはUSB入力などもなく、機能性がシンプルであることも意味しますが。
パーツや設計の変更、音質チューニングなどにより前作よりも音質は確実に向上しているとは思われます。ただ、昨今の世界情勢や円安、単品オーディオ製品の需要減などの影響で割高になっていることは否めないようで、価格上昇分の価値を「DCD-1700NE」に見出せるかは気になるところです。
とはいえ、単品コンポの製品自体の減少、ましてSACDプレーヤーでエントリーからミドルクラスのモデルとなると数えるほどしか選択肢がないなか、本機は定価20万円以下で、十分に物量と音質に期待が持てるモデルとして登場しており、それだけでもありがたいと言えるのではないでしょうか。