デノンは、ネットワーク再生機能も内蔵したプリメインアンプ「PMA-900HNE」を2022年6月下旬に発売しました。価格は132,000円。
同社が2018年にリリースした「PMA-800NE」の後継にあたるモデルで、同社のフルサイズHi-Fiプリメインでは初のネットワークオーディオシステム「HEOS」に対応した製品。音楽のストリーミングサービスやインターネットラジオをはじめ、NAS内の音楽ファイルも再生可能。Amazon Music HDやAWA、Spotify、SoundCloudに対応。
前モデル「PMA-800NE」から大きく構成を変更していて、新型の「Advanced High Currentシングルプッシュプル増幅回路」は、110周年記念プリメイン「PMA-A110」で用いられた差動2段アンプ回路を採用。アンプの出力は、50W×2(8Ω)、85W×2(4Ω)。
また、800NEでは固定利得アンプによる1段増幅を採用していたところ、本機ではPMA-A110と同様に可変ゲイン型プリアンプとパワーアンプの2段構成を採用。一般的な音量の範囲内ではプリアンプでの増幅を行わず、パワーアンプのみで増幅することで、ノイズレベルを改善。10時-11時くらいのボリューム位置では、S/Nの高いクリアな音楽再生ができるとしています。
さらにボリューム回路も、PMA-A110と同様の高精度な電子制御ボリュームコントロールICを採用。機械式ボリュームにあるギャングエラーを回避するとともに、左右バランスやトーンコントロールにも同様の構成を採用することで、信号ラインを短縮して理想的なミニマムシグナルパスを実現。
DAC回路も新開発されたもので、従来の「マスタークロック」と同じ考え方のもと、高精度のクロックをDACの直近に設置することでジッターをミニマム化。I/V変換のオペアンプや作動合成のローパスフィルターが高性能化されたほか、回路の左右と上下(プラスマイナス)の対称性も向上。アップサンプリング&ビット拡張技術「Advanced AL32 Processing Plus」も搭載。追記:メーカー公式発表が間違っていたとの発表がありました(7/7)。「Advanced AL32 Processing Plus」は搭載されていません。
PCMは最大192kHz/24bit、DSDは最大5.6MHzまでサポート。「ネットワークオフ機能」により、ネットワークやWi-Fi、Bluetoothを個別に無効化することでより高音質な再生も可能だとしています。
アナログRCA入力は3系統、Phono入力×1に加え、光デジタル入力×3、同軸デジタル入力×1も搭載。USBメモリ内のハイレゾファイル再生も可能なUSB端子×1も搭載。サブウーファープリアウトや、アンバランス出力、ヘッドフォン出力も搭載。LAN端子も搭載。
外形寸法は434×375×131mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は8.3kg。消費電力は200W。
年季の入ったオーディオ愛好家からすると、本機は「PMA-390II」¥39,800(1996年頃)をベースに型番と価格を上げながらモデルチェンジを繰り返してきたプリメインアンプの最新版といったところでしょう。基本設計は踏襲しながらも、部品の高品位化と設計の円熟により、音質は世代ごとに確実に良くなっている印象です。
一方で、部品価格の上昇、単品コンポ市場の縮小、さらには昨今の世界情勢の影響もあり、急激にオーディオコンポの価格は上がっており、本機も最初のベースモデルの価格からは信じられないほどの価格に見えます。
ただ、「PMA-390II」のころには考えられなかった、ネットワークオーディオプレーヤー機能を搭載し、「Advanced AL32 Processing Plus」も搭載していることを考えると、デジタルソースメインのユーザーにとっては、別個にプレーヤーを用意する必要がないだけに、合理的ですし、価格面も納得できる範囲でしょう。
追記:メーカー公式発表が間違っていたとの発表がありました(7/7)。「Advanced AL32 Processing Plus」は搭載されていません。この機能の有無で本機をこの価格で買うかどうか判断する材料になり得る重要な機能です。これが本機が発売されてからメーカーから搭載されていなかったと訂正されるのは驚きです。とにかく、本機はDENON得意のアルファ・プロセッシング系回路は搭載していないという前提で検討することになります。