ディーアンドエムホールディングスは、デノンの一部オーディオ製品について2021年2月1日から値上げを行うと発表しました。
値上げされるのは以下の4製品。
・PMA-SX11 380,000円 → 420,000円(税抜き・以下同)
・DCD-SX11 360,000円 → 400,000円
・PMA-600NE 52,000円 → 59,000円
・DCD-600NE 47,000円 → 53,000円
いずれもデノンの単品コンポを長年支えてきたシリーズの流れを汲むコンポであり、これまでデノンのオーディオ機器は販売途中で値上げを行うといったことはあまり記憶になく、いずれにしてもデノン(ディーアンドエムホールディングス)の経営も大変なのかと思い至ります。
理由としては「資材およびパーツの価格高騰」を挙げていて、これらを企業努力で吸収するのが困難になったということです。
2020年春以降、世界的なコロナ禍の影響で、さまざまな業種の企業が影響を受けています。
なかでは、オーディオ・ビジュアルメーカーについては、屋内での人間の活動が増え、しかも、趣味・仕事の両面でオーディオ・ビジュアル機器の使用が増えるといった、予想外の追い風もあり、どちらかというと業績にとってプラスの要因となっています。
しかし、デノンのような本格的な単品コンポを扱うメーカーにとっては実際どうなのかはわかりません。今回の値上げがコロナと関係があるのか、ないのかもわかりません。
それでも、デノンは需要が一般的に増えている、小型コンポやサウンドバーなど、ゼネラルオーディオに近いジャンルの製品もラインナップしており、それらの音質的評価も高いので、売り上げは全体としては上がっていてもおかしくなさそうです。
一方、単品コンポについては、あるいは一般的ではなく、コロナの後も販売上は苦戦しているのかもしれません。以前のような試聴会も簡単にはできませんし。
PMA-SX11とDCD-SX11は、かつて、デノンの、というより、オーディオ業界全体を代表する中級コンポであった「S10シリーズ」の流れを汲んでいます。ただ、モデルチェンジを繰り返すうちに価格が上がっており、かつての「S10シリーズ」ほどのコスパは無い、という向きもあります。一方、部品や設計は確実に新しくなってるので、やはり現代最新のコンポとして高い実力があるという評価もたくさんあります。
ただ、デノンの場合、さらに上のSX番系のシリーズ(これも「S1シリーズ」という高級クラスの流れを汲んでいます)があり、絶対的な音質面ではやはりSX系が優れているということから、予算があって、音質を追求したいオーディオ愛好家の間でSX11シリーズがやや影が薄いと言われることもあります。
実際、それぞれのシリーズでそれなりに価格が違いますし、機能も違います。音だって違います。その中から、自分の納得で選んで買うしかないのでしょう。機能だけでいったら一番安い600NEシリーズで十分なものを、あえて高いのを買う世界です。
ただ、価格は市場原理で決まりますから、今回の値上げによって、SX11シリーズの新品販売価格は確実に上がりますし、同時に中古価格も上がることでしょう。
なお、同じグループに属するマランツ製品も一部値上げされます。こちらの対象はネットワークCDレシーバー「M-CR612」およびネットワークオーディオレシーバー「NR1200」。「M-CR612」は現在の70,000円(税抜)から72,000円(税抜)に、「NR1200」は78,000円(税抜)から80,000円(税抜)に値上げされます。こちらはライト層よりのコンポなのが印象的です。