DYNAUDIOは、同社のスピーカー「Contour(コンター)」シリーズをモデルチェンジした「Contour i」シリーズを国内発表しました。8月下旬より発売します。
ラインナップと価格は以下のとおりで、ブックシェルフ型とトールボーイタイプのフロア型に加え、センタースピーカーも用意しているので、サラウンドシステムにも対応できます。
・2ウェイブックシェルフ型「Contour 20i」(700,000円/ペア・税抜)
・2.5ウェイフロア型「Contour 30i」(1,100,000円/ペア・税抜)
・3ウェイフロア型「Contour 60i」(1,400,000円/ペア・税抜)
・センタースピーカー「Contour 25Ci」(500,000円/1台・税抜)
従来の「Contour」シリーズの置き換えであり、「Contour」シリーズのあとに2019年に発売された同社の上位シリーズ「Confidence」の開発で得られた新技術を「Contour i」にも惜しみなく投入しています。
Contourは1986年に初代が発売、2003年に2代目にモデルチェンジ。2016年に現在の第3代モデルにモデルチェンジされていました。そして、2020年の第4代モデルの登場です。
「Confidence」や近作「Evoke」の開発には2018年から稼働している、同社の大型(インパルス)測定室「ジュピター」での測定と解析が大きく寄与していることもポイントです。最新技術を駆使し、ドライバーのみならず、バッフル、スピーカー全体の連動を効率的に追求できるようになったことによる高音質と、コスト面のメリットも特筆点でしょう。
従来の「Contour」シリーズ第3世代と比較しての違いを交えながら「Contour i」シリーズの内容をご紹介します。
ツィーターには、「Contour」の「Esotar2」を改良した「Esotar2i」を搭載。
ここに、「Confidence」で開発された「Esotar3」ツイーターの技術を投入しています。「Esotar3」で開発されたインナードームHexisを振動板背後に装備。背圧を最適にコントロールすることで、レスポンスの改善に寄与しているとしています。
Hexisと呼ばれる小さな内部ドームは、「Esotar2」で重要なパーツだったフェルトリングを排除しながら、滑らかな高域を残しつつ共振に対する高いコントロールを獲得できる技術です。フェルトリングは不要な共振を抑える一方、本来残しすべき高域までも抑制する副作用もあったため、無くすることができたことで高域の向上が見込めます。
マグネットはネオジムで、エアフローとベンチレーション、放熱にも改良を加え、より低歪率で平坦なレスポンスを獲得。エアフロ―の向上による音質向上も「Confidence」で追求された技術です。
結果、「Esotar2i」の性能・音質は「Esotar3」に極めて近いものとなっています。
ウーファーも新設計。「Confidence」などにも採用されるNomexダンパーを全モデルに採用。
「ジュピター」駆使して徹底して解析した、クロスオーバーネットワークを搭載。滑らかなユニット間の音のつながりをより高めています。
Contour 60iのウーファーには、さらにマグネットの強化やボイスコイルの一新、グラスファイバー・ボビンの採用などにより感度の向上が図られています。感度が高まることで、アンプへの負担も減り、より鳴らしやすくなるメリットが得られます。
またContour 60iのミッドレンジは、キャビネット内に新しく設けた低共鳴室に隔離することで、ウーファーの振動による共振を抑え、正確な動作が可能になったとしています。
シリーズ中では最上位のContour 60iでの内容向上が目につきます。
キャビネットは内部ブレーシングとダンピング材に改良を加え、フロント側は厚みを2倍にしていっそうの強化を図っています。このあたりは物量に関わる部分ですが、設計の合理化によるコスト面のメリットも生きているのでしょう。
仕上げはブラック・ハイグロス、グレイオーク・ハイグロス、ウォールナットの3種類。仕上げも木材やラッカーの材質を向上させ、見た目や質感の品位感も高め、モノとしての魅力を向上させています。
「ジュピター」での測定と解析による効率的な新設計が近年のDYNAUDIOの特徴。このところ、デザイン面ではやや没個性的というか、DYNAUDIOらしさは後退しているきらいはありますが、音のためなら納得できるでしょう。
見ただけでDYNAUDIOのスピーカーだとわかりにくくなったのは残念ですが、その分、音は良くなっているのでしょう。音についてもある種の個性を感じていることを重視している人にとっては、よりニュートラルな高音質スピーカーを目指している近年のDYNAUDIOに違和感を覚える人もいるかもしれません。
独特の見た目や音にこだわるのであれば、あえて従来モデルを求める、というのもDYNAUDIO愛好家にとってはありなのかもしれません。
逆に、数年以上前のDYNAUDIOのスピーカーは見た目や音がちょっと…、という人にとっては、現代的な高音質スピーカーの有力な選択肢のひとつとして浮上してくるのではないでしょう(スピーカー+DYNAUDIO)。