ゼンハイザーから分社化されたEPOS(エポス)ブランドから、ゲーミング用途に適した完全ワイヤレスイヤホン「EPOS GTW 270 Hybrid」が1月21日に発売されました。価格は26,800円(税込み)。
ゲームプレイ時に完全ワイヤレスイヤホンを普通に使用すると遅延が酷く、ゲームによっては使いものにならない場合があります。
本機では、ゲームプレイ時でも遅延が気にならない程度(遅延が40ms(0.04秒)未満)に抑えられるというaptX LLコーデックに対応した完全ワイヤレスイヤホンと、aptX LLコーデック送信が可能なUSB-C接続タイプのドングルのセット。
遅延に弱い完全ワイヤレスイヤホンながら、低遅延で受信できるaptX LLコーデックに対応しているモデルは大手メーカー製ではほとんどありません(いわゆる中華メーカーにはいくらかあります)。これまでの製品で有名なところでは、EPOSの母体であるゼンハイザーの「MOMENTUM True Wireless」がありました。しかし、その後継機の「MOMENTUM True Wireless 2」ではaptX LL対応が省かれてしまいました。
ですから、aptX LL受信可能な完全ワイヤレスイヤホンがまたゼンハイザーの系統から発売されることになり、歓迎するユーザーは少なくないでしょう。
さらに、本機では、aptX LLコーデック送信が可能なUSB-C接続タイプのドングルもセット。というのも、aptX LLは当然、送信側も対応していなければ使えませんが、現実的には多くのAndroidスマホ、PC、そしてニンテンドースイッチやPS4など、多くの機器では対応していません。
そこで、USB接続すればaptX LL送信が可能になるドングルとセットにすることで、幅広い機器でaptX LLコーデックの低遅延でゲームや動画を楽しめるというわけです。
ドングルの対応デバイスはPS4、PS5、Nintendo Switch、Android端末、PCと、マルチプラットフォーム互換性があります。PS4やPCへの接続時には、付属の1.5m USB-C to USB-A変換ケーブルも使用できるので、非常に汎用性が高くなっています。
PS5やニンテンドースイッチに接続すると、特に設定することなく使えるようになっています。
使用上で注意したい点として、「GTW 270 Hybrid」をドングルで接続している際は、通話マイクを利用することができません。ですから、例えばPS5でボイスチャットを楽しむ場合は、コントローラーの内蔵マイクを併用する必要があります。
また、イヤホン本体には左に物理ボタンが1つあるのみ。操作は再生や曲送り/戻し、通話と終了しかできません。音量調整は再生側のボリュームでとなります。
完全ワイヤレスイヤホンとしても、「MOMENTUM True Wireless」「MOMENTUM True Wireless 2」いずれもでその高音質ぶりで高い評価を受けているゼンハイザー系なだけに、完成度の高そうな設計。
独自の小型オーディオドライバーを採用したということで、基本的な再生音質も良さそう。デュアルマイクにより明瞭な音声通話も可能としています。aptX LL以外の受信対応コーデックはSBC、aptX。
バッテリー駆動時間はイヤホン単体で5時間、ケースとの併用で20時間。充電にはUSB Type-Cを採用しており、15分の充電で60分使用可能な高速充電に対応。
なお、ドングルなしの「GTW 270」も用意され、こちらは税込22,800円前後。イヤホン部分だけ欲しい方はこちらをどうぞ。
「EPOS GTW 270 Hybrid」はゼンハイザー系の音質が期待できる点と、aptX LLコーデックに対応した完全ワイヤレスイヤホンと、aptX LLコーデック送信が可能なUSB-C接続タイプのドングルのセットということで、他とは異なる付加価値があるだけに、発売直後から購入者などのレビューや感想がすぐにでもたくさんネット上に上がるかと思いましたが、そこまでの勢いではないようです。
ツイッター上でも発売直後はあまり感想などは見当たりませんでした。
それでも、個人ブログや、販売店、オーディオ系ニュースサイトなどに使用レビューがいくつか上がっており、参考になる情報があるように思います。
いくつかのレビューから読み取れる傾向としては、音質はゼンハイザーの音楽用イヤホンとは異なり、フラットでナチュラルというよりはメリハリのあるくっきりはっきりした音質傾向らしいこと。このあたりは生楽器などの音楽鑑賞用ではなく、ゲーム用ということで、意図的な設計なのでしょう。
本製品の重要ポイントである低遅延性については、一般的な利用では動画観賞も含めて全く問題ない遅延レベルのようです。
ゲームについても一般的なゲームであれば問題はないものの、PS/TPSにプロレベルで取り組んでいる場合は遅延は気になるかもしれない、という遅延とはなるようです。
一方、Nintendo Switchやモバイルでのゲームでは大丈夫、といったところのようです。いずれにしても、数値も出ていますが、遅延に関する感じ方や許容量は個人やゲームによって異なるでしょうし、しでにaptX LLで許容できる範囲の一般的な情報も出回っているでしょうから、本機もそのあたりも参考に、うまく使うことが重要に思われます。
やはり、現時点でもaptX LL対応の大手メーカ―製完全ワイヤレスイヤホンはこのゼンハイザー系2モデルしかないわけですから、その点に最大限の比重を置いて買うかどうか選ぶべきものでしょう(完全ワイヤレスイヤホン+EPOS)。