エソテリックは、ネットワークオーディオプレーヤー兼DAC「N-01XD」を12月25日に発売しました。価格は150万円(税別)。
従来モデルのN-01(2017年・140万円)の後継機。DAC部はこれまでの汎用品チップを使用した回路から、自社開発のディスクリートDACに変更したのが大きな違い。また、ネットワーク再生時の対応スペックや、新たに同社製SACDプレーヤーからのDSDデジタル入力に対応するES-LINK入力を搭載しているのも違いです。一方、エソテリックの対応機器同士で接続する独自のアナログ伝送方式「ES-LINK Analog」による出力は省かれました。
Master Sound Discrete DACと呼ぶ自社開発の64bit対応のディスクリートDACを搭載。64bit/512Fs対応のΔΣモジュレーターを搭載しています。
DSD 22.5MHzやPCM 768kHzとハイスペックのネットワーク再生や、MQA/Roon/Qobuz/Tidalのサポートも特徴。ネットワーク再生は、iPad/iPhone/Androidアプリ「ESOTERIC Sound Stream」からコントロール可能。
クロックには、Grandioso用に開発された「Grandioso Custom VCXO II」を採用。クロック入力とクロック出力を各1系統備え、外部機器とのクロック同期や、さらなるクロックの高精度化にも対応できます。
デジタル入力はネットワーク×1、ES-LINK 5×1、XLR×1(ES-LINK/XLR)、同軸デジタル×2、光デジタル×1、USB-B×1を装備。全ての入力でMQAデコードに対応。アナログ出力はXLRとRCAを各1系統備えています。
電源部は4トランス構成で、DAC用として左右それぞれに専用トランスを配置するなど、アナログ的な物量も投入されています。外形寸法は445×447×162mm(幅×奥行き×高さ)。
一般的な意味では高価なのですが、ハイエンドオーディオ向けの機器としては、手頃というか、適度な価格で、非常に充実した内容を備えているように見えます。
従来モデルのN-01は、PCM信号は2/4/8/16倍(最大768kHz)にアップコンバート可能。独自アルゴリズムによるPCMとDSDの相互変換も可能。DSDは22.5MHzまでのアップコンバートに対応。DSDのデジタルフィルターはON/OFFできるといった、音を変えられる機能を搭載していましたが、本機も搭載しているのでしょうか。
音質重視の観点から、ライン出力の可変機能はN-01XD同様搭載していません。ですから、パワーアンプに直結といった使い方はできません。
なかなか日本のオーディオメーカーによる高級ネットワークプレーヤーでいいものが選びにくいという状況が感じられるなか、これは幅広いオーディオ愛好家の注目を集められそうな気がします。ネットワークが面倒ならUSBでもSFDIFでも使えばいいのですし。
自社限定とはいえ、SACDプレーヤーのDACとして使えるのもうれしいところ。SACDソフトはクラシックのアナログ録音のリマスタリング盤を中心に、しぶとく発売され続けているだけに。エソテリック自体もSACDソフトを販売し続けていますし。
ただ、先ごろ、日本国内で企画されるSACDソフトの多くのリマスタリングを手掛けてきた録音エンジニアの杉本一家さんが亡くなられました。これによって、日本国内独自企画のSACDソフトの新規発売がいままで同様にはいかなくなるかもしれません(ネットワークプレーヤー+ESOTERIC)。