エソテリックは、SACD「名盤復刻シリーズ」に3作品を追加。アバド指揮ベルリン・フィルの『ヤナーチェク:シンフォニエッタ ヒンデミット:ウェーバーの主題による交響的変容 / 交響曲「画家マティス」』(1987年録音)カール・リヒター指揮『J.S.バッハ:ブランデンブルク協奏曲(全曲)』(1967年録音)『クリフォード・ブラウンBOX』(1954-55年録音)の3作品を6月10日に発売します。いずれもSACDハイブリッド。
エソテリックは継続してSACDソフト(2chステレオ音声のみのハイブリッド)を出し続けていて、曲目の重複をなるべく避けていることもあって、クラシック音源についてはそろそろ難しいかと思いつつも、なかなかどうして発売を続けています。
また、このところ、一般にハイレゾ化の恩恵は少ないと思われることもある、デジタル録音初期の16bit/44.1kHzのマスター音源のSACD化も続いています。
今回も、アバド指揮ベルリン・フィルの『ヤナーチェク:シンフォニエッタ』ほかが、ドイツ・グラモフォンの1987年録音ということで、16bit/44.1kHzのマスター音源からのSACD化です。
一方、カール・リヒター指揮『J.S.バッハ:ブランデンブルク協奏曲(全曲)』はアナログ録音の名盤であり、SACD化は当然と言っていいでしょう。
ただ、この録音は、すでにメーカー(ユニバーサル)が2004年にはSACD化済み(ハイブリッド盤)。しかも、2016年にはシングルレイヤー盤を高音質なSHM-SACD仕様で再発売しています。
この録音はユニバーサルでもアナログマスターテープからダイレクトにDSD化はなされていないようで、24bit/96kHzといったPCMハイレゾデータからのDSD化のようです。また、2016年と2004年ではマスターは同じと書かれています。
エソテリックはメーカーからPCMハイレゾデータを借り受け、独自にDSDマスタリングすることがほとんどなので、今回もそうでしょう。
ユニバーサルでSACD化されていた音源をエソテリックがSACDで出した場合も、それぞれの音質は違うという感想は多く、今回もDSDリマスタリングの違いによる音の違いは注目です。
さて、エソテリックのSACDは、メーカー(ユニバーサルやソニー、ワーナー)自身がSACD化しない音源を次々とSACD化していたころがありましたが、現在ではそのポジションというか役割を、タワーレコードが担っているような状態です。
タワーレコードのクラシック音源のアナログ録音のSACD化の勢いは本当に凄まじいくらいで、メーカーのSACD化もハイレゾ配信もないような音源まで手掛けています。
しかも、アナログ録音時代のクラシック名盤を幅広く手掛けていて、クラシック音楽愛好家ならどれも買いたいと思うようなラインナップです。
新しいところではヨッフムのブルックナー:交響曲全集(旧盤)やケンペ指揮ベルリン・フィルのブラームス:交響曲全集など。
エソテリックと異なり、曲の重複を気にしないことや、CDの枚数を気にしないで全集や選集をバンバン出すことも特徴です。その結果、ベートーヴェンの交響曲全集がいくつもあるという状況になっていますが、クラシック音楽愛好家は何セットでも買うから商売が成り立っているのでしょう。
いずれにしても、SACDは全く一般的なメディアではないのですが、いまのところ、一部のクラシック音楽愛好家に支えられて?フォーマットの命を持続しているようです。新録音も結構、新譜が出ていますし。
再生のしやすさという点ではSACDではなく、DSD配信してもらえたらもっとありがたいと個人的には思うのですが。
ところで、リヒターのブランデンブルグ協奏曲は24bit/96kHzのPCMハイレゾでの配信は行われています。