エミライは中国・FiiO Electronics製Bluetoothレシーバー「BTR3K」を5月22日より発売します。オープン価格で、税抜きの実売価格は9,000円前後。
すでに発売されている上位モデル「BTR5」(税抜き実売価格1.6万円程度)の弟機。「BTR5」よりもリーズナブルながらも、「BTR5」同様に3.5mm径アンバランスと2.5mm径バランスの2つのヘッドホン出力に対応したハイコスパ機です。
「BTR3K」の内容や特徴を「BTR5」と比較しつつご紹介します。
旭化成エレクトロニクス製DAC+アンプ統合型チップ「AK4377A」を左右独立構成で2基搭載。微細なニュアンスとディテールの再現を合理的な回路構成で実現しています。
一方、「BTR5」ではDACはESS 「ES9281P」を2基搭載。こちらもDAC+アンプ統合型チップですが、グレード的には上となります。
どちらもデュアル・クリスタルオシレーターシステムを採用。22.5792/24.576MHzデュアル・クリスタルオシレーターにより、ジッターを抑制しています。
Bluetoothレシーバー用チップにはどちらもQualcomm製「CSR8675」を採用。接続安定性に優れた定評のあるチップです。
どちらもBluetooth 5.0準拠で、プロファイルはA2DP/AVRCP/HFP/HSPをサポート。コーデックはAAC/apt X/aptX LL/apt X HD/LDACに対応。現在普及している主要なコーデックをハイレゾ相当の伝送可能なものも含めて網羅しています。Bluetoothレシーバーとしては両方とも全く不足がありません。あえて言えば、ハイレゾ相当伝送に対応するHWAコーデックに対応していませんが、現状ではほとんど送信に対応している機器はないので、あまり問題にはならないでしょう。
出力端子はどちらも3.5mmアンバランスのほか、2.5mmバランスを搭載。DAC部・アンプ部を両方とも完全バランス設計とし、チャンネルごとにDACとアンプが入念に組み合わせて実装されているのも同様。「BTR3K」の価格を考えると非常に凝った内容と言えます。
次にヘッドホンアンプとしては気になる項目であるアンプ出力。「BTR3K」の出力は32Ω負荷時にアンバランスが最大25mW、バランスが最大78mW。特に小さくはありません。一般的なイヤホンやヘッドホンは普通に駆動できるでしょう。
一方、「BTR5」は同じく32Ω負荷時にアンバランスが最大80mW、バランスが最大240mWと大幅にパワーがあります。高級なヘッドホンに多い、低能率なモデルや、ハイインピーダンスなモデルでは「BTR5」のほうが余裕を持って駆動できるでしょう。
「BTR5」には駆動するヘッドホンに応じてゲインを2段階で切り替える機能がありますが、「BTR3K」では接続したヘッドホンの種類を自動的に認識し、それに応じて出力を調整する機能が付いています。
「BTR3K」も「BTR5」同様に、USB接続によるUSB-DAC機能を搭載しています。ただし、対応スペックは大きく異なります。「BTR3K」はPCM信号のみの対応で、対応スペックも48kHz/16bitまでと、最低限度のレベル。
一方、「BTR5」では対応スペックはPCM: 384kHz/32bit、DSDは 11.2MHzまでネイティブ対応と、非常に充実しています。
これは、USBコントローラーに「BTR5」ではXMOS 「XUF208」というハイスペックで受けられる高性能チップを別に搭載している一方、「BTR3K」ではBluetoothレシーバー用チップQualcomm「CSR8675」を使用していることによるものです。
「BTR3K」の内蔵バッテリーは330mAhで、充電時間は1.5時間、連続再生時間は11時間(アンバランス出力使用時)。一方、「BTR5」の内蔵バッテリーは550mAhで、充電時間は1.5時間、連続再生時間は9時間(アンバランス出力使用時)。アンプ出力は少なめな分、「BTR3K」のほうがバッテリー持ちは優れている結果になっています。充電用端子はどちらもUSB-C。
FiiOのBluetoothレシーバーは利便性にも優れています。
ペアリングは最大2台が可能で、デバイスの音量とレシーバーの音量を個別に調整可能。さらに、設定した音量は記憶されるため、デバイスを使用するたびに音量調整し直す必要がありません。また、専用アプリ「FiiO Control」を利用してレシーバーを遠隔操作できます。
Qualcomm製のcVCノイズキャンセルテクノロジー(第8世代)対応マイクを搭載。ハンズフリー通話用のデバイスとしても活躍できます。
NFCについては「BTR5」では対応の一方、「BTR3K」は非対応。ここは差が付けられています。
「BTR3」にはディスプレイは搭載されておらず、LEDインジケーターによって動作状況を知らせます。一方、「BTR5」では前面に小さな有機LEDディスプレイが搭載されており、視認できる情報量も多くなっています。
「BTR3K」の外形寸法は58×25×11mm(縦×横×厚さ)。重量は23.5g。
「BTR5」の外形寸法は72×32×11.3 mm。重量は43.7g。
より軽量・コンパクトでモバイル性に優れているのは「BTR3K」と言えます。どちらも、2.5Dガラスの曲面で覆われたアルミ合金製ボディで高品位な仕上がり。
なお、すでに両機が販売されている海外のユーザーが注目すべき情報を公開しています。
それは、Nintendo SwitchとのUSB接続の可否。なんでも「BTR3K」ではできるものの、「BTR5」ではできないのだそうです。この使い方を想定している人は注意してください。
どちらも、イヤホンのバランス接続に対応したBluetoothレシーバーとして十分にハイパフォーマンスで多機能なモデルです。
それでも、ヘッドホンアンプ部やDAC周りの設計の違いによって、「BTR5」のほうが基本的な音質と駆動力は優れているでしょう。屋内で高級なヘッドホンをメインで聴くなら「BTR5」のほうがよさそうです。
ただ、屋外で一般的なスペックのイヤホン・ヘッドホンを使用して音楽を聴くときにそれほどの差が出るかはわからないところもあります。
2.5mm径バランス接続に対応するのも両機の特徴。「BTR3K」はこれに対応し、LDACとaptX HDといったハイレゾ相当のコーデックにも対応したBluetoothレシーバーとしてリーズナブルなことが大きな魅力。2.5mm径バランス・イヤホンのユーザーで、できるだけ安く高音質なBluetoothレシーバーを用意したい人に「BTR3K」は大いにおすすめできます。
USB-DAC機能を重視するかでも違います。USB-DAC機能を重視するならこれも「BTR5」が優位。ですが、自分の所有する音源にハイレゾがないのであれば、どちらでもいいかもしれません。
ポータブル使用がメインのBluetoothレシーバーでは重要なポイントとなる、バッテリー持ちと携帯性についてはどちらも「BTR3K」が勝っています。この点をとりわけ重視するのであれば「BTR3K」で決まりでしょう。
いずれにしても機能性、スペック、価格のいずれもで国内メーカーは太刀打ちできていないハイコスパモデルです。特に「BTR3K」はこの価格でこの内容というのは驚くほかありません(Bluetoothレシーバー+FiiO)。
「BTR3K」と「BTR5」の仕様比較表
FiiO BTR5 | FiiO BTR3K | |
価格 | 税抜き実売16,000円程度 | 税抜き実売9,000円程度 |
DACチップ | ESS ES9218P x 2 | AKM AK4377A x 2 |
Bluetoothチップ | Qualcomm CSR8675 | Qualcomm CSR8675 |
USBコントローラー | Xmos XUF208 | Qualcomm CSR8675 |
Bluetoothコーデック | LDAC/aptX HD/aptX LL/aptX/AAC/SBC | LDAC/aptX HD/aptX LL/aptX/AAC/SBC |
イヤホン出力およびアナログ出力 | 3.5mm + 2.5 mm , AUX | 3.5mm + 2.5 mm ,AUX |
アンプ出力 | 3.5mm HP: 80mW@32Ω (SE) 2.5mm Balanced: 220mW@32Ω | 3.5mm HP: 25mW @32Ω 2.5mm Balanced: 78mW @32Ω |
USB-DAC時の対応スペック | PCM: 384kHz/32-bit DSD: 11.2MHz | PCM: 48kHz/16-bit |
ゲイン調節 | High/Low 2段階 | なし |
NFC | あり | なし |
表示 | 有機EL ドットマトリックス | RGB LED |
バッテリー容量 | 550mAh | 330mAh |
バッテリー持続時間 | 3.5mm: 9時間 2.5mm: 7時間 | 3.5mm: 11時間
|
充電時間 | 1.5時間 | 1.5時間 |
充電端子 | USB-C | USB-C |
S/N比 | 121dB | 122dB |
サイズ | 72 x 32 x 11.3 mm | 58 x 25 x 11 mm |
重量 | 43.7g | 23.5g |
(5月22日発売予定)FiiO BTR3K【FIO-BTR3K-B】Bluetoothアンプ