ラックスマンは、同社が取り扱うFOCALより、フラグシップヘッドホン「UTOPIA」を、新パッケージ版「UTOPIA NP」として2011年11月下旬から発売中。価格は500,000円(税抜)。
従来の「UTOPIA」(46万円)に新たに4ピンXLR端子付きの着脱式ケーブルを付属したのが違い。従来の「UTOPIA」では通常のアンバランス接続型のOFCケーブルが付属していたのみですので、標準の付属品でバランス接続を楽しむことはできませんでした。
「UTOPIA」のヘッドホン側端子はレモ端子であるため、リケーブルの選択肢が少ないことも悩みどころであっただけに、ありがたい装備の追加でしょう。(汎用性の高い、ゼンハイザーのHD 800用レモ端子との互換性がないため)
「UTOPIA」は、FOCALのハイエンドスピーカーと同じシリーズ名を与えられたモデルで、FOCALヘッドホンの最高級モデル。
純ベリリウム振動板をヘッドホンとして世界初採用しているのが最大の特徴。物理特性に優れ、音質的には極めて優れた素材ですが加工が難しく、高価なことでも知られています。ベリリウムの振動板を純ベリリウムで搭載しているだけで相当なアドバンテージがあると言えます。口径は40mm。M型のドーム形状のユニットで、5Hz~50kHzまでの再生が可能。インピーダンスは80Ω。感度は104dB。質量は490g。
可動域を広くとり、頭部にフィットしやすい機構を採用。カーボンのヨーク、ラムスキンのイヤーパッドなど高品位なパーツをふんだんに投入したハイエンドモデルとなっているのも魅力。内部クッションによる吸音や、表面の穴あけ加工により音の拡散など調整し「リスニングルームで聴いているような音質」を再現するとアピールしています。
ケーブルは着脱可能で、LEMOコネクタを採用。
どうやら「UTOPIA NP」の発売で「UTOPIA」は終売になったようです。ヘッドホン本体の内容は同じですので、これから従来の「UTOPIA」が欲しい方は「UTOPIA NP」を買うことになります。
どうしても従来の「UTOPIA」が欲しい方は「UTOPIA」の中古を求めることになるでしょう。
「UTOPIA NP」の音質レビューとしては従来の「UTOPIA」のレビューを参照することでも十分に参考になるでしょう。
ただ、「UTOPIA」は付属品ではアンバランス接続で、バランス接続でのレビューはそれぞれのレビュアーが用意したバランスケーブルによるものとなることに注意が必要でしょう。
「UTOPIA NP」の付属ケーブルでのバランス接続時のレビューは今後の登場を待ちたいところです。
「UTOPIA」の音質評価はいずれのレビューにおいても高いものばかりです。
ダイナミック型ヘッドホンとして現在世界最高レベルの高音質機、という基本的な認識でよいほどに感じます。
音の情報量、レンジ感、定位感、質感表現といったオーディオ機器としての項目はいずれも優秀なことに加え、ヘッドホンとは思えない、スピーカーで聴いているような音場の広がりを評価するレビューが多いのも目につきます。いわゆるヘッドホンの頭内定位が気になる向きにも違和感のないヘッドホンとして特筆できるようです。
駆動アンプを選ぶことや、音の情報量がありすぎて、音源や録音のアラを暴くような部分もあり、聴き疲れの可能性もある傾向もあるようです。エージングなどにより解消する可能性もありますが、音やエッジが硬く感じられることもあるというのは気になります。意外なのは音像は大きく感じられるという点で、近年のハイエンドヘッドホンに共通の小さな音像という傾向とは異なります。
有名モデルとの比較ではHD 800とはかなり方向性が異なり、K812の方向性に近いものの、K812をずっと情報量やクリアさを高めた方向のような感じもあるようです。
490gと仕様上の重量は重いのですが、高品位な素材をふんだんに使い、入念な設計にもよるのか、長時間装着でも不満はなかったというレビューもポイントでしょう(ヘッドホン+FOCAL)。
「UTOPIA」のレビューサイト情報
https://sandalaudio.blogspot.com/2016/10/focal-utopia.html
https://www.ippinkan.com/focal_utopia_elear.htm
http://www.bergamotflavor.com/article/461917265.html
https://innocent-key.com/wordpress/?p=9862
https://amzn.to/3tgwkRS