HIFIMAN JAPANは、平面磁界型ヘッドホン「HE400i 2020」を11月5日から発売。オープン価格で、税抜17,000円前後での実売が想定されます。
従来モデル「HE400i」の後継機。ドライバーは「HE400i」と全く同じものを使用しているとしています。
長時間のリスニングも快適にできるようヘッドバンドを改良したというのが従来との主な違い。ハウジング側面の仕上げも輝きのあるタイプからマットな方向へ変えました。こうしたヘッドバンドと仕上げの変更により、両モデルは見た目の雰囲気はそれなりに違っています。
重量は370g。「HE400i」は360gでしたので10g増加しています。ヘッドバンドの改良が関係しているのでしょうか。あるいは、本体の素材や設計において、何らかの変更がなされているのかもしれません。
周波数特性は20Hz~35kHz。インピーダンスは35Ω。感度は93dB。ドライバーが同じということもあってか、このあたりの物理スペックは全く同じです。ケーブルは従来同様本体側3.5mm端子で着脱可能です。付属ケーブルは一般的な3.5mm径ステレオミニプラグですが、リケーブルによりバランス接続にも対応します。
ハウジングはABSポリマー樹脂製で、光沢のある黒檀風仕上げ。イヤーパッドは合皮とベロア製で、快適性と音質を両立したとしています。価格が高いときから高級感のある外観と言われていただけに、この価格でこの雰囲気は非常にお得な印象です。
なお、ハウジングは開放型構造ですので、屋外や人前での使用では音漏れに十分に注意してください。
「HE400i」は2014年に発売され、当初は5万円程度の価格でした。その後、複数回の値下げが行われており、最近では今年の4月に約3.5万円からなんと約1.7万円に値下げしていました。不思議なくらいの値下げで、生産終了・在庫処分の値下げかと思いましたし、もう後継機も出ないのかとさえ思っていましたが、意外にも同価格での後継機の発売。これはがぜん注目できるハイコスパヘッドホンでしょう。
もともと、「HE400i」は「HE400」というモデルの後継機。平面駆動型ヘッドホンは、音質はよくても低能率でアンプの駆動力を要求しがちなため、スマホや安価なポータブルプレーヤーではうまく鳴らしにくいという弱点がありました。それは「HE400」でも同様でした。
そこで、大出力のヘッドホンアンプを必要としない、高能率な新型平面磁気ドライバーを搭載し、幅広い機器で気軽に使える高音質ヘッドホンとして開発されたのが「HE400i」でした。
その評価は当初から高く、値下げを経ると非常にコスパの高いヘッドホンとしてさらに人気を高めました。メーカーが狙ったとおりにスマホや安価なDAPでも鳴らしやすいようで、短時間でのモデルチェンジも多いこの業界にあって6年ものロングセラーは高い完成度をうかがわせます。
しかも、後継機の「HE400i 2020」もヘッドホンとしての基本は同じなので、「HE400i」の完成度がいかに高かったのかを証明していると言えるでしょう。
「HE400i 2020」は新製品ではありますが、実質、ヘッドホンとしての中身は「HE400i」ですので、音質面での評価やレビューは「HE400i」のものがほぼそのまま参考にできるでしょう。
なお、英語でよければ海外ですでに販売されている「HE400i 2020」のアマゾンレビューが参照できます。
ただ、装着性に関しては「HE400i 2020」で改良されているとしているので、ヘッドホンの装着感にこだわる方や、「HE400i」を持っていなくても、これまでに試聴などで装着感を確認済みであり、そこで装着性に違和感を感じたような方は、「HE400i 2020」発売後の装着感に関するレビューや感想を待ったほうがいいかもしれません。
なお、HIFANMANの近作には、同じく平面型ヘッドホンながら、USB-DAC/Bluetoothレシーバーを搭載した「HiFiMAN DEVA」があります。平面駆動型ヘッドホンに最適化された専用ヘッドホンアンプと多機能なDAC/レシーバーが付いて3万円と、こちらもコスパの高さを誇ります。
実際、「DEVA」は国内での決して高くはないHIFIMANの知名度を考えると驚くほど売れており(専門店の週刊売り上げランキング1位にもなるほど)、いまやHIFIMANはハイコスパな高音質ヘッドホンの実力派メーカーとしてその地位を日本でも固めつつあります。
「HE400i 2020」も「DEVA」に続く人気モデルとなるでしょうか?(ヘッドホン+HIFIMAN)