HIFIMANは、中国で完全ワイヤレスイヤホン「Svanar Wireless Jr」を発表しました。価格は1,099人民元(約23,000円)。
国内価格で8万円という高額ながら、音質重視型で注目された「Svanar Wireless」の下位モデル、また、「Svanar Wireless Jr」の少し前に発表された「Svanar Wireless LE」(6万円台程度?)の下位モデルともなります。
「Svanar Wireless Jr」は「Svanar Wireless」の内容は継承しながら、いくつかの点を省略することで大幅に価格を抑えた廉価モデルとなります。
「Svanar Wireless Jr」では、「Svanar Wireless」「Svanar Wireless LE」両機種に搭載され、これら2機種の心臓部ともいえる「ヒマラヤDAC(HYMALAYA R2R DAC)」が非搭載となっています。
完全ワイヤレスイヤホン用のヒマラヤDACは据え置き型DACヘッドホンアンプ「EF400」に搭載されている自社製のR-2Rラダー型DAC(マルチビット型DAC)のヒマラヤDACを小型化して搭載したもの。
ヒマラヤDACはR-2Rラダー型DACの名チップ・PCM1704に匹敵する性能(24bitデコード)と、ポータブル機器に求められる低消費電力を実現したとしています。
ヒマラヤDACは、いわゆるマルチビットDACの骨太で実在感のあるサウンドを志向して搭載されたものです。しかし、このDACの搭載によるコストアップは相当なようで、これを抜いた「Svanar Wireless Jr」の価格が「Svanar Wireless」「Svanar Wireless LE」のいずれよりも大幅に安いことはメリットです。
「Svanar Wireless Jr」では連続再生時間はHIFIモードで約6時間、ANCモードで約7時間
「Svanar Wireless」「Svanar Wireless LE」の連続再生時間、HIFIモードで約4時間、ANCモードで約6時間よりもロングバッテリーになっています。
ヒマラヤDACよりもDAC部が省電力になった恩恵でしょう。
「Svanar Wireless」では筐体素材がカーボンファイバーでしたが、プラスチック(樹脂)に変更。金属的なカラーリングからホワイトに表面も変わっています。簡単に言えばより安い筐体に変更になっています。このことによる音質の変化もあることでしょう。
「Svanar Wireless」では付属の充電ケースはワイヤレス充電に対応していましたが、「Svanar Wireless Jr」では非対応。
このほかの内容や特徴は「Svanar Wireless」同等。
ダイヤフラムの表面に特殊なめっき処理を施した独自のトポロジーダイヤフラムを採用。コーティングが幾何学模様になっており、その形状と配合物、厚さを調整することで、周波数応答の完璧なコントロールを図っているとしています。
アクティブノイズキャンセリング(ANCモード)と外音取り込み機能(トランスペアレント・モード)も搭載。音質重視型モデルでは搭載されないこともある機能ですが、本機では機能性も確保しています。
ANCは最大-35dBを実現すると謳っており、なかなかの性能となっています。イヤホンの操作は本体タッチ式。Bluetooth 5.2準拠。
専用アプリなどは「Svanar Wireless」同様に用意されていません。
「Svanar Wireless」との比較では搭載ドライバーは同じで、ヒマラヤDACの搭載をやめたのが大きな違いですが、その違いで大幅に安くなっています。トポロジーダイヤフラムによるHIFIMANの完全ワイヤレスイヤホンのサウンドを聴いてみたかったけれども「Svanar Wireless」では高すぎた、という向きには注目のモデルでしょう。
少し前に「Svanar Wireless LE」(海外価格5~6万円)という下位モデルも発売されています。こちらはヒマラヤDACとトポロジーダイヤフラムの両方を搭載していますが、LDACは非対応になっています。
「Svanar Wireless LE」も「Svanar Wireless」より安いとは言っても、安さでは「Svanar Wireless Jr」がこの3機種のなかでは圧倒的です。
HIFIMANの完全ワイヤレスイヤホンで、手軽にLDACのサウンドを楽しむ、というなら「Svanar Wireless Jr」でしょう。ただ、HIFIMANの完全ワイヤレスイヤホンの価値はヒマラヤDACだ!という考えにこだわるなら「Svanar Wireless Jr」は候補から外れてしまいますが。
また、「Svanar Wireless」ではLDAC接続時の安定性が良くないという評価もあるだけに、「Svanar Wireless Jr」ではどうなのか気になるところですが。