HIFIMANは、海外で完全ワイヤレスイヤホン「Svanar Wireless LE」を発表しました。
国内価格で8万円という高額ながら、音質重視型で注目された「Svanar Wireless」の下位モデルとなります。
「Svanar Wireless」の心臓部は継承しながら、いくつかの点を省略することで価格を抑えた廉価モデルとなります。
「Svanar Wireless」と「Svanar Wireless LE」を比較しての内容面での違いは以下の4点、これらの違いによって価格も違います。
「Svanar Wireless」では筐体素材がカーボンファイバーでしたが、プラスチック(樹脂)に変更。
「Svanar Wireless」ではLDACコーデックに対応していましたが、「Svanar Wireless LE」ではLDAC非対応。SBCとAACの対応となります。
「Svanar Wireless」では付属の充電ケースはワイヤレス充電に対応していましたが、「Svanar Wireless LE」では非対応。
「Svanar Wireless」では付属の充電ケースのカラーはブラックでしたが「Svanar Wireless LE」ではブラウンに変更になっています。
これらの変更により、「Svanar Wireless LE」の海外価格は約5~6万円と「Svanar Wireless」より30%前後ほど安くなっています。
なお、追加でさらなる下位モデルの「Svanar Wireless Jr」も発表され、そちらは「Svanar Wireless」「Svanar Wireless LE」両機種に搭載され、これら2機種の心臓部ともいえる「ヒマラヤDAC(HYMALAYA R2R DAC)」非搭載、筐体素材違い、ワイヤレス充電非対応などで差別化されています。これで価格は「Svanar Wireless」より大幅に安い1,099人民元(約23,000円)。ヒマラヤDACにこだわらないならこちらも注目です。
このほかの内容や特徴は「Svanar Wireless」同等。
有線のハイエンドイヤホン「Svanar」(229,900円)をベースとした完全ワイヤレスイヤホンで、音質特化型の意欲作。DAC内蔵の据え置きヘッドフォンアンプ「EF400」(税込み実売約8.5万円)に採用されているヒマラヤDAC(HYMALAYA R2R DAC)と、Svanarのトポロジードライバーを組み合わせ。Bluetoothチップとは別に独立したDAC回路とアンプ回路を搭載しています。
「EF400」に搭載されている自社製のR-2Rラダー型DAC(マルチビット型DAC)のヒマラヤDACを小型化して搭載。いわゆるマルチビットDACの骨太で実在感のあるサウンドを志向して搭載されたものです。
ヒマラヤDACはR-2Rラダー型DACの名チップ・PCM1704に匹敵する性能(24bitデコード)と、ポータブル機器に求められる低消費電力を実現したとしています。
ヘッドホンアンプ部も、完全ワイヤレスイヤホンでは異例のバランス回路構成となっています。また、音質優先のHIFIモードを搭載。バッテリー持続時間が短くなりますが、本機で聴ける最高の再生品位を提供します。
ダイヤフラムの表面に特殊なめっき処理を施した独自のトポロジーダイヤフラムを採用。コーティングが幾何学模様になっており、その形状と配合物、厚さを調整することで、周波数応答の完璧なコントロールを図っているとしています。
アクティブノイズキャンセリング(ANCモード)と外音取り込み機能(トランスペアレント・モード)も搭載。音質重視型モデルでは搭載されないこともある機能ですが、本機では機能性も確保しています。
ANCは最大-35dBを実現すると謳っており、なかなかの性能となっています。イヤホンの操作は本体タッチ式。Bluetooth 5.2準拠。
連続再生時間はHIFIモードで約4時間、ANCモードで約6時間、通常モードで約7時間。充電ケースでは3回のフル充電が行なえます。
「Svanar Wireless」は高音質なものの、価格が高い、また、LDAC接続時に安定しないなどの声があり、それらに応えた形でしょうか。
「Svanar Wireless」は専用アプリもなく、アップデートが困難なことなども指摘されていましたが、それらの点の改善は次作以降に持ち越しのようです。
LDAC非対応は残念ですが、音質に関わる重要部分は継承しているので、AAC接続時の音質は「Svanar Wireless」と遜色がないのではないかと推測されます。
ハイレゾコーデックには対応して欲しいところなので、HIFIMANの次回作ではLDACにこだわらず、aptX系のハイレゾコーデックやaptX Losslessなどに対応したモデルも期待したいところです。