ハイセンスジャパンは、BS/CS 4Kチューナー内蔵液晶テレビのハイクラスモデル「U8FG」シリーズを2021年11月上旬より発売します。
50型、55型、65型、75型の4サイズをラインナップ。すべてオープン価格で実売予想価格は、50型「50U8FG」が13万円前後、55型「55U8FG」が15万円前後、65型「65U8FG」が18万円前後、75型「75U8FG」が23万円前後。
4K液晶テレビのヒットモデル・「U8F」シリーズ(2020年発売)の後継。サイズラインナップと発売当初の実売価格は同じです。
もともと大手メーカー製の倍速駆動・部分駆動対応モデルのなかでもハイコスパと言われていた「U8F」シリーズがどのように進化したのか、大いに注目されます。内容は向上しつつ発売当初の実売価格は同じなので相変わらずのリーズナブルな価格設定もポイントです。
「U8F」シリーズと比較しての違いも織り交ぜながら、「U8FG」シリーズの特徴と魅力に迫りたいと思います。
BS/CS 4Kチューナー1基、地デジ/BS/CS 2Kチューナー3基を搭載する4K/HDR対応の液晶テレビという基本内容は「U8F」シリーズと同じ。
別売の外付けUSB HDDを接続すれば、2K放送の裏禄や2番組同時録画、4K放送の1番組録画が可能なのも同様。
HDMI入力端子は4系統。著作権保護技術のSeeQVaultも引き続きサポート。
HDMI入力端子は4系統。HDMI入力は従来同様、HDMI2.0準拠で、最新の上位クラスの4Kテレビでは採用が広がっているHDMI2.1には対応していません。これは2021年最新モデルの倍速駆動対応のクラスとしてはちょっと残念かもしれません。
HDRはHDR10に加えてHLGにも対応。これも従来と同様。他社のハイクラスモデルではドルビービジョンにも対応するものが多いなかでは機能を絞っている点です。
液晶パネルは、「U8F」シリーズでは全サイズがVA型でデジタルシネマ規格のDCI-P3をほぼカバーする広色域パネルでした。
今回、「U8FG」シリーズでは50型がVA型な以外は、視野角が広いIPSパネル系であるADSパネルに変更になっています。VAとADSパネルの見え方や雰囲気はいくらか異なるので、自分の欲しいサイズの画質をしっかりと見極める必要があるかもしれません。
解像度3,840×2,160。駆動は倍速(120Hz)。LEDバックライト仕様でローカルディミングあり。ここまでの基本内容は従来同様。
エリアごとに細かく分割制御する「ローカルディミングplus」を引き続き採用し、より高コントラストで発色豊かな映像を実現したとしています。
パネルの120Hz駆動とフレーム補間(クリアモーション)に加え、960Hzと高速でバックライトを明滅する「SMR960」機能により、残像低減性能も高めています。これらの機能もほぼ従来同様です。
バックライトと液晶パネルの間に挟んだバックライトブーストフィルムを新採用。光の量を調節する偏光フィルムによって遮られていた光を反射させることで、遮られた光を再利用し、輝度を全体的に引き上げたとしています。
また、映像エンジンが「NEOエンジンplus 2020」から「NEOエンジンplus 2021」に進化。映像エンジンの基本的な内容や搭載回路は従来を踏襲していますが、さらに人肌表現などの質感表現やノイズ処理が進化したとしています。
「3段階超解像処理」(4Kアップスケーリング)などの各種高画質化機能に加え、AIによる超解像処理などの基本的な回路名は共通。
通常の映像とざらつきが目立つシーンを判別し、それぞれのシーンに適した超解像処理を行い、常にノイズの少ないきめ細やかな画質を実現する「シーン別超解像処理」、映像の動き量をAIで判断し、動きの少ないシーン、動きの激しいシーン、それぞれに適切な超解像処理を行う「モーション別超解像処理」、映像のエリアごとの黒つぶれや白飛びを識別して抑制処理を行う「エリア別適正露出復元」なども引き続き搭載しています。
ハイセンスが得意とするゲームモードについては、「倍速」と「超解像」処理が可能な「ゲームモードplus」として名称は同じですが、内容は向上しています。
従来から低遅延を謳っていましたが、60Hz入力時は最小で約9.2msec、120Hz入力時は最小で約0.83msecと低遅延性能を明示。
新たに120Hz入力対応(4Kには非対応)しているのも大きな違いです。
低フレームレートのゲームも120fpsまでフレーム補間する「クリアモーション」も新搭載しています。
さらに、白とびや黒つぶれを復元して物陰に隠れている敵も見つけやすくなるという「HDR再現処理plus」も新搭載されています。
操作性の面では、独自UIである「VIDAA」を引き続き搭載。横と縦の両方にスクロールする操作体系により直感的で簡単に操作ができるようになっています。流行りのAndroid OSは採用していませんが、操作の反応の早さもポイントです。
NetflixやYouTube、Amazon Prime Videoなど様々な動画配信(VOD)サービスを従来同様に利用可能(4Kには非対応)。リニューアルされたDisney+にも新たに対応。Disney+については「U8F」シリーズでもアップデートで対応します。VODサービスへの対応具合やネット関係の利便性は従来同様のようです。
「U8F」シリーズでは音声操作は、GoogleアシスタントとAmazon Alexaに対応し、対応するスマートスピーカーやスマートフォンを介し、チャンネル変更や音の調整などが音声で操作できましたが、「U8FG」シリーズではこの機能は省略されたようです。
二画面表示機能の搭載は注目
二画面表示も引き続き可能で、生中継されるスポーツのダブル観戦、ニュースとアニメの同時視聴などが可能です。二画面表示時の画面サイズは3段階で拡大・縮小が可能。ただし、外部入力同士の表示、録画番組、動画配信サービス視聴中は二画面表示できません。
スピーカーシステムは、引き続き「Eilex PRISM」を採用し、高精度な補正を行うことで高音質を実現。
デジタル圧縮によって失われた信号を復元することで音質を改善する「サウンドリマスター」、スピーカーからの再生音に左右の広がりと高さや奥行きを感じさせて臨場感を高める「サラウンドスペース」などの高音質化機能も搭載。
「U8FG」シリーズではテレビ背面にはウーファースピーカーも新たに搭載。従来の薄型テレビでは実現できなかった重低音を外付け音響機器を使用することなく楽しめます。スピーカー出力は10W×2+20W。
テレビ本体にはスイーベルスタンドを新たに採用(75型は除く)。画面の角度を左右30度で回転して調整できるようになりました。これは使い勝手の面で大きな向上点と言えるでしょう。
4K入力対応のHDMI入力4系統で、HDMI入力 1のみARCが利用できます。そのほかビデオ入力、光デジタル音声出力、ヘッドホン出力も搭載。USB×2、LAN端子も備えています。これらのインターフェース関連も従来同様。
65型モデル「65U8FG」の本体サイズは145.2(幅)×86.3(高さ)×29.1(奥行)cm(スタンド含む)。重量は30kg(スタンド含む)。消費電力は280W。
一方、従来んp65型モデル「65U8F」の本体サイズは145.2(幅)×91.5(高さ)×35.6(奥行)cm(スタンド含む)。重量は25.8kg(スタンド含む)。消費電力は330W。
つまり、本体サイズは小型化されていますが、スイーベルスタンドに変わったせいか、重量は少し重くなっています。一方、消費電力は下がっており、省エネ化は進んでいます。
「U8F」シリーズと「U8FG」シリーズの比較では基本的な機能や性能は維持しながら、映像エンジンの向上により、画質を向上させた「U8FG」シリーズがより魅力的な印象。
全てVA型だった「U8F」シリーズから50型以外はADSパネルに変わっているのは大きな違いで、IPS系パネルにより魅力を感じる向きには大きなポイントでしょう。
「U8FG」シリーズではスピーカーも低音側の向上が期待できそうです。
「U8FG」シリーズで機能が後退している点はあまりないのですが、スマートスピーカー連携の音声操作機能が省略されたのは違いではありますので、注意してください。
総じて、価格は同じままと考えると、確実に内容は向上していると感じられます。
一方、2021年の倍速駆動・部分駆動対応の4K液晶テレビと考えると、HDMI2.1関連機能に対応していないのは物足りませんが、これらの機能はほとんどゲーム関連での恩恵ですので、最新ゲーム機を使わないユーザーであれば現実的には十分なスペックを備えたテレビと言えそうです。eARCに対応していないのは引っかかる向きはあるかもしれません。これについてはテレビを通さないで接続するという方法で対応はできるでしょう。
倍速駆動・部分駆動対応でIPS系のリーズナブルな4K液晶テレビ、というのが本機の業界全体での位置づけとなるでしょうか。
他社で搭載が進んでいるAndroid OSも搭載していませんが、VODを見るくらいしか実際にテレビのAndroid機能は使われないのが多くの実態でしょうし、むしろAndroid OSテレビでおきがちな、操作レスポンスの悪さが無い分、かえってメリットになるかもしれません。
「U8FG」シリーズは、倍速駆動・部分駆動に重点を置き、HDMI2.1やeARCはなくても構わない、その分安いテレビが欲しい、というユーザーに向いていそうです。