Apple Musicがハイレゾ対応化をこの6月から実施するという大きなニュースがあり、音楽・オーディオ業界の双方に衝撃を与えました。
一方で、Appleの既存のオーディオ機器ではハイレゾ再生ができないということも同時に報道され、混乱が広がっています。
すでにAirPods/ProやAirPods Maxでのハイレゾ再生不可の情報も広がっており、失望も起こっているようです。
さらに、Apple初のスマートスピーカーであり、Apple純正のホームオーディオ機器としても重要な存在である「HomePod」についても、Apple Musicのハイレゾ再生には非対応であるという話題が出てきています。
いまやスマートスピーカーの代名詞となったAmazonのEchoシリーズでさえ、ハイレゾ再生には対応している時勢ですが(Echo Studioなど一部の機種)、Amazonには自前のハイレゾストリーミングサービスがあるというハイレゾ再生を行うための理由があった一方、これまでハイレゾには見向きもしてこなかったAppleですから、スマートスピーカーでハイレゾ再生対応する必要が全くなかったからでしょう。
そもそも、HomePod自体、設定にAppleデバイスとの連携が必須、任意の音楽再生はAirPlay経由必須など、一般的なスマートスピーカーと比較しても、非常に制約が多く(Appleによる囲い込み)、そのため、音楽再生においてもさまざま制約があるというのが実情です。
HomePodには有線での音楽入力はできず、Bliuetoothにも対応していません。あるのはWi-Fiでの入力だけで、基本的に以下のオーディオソースしか対応していません。
・Apple Music
・iTunesで購入した音楽iCloudミュージックライブラリ(Apple MusicまたはiTunes Matchの登録が必要)
・Apple Music Radioまたはオンデマンドのエピソード
・TuneInのラジオステーション
・Apple Podcast
・iPhone、iPad、iPod touch、Apple TV、MacからHomePod miniにAirPlayでストリーミングしたその他のコンテンツ
対応ソースのトップにApple Musicがあることからも、HomePodはApple Musicを簡単便利に再生するための専用スピーカーのような機器です。しかし、HomePod自体がハイレゾ再生に対応していないため、Apple Musicがハイレゾ化したところで、ハイレゾ音源のビット深度やサンプリングレートのまま再生はできないということのようです(元がハイレゾの音源を再生できるとしてもダウンコンバートされる)。
また、AirPlay/AirPlay 2を用いて、Apple Musicをハイレゾ再生できる機器やアプリと組み合わせることでハイレゾ伝送できないものか、ということですが、これも不可。
AirPlay/AirPlay 2はそもそもハイレゾ伝送には対応していないからです。
オーディオニュースサイトなどでは、ハイレゾ対応を果たした次世代AirPlayの必要性と、その受信に対応するApple製機器の新開発が必要だろうと言っているところもあります。
全くその通りであり、従来のHomePodやAirPlayではハイレゾ伝送・再生ができないという悲しい事実が浮き上がってきます。
いずれにしろ、HomePodは最近、生産終了になっており、Apple Musicのハイレゾ化に対応できないこともあってのことだったのかもしれません。
ただ、HomePodでもハイレゾ品位での再生はできないにしても、CDレベル以下の品位でとりあえずApple Musc ハイレゾの音源再生は可能と思われるので、音さえ出れば(それでも十分な品位と思われます)いいというのであれば、ぶん投げるほどのことではないのではないでしょうか。
とにかく、Appleがスマートスピーカー販売を続けるというのであれば、今後の新製品はハイレゾ対応は必須となったと言えるでしょう。一日も早い対応モデルの発売を望みます。