中国・iBasso AudioのポータブルUSB-DACでいわゆるドングル型DACタイプの・DC-Eliteを2023年12月15日に発売。オープン価格で税込みの実売価格は約7.3万円。
DC-Eliteは、ドングル型DACの中でも高音質を追求したモデルで、iBasso Audioのドングル型DACの最上位モデルとなります。以下に、その内容と特徴を詳しく解説します。
DC-Eliteは、DACチップにROHM製の「BD34301EKV」を搭載しています。BD34301EKVは、高性能かつ低歪を実現したDACチップです。据え置き型の高級機や高級DAPでの使用実績はありますが、本機のようなドングル型DACに使われるのは異例であり、おそらくこのジャンルでは初めての採用です。
なお、「BD34301EKV」を搭載したiBasso AudioのDAPとしてはDX320MAX(約45万円)があります。
対応サンプリングレートは、PCMが最大768kHz/32bitで、DSD 512。側面にはLEDステータスインジケーターも搭載。
DC-Eliteは、本体にボリュームを搭載。ボリュームに自社開発の24段4セクションステップアッテネーターを搭載しているのも大きな特徴です。一般的な電子ボリュームなどよりも音質に有利な音量調整ができます。
「-1dB」単位での微細な音量調整や、ヘッドホンやイヤホンに合わせた最適なボリュームへのマッチングも行うことができます。
ただし、音質重視の一方、音量調節ごとに音の途切れが発生する副作用があります。
DC-Eliteは、6つのデュアルオペアンプを搭載しています。このオペアンプは、音の明瞭感や解像度を向上させるのに役立ちます。
DC-Eliteは、自社開発FPGA技術を採用しています。FPGAは、デジタル信号処理を高速かつ高精度に行うことができます。また、FPGAのクロックソースにはNDK製フェムトクロック水晶振動子を搭載しており、高精度なクロックを生成することで、ジッターを抑制し、より高音質な音質を実現しています。
DC-Eliteは、RICOH製Boost DC/DCコンバーターチップによる高効率電源を採用しています。この電源は、効率よく電力を供給することで、ノイズを抑制し、より高音質な音質を実現しています。スマホなど接続機器から電源を供給してもらって動作する仕様となるドングル型DACでは、音質を重視すると電力消費が大きくなり、スマホのバッテリーを消費してしまうというジレンマをうまく回避し、省電力と高音質を両立しています。
DC-Eliteは、3.5mmシングルエンドと、4.4mmバランスの両方のヘッドホン出力を搭載しています。3.5mmシングルエンドは、一般的なヘッドホンやイヤホンに接続できます。4.4mmバランスは、左右の音声信号を独立して伝送することで、よりクリアで立体的なサウンドを実現します。
DC-Eliteの最大出力は、バランス接続時で690mW、シングルエンド接続時で630mWと強力です。この出力は、インピーダンスの高いヘッドホンやイヤホンでも、十分な音量で鳴らすことができます。
外形寸法は、35×64×14.5mm(幅×奥行き×高さ)。重量は60.5g。
iBasso Audio DC-Eliteは、高音質を追求したドングル型DACです。高性能なDACチップや、自社開発のボリュームアッテネーター、高効率電源など、さまざまな技術を採用することで、高音質な音質を実現しています。また、3.5mmシングルエンドと4.4mmバランスの両方を搭載しており、さまざまなヘッドホンやイヤホンに対応しています。
iBasso AudioのドングルDAC・DC-Eliteの各種レビューから読み取れる肯定的な評価と否定的な評価は、以下のとおりです。
ドングル型最高峰と思われる高音質な音質
繊細な音の表現
広い音場
バランス接続に対応
自社開発のボリュームによる音質の向上
DC-Eliteは、音質や機能性において、多くのユーザーから肯定的な評価を受けています。特に、音質については、高解像度でクリアなサウンド、豊かな音場、力強い低音などが高く評価されています。
また、バランス接続に対応しており、インピーダンスの高いヘッドホンやイヤホンでも、十分な音量で鳴らすことができる点も、肯定的な評価につながっています。
音質面においては、いわゆるドングル型DACタイプのなかでは最高クラスという声が多く、10万円以上、あるいは15万円程度のDAPにも匹敵するという意見もあるほどです。「BD34301EKV」を搭載したiBasso AudioのDAP・DX320MAX(約45万円)に近似した内容をできるだけ盛り込んだとしているだけに、相当な実力を備えているようです。
価格が高い
音量調節時に音が途切れる
ドングル型DACにしてはサイズが大きい
高価な割にデザインがシンプル
一方、価格については、ドングル型DACとしてはかなり高価であるとの意見も見られます。また、3.5mmシングルエンドの出力や音質がやや控えめであるという意見もあります。
実用上の問題として、音量調節をするたびにアッテネーター方式のため、音が途切れるというのも弱点として指摘されています。
高音質化の代償として、ドングル型DACとしては大きく、重く、携帯性が損なわれているという意見もあります。高価なわりにデザイン性はそれほどでもないという意見もあります。
ただし、これらの点については、音質や機能性に対する評価と比較すると、さほど大きなマイナスにはならないと考えられます。
DC-Eliteは、価格に見合った、あるいはそれ以上に高音質なサウンドを実現する、高性能なドングルDACです。しかし、ドングルDACにしては高い価格や大きなサイズ、音量調節時の音の途切れ、デザインなど、デメリットも存在します。
高音質なサウンドをドングル型DACの形態のなかで求めるユーザーには、DC-Eliteはおすすめの製品と言えるでしょう。しかし、価格やサイズ、デザインを重視するユーザーには、他の製品を検討する余地もあるでしょう。