MUSINは、同社が取り扱う中国・iBasso Audioのカナル型イヤホン「IT00」を7月31日に発売します。オープン価格で、税込8,470円前後での実売が予想されます。
2018年発売の同社製イヤホン「IT01」(生産終了・発売当初の税込み実売価格約1.2万円、現在は約8,000円)の廉価版として発売。ダイナミック型1基という基本構成を引き継ぎつつ、金型の流用やケーブル材質の変更などにより低価格化を実現したとしています。
ドライバーは10mm径のダイナミック型。振動板には5μmのグラフェンを採用。グラフェンは多層で使用されています。「IT01」でも同じ説明ですので、振動板は同じものなのかもしれません、
また、「IT00」のマグネットには、特注の小型高磁力マグネットを搭載としています。「IT01」ではダブルマグネティック、つまり二重磁気回路と謳っているので、これも違うものかもしれません。ただ、どちらも、1テスラに近い磁力を持つ強力なマグネットとしているので、同じものを違うように表現しているだけかもしれません。
独自のデュアル・ヘルムホルツレゾネーターを搭載。ヘルムホルツ共鳴チャンバーとデュアルバスレフポートにより、低音の伸びや厚みを高め、高域と中域の再現力も高めています。この機構は「IT01」と同じようです。
ハウジングはいずれも樹脂で、「IT00」はホワイト。「IT01」ではブラックか、片チャンネルずつ赤と青の2パターンでした。ブラックは普通ですが、左右でカラーが違うタイプはかなり個性的で、目立つと言えば目立つイヤホンでした。
「IT01」ではUV表面改質処理を施したという光沢のある仕上げで、なかなかキレイに見えますが、「IT00」ではとくに表面処理には触れておらず、地味な見た目かもしれません。金型は流用しつつ少しでもコストを下げるために「IT00」では簡素化したと思われます。この簡素化は音には影響しない部分なので、合理的ではあります。
形状はいわゆるインイヤーモニター型で、装着方法はケーブルを耳の後ろに回すシュア掛け前提タイプ。金型は同じとのことなので、装着感は同じと思われます。
「IT00」の周波数特性は10Hz – 35kHz、感度は106±2dB、インピーダンスは16Ω。
「IT01」では周波数特性は10Hz – 42kHz、感度は108±2dB、インピーダンスは16Ω。
ユニットか磁気回路か、そのほかの部品が変わっているためなのか、スペックも違います。ハイレゾ対応相当の要件を満たしているのは「IT01」だけです。音の聴こえに影響するかはわかりませんが。
ケーブルのコネクターにはMMCXを使用。付属ケーブルも「IT00」は「IT01」よりグレードを落としているようです。
「IT00」の付属品は専用ケーブルのほか、9ペアのイヤーピース(S/M/L 各3ペア)、キャリングケース。「IT01」では11ペアのイヤーピースにキャリングケースは金属と豪華でした。
「IT01」はiBassoらしい押し出しの強いサウンドで、全体に高音優勢と評価されていました。そのあたりがどう変わるかが注目ですが、音の傾向にブレの少ないメーカーだけにどうでしょうか。
「IT01」は装着によってサウンドが変わりやすいとも言われており、本機も外観などを引き継いでいるならそのあたりもあまり変わらないでしょう。気になる方は要チェックの項目でしょう。
「IT00」だけで見ると、多くのリーズナブルな中国メーカーのイヤホンも多く手に入る現状だけに、特筆できる内容はそれほどでもないような印象です。しかし、iBassoは自社でDAPやDACポタアンなどを出しているので、それらのユーザーにとっては、相性のよいイヤホンが手軽に入手できる点で魅力的です。とくに、スマホやタブレット、PC用の小型USB-DAC/ヘッドホンアンプとして人気のDC02あたりとの組み合わせに適しているように思います(イヤホン+iBasso Audio)。