英国のiFi Audioは、ポータブルヘッドホンアンプ「micro iDSD Diablo」を2月5日に発売しました。価格は105,000円(税別)。
「micro iDSD Diablo」は充電式バッテリー内蔵のDAC/ヘッドホンアンプ。外形寸法は166×72×25mm(縦×横×厚さ)。重量は330g。
バーブラウン製DACチップ「トゥルー・ネイティブ」(DSD1793のこと?)を2基搭載し、USB入力で最大768kHzまでのPCM、およびDSD 512、MQAフルデコードに対応。
入力端子はUSB 3.0、同軸/光デジタル。出力端子は4.4mmバランス(ヘッドフォン/ライン固定)、6.3mm標準のアンバランス。USB入力とは別に充電用USB端子を備えています。
デジタル回路はiFi独自のクロック技術「GMT(Global Master Timing)」により、ジッターの影響を極限まで抑えた状態で動作するとしています。
デジタルインタフェースには新世代XMOS16コアチップを採用。XMOSのファームウェアをiFiで内製することにより、動作を最適化したとも謳っています。
ヘッドフォン出力は、バランス時611mW以上(600Ω)、4,980mW以上(32Ω)。アンバランス時153mW以上(600Ω)、2,147mW以上(32Ω)。非常にパワフルです。ヘッドフォン出力は3段階にゲイン切替可能。ゲインの違いでバッテリー持ちも変わるようです。
アナログ回路にNFBを各所で最適化したという「OptimaLoop」を採用したほか、伝送ロスを最小化した「PureWave」回路を搭載するなども特徴。
ポータブルヘッドホン愛好家には良く知られたブランドであり、これまでのモデルの音質評価も高いだけに、当然期待されているモデルです。
早速、国内発売と同時に多くのユーザーが買い求め、その音質などへの感想やレビューがツイッターや2chなどに上がってきています。
それらの傾向として、音質的には満足という声は多いです。さすがに実績のあるメーカーだけにこのあたりはうまくまとめているようです。
問題は音質ではなく、使い勝手にあるようです。というのも、本機はポタアンとは思えないほどパワーが大きく、イヤホンやヘッドホンによっては、ほんの少しボリュームを上げるだけでいわゆる爆音になってしまう危険性があるようです。
さらに問題なのは、特に高能率なイヤホンでなくとも、通常音量程度のボリューム位置でギャングエラーが起こってしまうらしいことです。ハイパワーなうえ、ボリュームの左右偏差が小ボリューム時に起こりやすいヘッドホンアンプで起こる状態ですが、残念ながら、使用するイヤホンと音量によっては本機で起こるようです。しかも、ゲインを最小にしても丁度良い音量でギャングエラーなしで聴けない場合もあるようです。この問題については、海外でも指摘されているようで、なかなか難しい問題のようです。
逆に一般的なヘッドホンでは上記のような問題は起こりにくいうえ、ポタアンでは駆動しにくいようなbeyerのT1のようなヘッドホンもしっかり鳴らせるようで、うまくヘッドホンを組み合わせれば非常にポテンシャルの高いポタアンのようです。
ただ、イヤホン使用時のギャングエラー問題については、同社が「iEMatch」という一種の抵抗を挟むことで、ポタアンのボリュームをギャングエラーの起こらない位置まで上げられるようにするアクセサリーを出しているので、本機に「iEMatch」を組み合わせれば、イヤホンでの相性問題は解決できそうです。問題は、「iEMatch」の4.4mm版はまだないこと。今後、「iEMatch」の4.4mm版も欲しいところです(2.5mm版に変換プラグを使えば強引に使えないこともありませんが)。
追記:「iEMatch」の4.4mm版は発売されました。