KORGは、次世代真空管・Nutubeを使ったポータブルヘッドホンアンプのキット「Nu:tekt HA-S」を2月下旬に発売すると発表しました。価格は25,000円前後とのこと。
Nutubeを搭載した、アナログ入力専用のポータブルヘッドホンアンプの自作キットで、はんだ付けは不要のため、初心者でもすぐに組み立てられるというのも売り。なにより、Nutubeによる真空管サウンドを手軽かつ気軽に楽しめるのが最大の魅力です。
外形寸法は111×65×29mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は電池を含まずに110g。電源は単3アルカリ乾電池2本で別売。電池寿命は約9時間。電源の汎用性の高さもポイントです。
内部にあるNutubeの光が透けて見えるケースデザインもおしゃれで、いかにも電子工作キット的な質実剛健的な雰囲気や、オーディオマニア的なごつい感じでもありません。
入力はアナログ専用で、ステレオミニのライン入力と、イヤホン出力を1系統ずつとシンプル。出力段のオペアンプを2種類同梱。JRCのMUSES01と、NJM4580の2種類で、ICソケットで簡単に交換できるので、オペアンプ交換による音質変化の楽しみも堪能できます。出力インピーダンスは10Ω、推奨負荷は15Ω以上。
NFB(負帰還)スイッチも搭載。NFBを掛けるモードでは高音質なクリーンで澄んだサウンドと、NFBを掛けない無帰還モードでは、温かみのある倍音豊かな真空管らしいサウンドと、切り替えて楽しめます。
あまりポータブルヘッドホンアンプ単体、ましてアナログ入力専用機となると、最近は影が薄くなっている時世ですが、本機はNtubeという強力な魅力があるので、十分に期待できそうです。
Ntubeをヘッドホンアンプ部に搭載しているDAPもありますが、かなり高価なだけに、手頃な価格でNtubeの音を既存のDAPやDACに付加できる本機は、合理的かつ音質面での魅力も十分というなかなかの逸品になりそうです。
キット初心者にもポータブルオーディオ愛好家にも、はんだ付け不要の仕様もありがたいところでしょう。
25,000円という価格は、DAPやイヤホンをはじめとするポータブルオーディオ機器の昨今のインフレ気味の状況からすると、高くはなく、むしろお手頃なくらいなのですが、ごく一般的なライトユーザーの人たちにその感覚でとらえられるかは難しいかもしれません。
コルグの電子楽器やオーディオインターフェースに馴染みのある、DTM愛好家やアマチュアを含むミュージシャンの方々にとっては、価格も内容も納得できるのではないでしょうか。そして、そういう方々も聴いてみたい、使ってみたいと思わせるヘッドホンアンプかもしれません。
ポータブルオーディオ愛好家からすると、本機にアナログ入力を供給する機器の選定が悩ましいかもしれません。
幅広いユーザーに使ってみて欲しいとおすすめしたくなる製品であることは確かです。ポタアン界の救世主かもしれない、というのは言い過ぎでしょうか(ポータブルヘッドホンアンプ+KORG)。