R-2Rラダー型DAC採用のポータブルプレーヤー「P6/P6PRO」といった近作があり、ポータブルオーディオ業界でも確固たる地位を築いている、中国・Luxury&Precision(楽彼)から、いわゆるUSBドングル型のUSB-DAC・ポタアンの新モデル「W2」が5月14日より発売。実売価格は税込み39,600円程度。本体カラーはブラック。
DACチップにシーラスロジックのCS43198を2基搭載し、3.5mmステレオミニと4.4mmバランス(Pentaconn)の2つのヘッドホン出力を搭載。外形寸法は60W×22H×12.5Dmmで、質量は22g。
Luxury&Precisionは昨年末にもシーラスロジックのCS43198を1基搭載し、3.5mmステレオミニと4.4mmバランス(Pentaconn)の2つのヘッドホン出力を持つ同様のUSBドングル型のUSB-DAC・ポタアン「W1」も税込み29,700円程度で同時に出しており、本機はその上位モデルとなります。
正直、機能面(3.5mmステレオミニとバランス出力を両方搭載)では似たようなモデルが増えており、差別化が難しい状況。
そこへ本機は、物理的なハイスペックをアピールポイントとして投入してきました。
以下のスペック比較サイトでも触れられています。
いわゆるSN比は131dBと、たしかに価格、サイズ、製品形態を考慮すると非常に高く、また、スペックを重視する方々が注目するSINAD (Signal to Noise and Distortion)は118.8dBと、どうやらUSBドングル型のUSB-DAC・ポタアンでは最高値のようです。THD+N 0.000115%も高水準。
こうした数値はほとんどの場合、人間の知覚限界以下で競争されていますが、それでもこれらの数値が良い機器ほど、音質が良い、という意見を持つ人もいます。
また、高性能FPGAを採用し、EQ処理に専念させているのも特徴。
ヘッドホンアンプの出力としては4.4mm使用時・230mW @ 32Ω。
他社の場合は、オペアンプやヘッドホンアンプの質、出力、駆動力などを大きくアピールすることも多いのですが、本機の場合はそうでもないようです。
国内発売前ですが、海外から購入した方のレビューはこちらの2chまとめに出ています。
物理スペックの高さのゆえなのか、ホワイトノイズを感じやすい高感度・低インピーダンスのイヤホンでもホワイトノイズを全く感じなかったというのが特徴でしょう。
メーカーとしても幅広いイヤホンでホワイトノイズを感じない設計だからこそ、物理スペックの高さをアピールしているものと思われます。
音の好みはありましょうが、USBドングル型のUSB-DAC・ポタアンでホワイトノイズに悩まされている人は検討の価値がありそうです。
ヘッドホンアンプの駆動力の一端としては、ゼンハイザーのHD 800Sをバランス接続のハイゲイン設定でならば、まあまあ鳴らせたというのは参考になりそうです。
ポータブル機ではまあまあのレベルで鳴らすのも難しいと言われているハイインピーダンスの高級開放型機です。常識的なインピーダンスのヘッドホンならば、しっかり鳴らせそうではあります。
最近増えているUSBドングル型のUSB-DAC・ポタアンのなかでのベスト機種とまで評価する人もいますが、スペック重視の人にとっては強ち嘘ではないでしょう。価格的にはLotoo PAW S1あたりが競合しそうな感じです。(ポータブルヘッドホンアンプ+Luxury&Precision)。