パナソニックの4K液晶テレビ・VIERA 2022年モデルのLX950シリーズは、同じく2022年モデルのLX900シリーズと比較して何が違うのかを解説。また、両モデルに共通の特徴も紹介し、両シリーズの内容を把握できるようにします。
4K液晶ビエラ「LX950」
・75型「TH-75LX950」 約41万円 6月24日発売
・65型「TH-65LX950」 約31万円 5月27日発売
・55型「TH-55LX950」 約28万円 同上
4K液晶ビエラ「LX900」
・49型「TH-49LX900」 約19万円 6月17日発売
・43型「TH-43LX900」 約18万円 同上
昨年の同クラス機・JX950とJX900は、いずれも75型、65型、55型のラインナップでしたが、今回、LX900は、49型と43型というように、上位のLX950とサイズが全く被っていないようにラインナップされています。
JX950シリーズとJX900シリーズの内容面でのおもな違いは、「パネル性能」、自動音質調整機能「オートAI音質」、「イネーブルドスピーカー」HDMI2.1関連機能の「VRR」など。その他の基本機能と機能性は変わりません。
LX950・LX900シリーズともに、4K/3,840×2,160ドットの倍速パネル。LX900の43型のみVA液晶で、ほかのサイズははすべてIPS液晶を採用しています。
LX950シリーズのみ、輝度とデザイン性を高め、自社工場で高精度に組み上げた、「プレミアム液晶ディスプレイ」を使用。一方、LX900は「高輝度液晶」を使用。
「プレミアム液晶ディスプレイ」は、従来よりもLEDバックライトの数を増量しながら、放熱設計を強化することで、高輝度と高コントラスト性能を実現したものとのこと。パネル面とフレームの段差をなくしたフラット構造も特徴となっています。
自動画質・音質調整機構「オートAI画質/音質」を昨年モデルに引き続き搭載。
「オートAI画質」は、100万を超える映像のシーンから学習用データベースを構成しているAI(人工知能)によりシーンに応じて自動的に最適な画質の調整を可能にしている機能。「オートAI音質」も同様の原理で音質コンテンツに最適な音場に調整してくれる機能です。
LX950シリーズでは「オートAI画質/音質」と、両方搭載。LX900シリーズでは「オートAI画質」のみ搭載となっています。
LX950シリーズでは環境光センサー(照度センサー+色温度センサー)連動機能も追加し、明るさ・色に合わせて自然な画質に自動調整してくれます。
SDR信号については、LX950では「AI HDRリマスター」、LX900では「4Kファインリマスターエンジン」で処理してHDRライクな映像として再現します。
PS5やXbox Series X、PCなどの4K高画質かつ、ハイフレームレートのゲームが楽しめる「4K120p入力」や、入力機器からの情報に連動して自動的に低遅延モードに切り替わる「ALLM」は全機種で対応しています。
ただし、「VRR」(可変フレームレート・フレームレートが変動するゲーム映像を滑らかに表示する機能)、「AMD FreeSync Premium」(AMD製対応グラフィックスカード接続時に低遅延で滑らかなゲーム映像を表示可能)は、75型「TH-75LX950」と43型「TH-43LX900」の2機種のみ対応しています。
「4K120p入力」「ALLM」に加えて、「VRR」「AMD FreeSync Premium」が欲しい人は、LX950・LX900シリーズのどちらかにこだわるというよりも、対応機のサイズで選び分ける必要があります。
両シリーズとも、立体音響のDolby Atmosに対応。テレビ本体のスピーカーのみで立体音響を再生。従来のステレオ音声も立体音響に変換できます。
LX950シリーズのアンプ構成は計60W(15W+15W+15W+15W)。スピーカー構成はフルレンジ2基に加えて、イネーブルドスピーカー2基を搭載の「360立体音響サウンドシステム」を搭載しています。
テレビ背面上部に搭載したイネーブルドスピーカーは、音を天井に反射させることで立体的で臨場感ある音を生み出すことに寄与。最新の立体音響であるDolby Atmosコンテンツの再現性もアップしています。音像定位を画面中央に寄せ、より自然な聴こえになる効果もあります。
LX900シリーズのアンプ構成は30W(15W+15W)にスピーカーはフルレンジ2基と、小規模になっています。
スタンドを含めた外形寸法と重量の違いです。
LX950シリーズ
・TH-75LX950:168.0×35.0×104.4cm(幅×奥行き×高さ) 約52.5kg
・TH-65LX950:145.1×30.3×89.1cm(同) 約32.5kg
・TH-55LX950:123.1×30.3×76.7cm(同) 約22.5kg
LX900シリーズ
・TH-49LX900:109.9×25.0×69.1cm(同) 約19.0kg
・TH-43LX900:96.6×25.0×61.7cm(同) 約16.0kg
上記以外の内容、チューナー数や基本的な映像処理回路、ネットワーク機能などは両シリーズで変わりません。
いわゆる映像エンジンについては、高画質技術「へキサクロマドライブ」を搭載。パナソニックの4Kテレビではおなじみの回路です。
いずれも、4K/3,840×2,160ドットの倍速パネルを採用。パネル方式は上記のように43型以外IPS。
エッジ型LEDバックライトと信号処理によるコントラスト処理を組み合わせた「Wエリア制御」(部分駆動)を高精細なアルゴリズムを搭載して採用しています。
素材解像度検出処理により、4K放送から地デジ、ネット動画などの映像を4K高精細化する独自の「4Kファインリマスターエンジン」を昨年モデルから改良して搭載。
HDR処理も、シーンに応じて明るさやコントラストを適切に高画質化処理することで、一段と明るく高コントラストに表示できるよう昨年モデルから改善しているとしています。
サポートするHDRは、HLG、HDR10、HDR10+、Dolby Visionの4方式に加え、視聴環境にあわせて高画質処理を行なうHDR10+ ADAPTIVE、Dolby Vision IQ、静止画用のHLGフォトに対応。
ゲーミング向けのUI「ゲームコントロールボード」が新搭載。
ゲームプレイ時に映像のフレームレートやHDRメタデータなどのソース情報を表示できるほか、映像の暗部を調整して映像の陰の部分を見えやすくする「暗部視認性強調」など 、ゲームプレイに特化した機能を利用できます。
両シリーズとも、BS4K・110度CS4Kチューナーを2基、地上/BS・110度CSチューナーを3基搭載。外付けUSB HDDをつなげば、2K放送、または4K+2K放送の2番組同時録画に加え、4K2番組同時録画に対応。
2画面機能も4K放送に対応。2K/4K放送+2K放送、2K/4K放送+BD/録画番組視聴が可能に。ただし、4K放送の2画面表示はできません。
お部屋ジャンプリンクを使った4K放送番組の受信に引き続き対応。4Kディーガなど“4Kお部屋ジャンプリンク対応サーバー”を組み合わせることで、ディーガ内の4K録画番組を4K解像度のまま受信・再生できます。
Bluetoothリモコンも付属。動画配信サービスのダイレクトボタンが従来の6個から、8個になった新リモコンとなっています。
従来のビエラ音声操作に加え、Google アシスタントとAmazon Alexaに対応(使用時はいずれか1つを設定)。
両シリーズとも、地震などでのテレビの転倒を防ぐ転倒防止スタンドを搭載。いずれも底部の吸着システムを使い、転倒を防ぎます。
全モデルとも、HDMI入力は4系統搭載。うち入力1・2は4K120pまで、入力3・4は4K60pまでサポート。eARC/ARC対応は入力2のみ。
HDMIの他の端子は、ビデオ入力×1、光デジタル音声出力×1、サブウーファー端子兼用ヘッドフォン×1、LAN×1、USB×3を備える。USB1端子のみUSB 3.0に対応。無線LANを内蔵。Bluetoothは送受信をサポートし、テレビの音を2台まで同時送信できます。
どちらをどう選ぶかは、どれだけ高画質と高音質にこだわるか、ということでしょう。
画質面での違いのおもな要因としてはプレミアム液晶ディスプレイと「オートAI画質」の一部内容であり、4K液晶テレビの画質を大きく左右する映像エンジン、パネル駆動、バックライト制御、パネル方式(IPS)は共通なので、下位のLX900シリーズでも十分な画質レベルに達していると言えそうです。
一方、音質面では「オートAI音質」、およびイネーブルドスピーカーの搭載有無で、画質よりも差をつけている印象ですが、これもスピーカーをサウンドバーなどの外部機器でまかなおうとしているのであれば関係なくなります。
「4K120p入力」「ALLM」に加えて、「VRR」「AMD FreeSync Premium」が必要なユーザー(つまり、現時点ではこれらの全てがあればより高画質に楽しめるゲームユーザー)であれば、TH-75LX950か、TH-43LX900を選ぶことになるでしょう。
設置性の良さでは、より小型・軽量なLX900シリーズのほうが良好でしょう。このクラスともなるとあまりそういったところは問題にはならないかもしれませんが。