シャープは、2021年6月29日、「mini LED 次世代ディスプレイ」を開発したと発表。試作機を、株主総会会場で、株主に対して先行公開しました。
「mini LED 次世代ディスプレイ」は液晶ディスプレイの輝度やコントラストなどの性能をこれまでよりも大幅に向上でき、「大画面テレビのさらなる高画質化を実現できる」技術。
65型画面の試作機では、既存製品「4T-C65CH1」に比べて、約10分の1サイズの小型LEDをバックライトに使用。これを8000個以上配置。1,000以上のエリアに細かく分割して駆動。
描写する映像に応じて各エリアのLEDの点灯・非点灯をきめ細かく制御し、電力を効率的に活用。2,000nit(cd/m2)以上の高いピーク輝度と、100万:1以上の高コントラスト比を実現したとしています。
また、青色の光を波長変換することで、より効率的に豊かな色彩表現を実現する「量子ドット技術」によりバックライト光の波長変換を行なうことで、従来機比約1.2倍の広色域表現も可能としています。
つまり、これまでの液晶ディスプレイの部分駆動(せいぜい数百)を大きく超える数千エリアまでの部分駆動が可能になることで、明暗のコントラスト、明るい部分の最大の明るさの双方の能力を大幅にアップさせることで、これまで以上に自然に近い引き締まった黒と明るさが表現できるものです。
現在の液晶テレビはどうしても有機ELテレビに比べて、特に黒の引き締まりが劣るとされていますし、また、HDR表現で重要なピーク輝度の高さも不足気味、あるいは普及価格帯では大きく不足するといった弱点がありました。
これらを一気に払拭できるだけの実力を備えているように試作品のニュース記事ではうかがえました(とくにAVウォッチの記事が参考になります)。
もちろん、まだ試作であり、この技術の早期実用化を目指しているという段階ですが、ホームシアター、ビジュアル機器の愛好家はもとより、広く一般のユーザーも注目のニュースでしょう。
mini LED自体はシャープの独自技術でもなくそう目新しい話でもなく、TCLがすでにテレビを製品化していますが、TCLのmini LEDテレビも現状は1000未満の分割駆動数。やはり今回の試作機の性能は高いようです。ただ、TCLも数千単位の分割駆動ができる「Vidrian Mini-LED」の今後の開発も発表しています。
さらに、液晶や有機ELに次ぐ「第3のディスプレイ方式」と言われる「マイクロ LED」方式というものもあり、次世代の高画質テレビの方式が一体どれになるのかはまだまだわかりません。