北日本音響(株)は、自社ブランドMotherAudioから、ピュアボロン振動板を採用した世界初のダイナミック型イヤホン「ME5-BORON」を発表しました。クラウドファンディングサイト「GREEN FUNDING」にて早期購入プロジェクトを開始しました。
通常価格は36,900円(税込)で、GREEN FUNDINGでは数量限定で早期割引価格にて購入可能。発送は2021年8月中旬より順次開始予定。一般販売は今のところ未定としています。
1980年代後半のスピーカーに用いられていた「ピュアボロン(B4C)」を、イヤホンの振動板素材として世界で初めて採用し製品化。
ピュアボロンは秒速10,000mを超える音の伝搬速度と適度な内部損失を兼ね備えた、スピーカー用振動板として理想的な特性を持つ素材だとされています。音の聴こえとしては音の立ち上がりが良く高解像度、かつ素材固有の音が乗らないと、いずれもスピーカーでは高音質とされる要素を表現できると言われています。
今回搭載した振動板は、独自のボロン開発技術を持つ美濃窯業(株)との共同開発、およびボロン振動板の開発にも携わっていたというスピーカーエンジニアの協力を得て実現したものとしています。
ハウジングは真鍮削り出しで、表面はニッケルグロッシーコート仕上げ。再生周波数帯域は5Hz – 20kHz、インピーダンスは16Ω、感度は105dB/mW。質量は6.8g。
MMCX端子によるケーブル着脱にも対応。付属ケーブルは銀メッキ高純度単結晶無酸素銅導体を採用。
ピュアボロン(B4C)といえば往年のDIATONE(ダイヤトーン)。現在でもダイヤトーンのピュアボロン採用スピーカー(おもにスコーカーに採用されていました)は中古市場でも高値取引されています。
音質的にも物理特性的にも昔から評価は高いものの、ピュアボロン採用ユニットは壊れやすいのが弱点とされ、ダイヤトーンの名機群もあえなく振動板が破損してしまったモデルが時間とともに増えているようです。
そんなこともあり、また、ダイヤトーンのスピーカー自体縮小、ダイヤトーン以外のメーカーも手を出さず、ということで、ピュアボロンスピーカーは市場から姿を消しました。当のダイヤトーン自体は高級スピーカー自体は継続しているのですが、現在は昔使っていた素材は全然使っていないくらい変わっていますし(DS-MA1を2006年に発売しましたが生産終了)。ただ、カーオーディオ用スピーカーに使っているようですね…。
とにかく、この2021年、今度はイヤホンの振動板として復活。ボロン振動板の開発にも携わっていたというスピーカーエンジニアの協力を得て実現、とあるので、おそらく当時のダイヤトーンのスピーカーに関係している方が携わっているのでしょう。
振動板技術は進歩しており、イヤホン用としてはいまやピュアベリリウムが注目されています。ピュアボロンも十分に注目できる素材でしょう。ピュアベリリウム(いまのところ20万円程度)と違って、既存モデル「ME5」の部品をベースに開発することでコスト抑制も図っているなど、価格面でのコスパも高いようなので、この点でも注目です。
一般販売が大いに期待されます(イヤホン+MotherAudio)。