衛星デジタル音楽放送『ミュージックバード』は、デジタル音声信号に特有の「時間軸歪み」を取り除くことで音のにじみが解消されるという英MQA社の符号化技術「Deblur Filtering」を放送に導入。6月1日より、世界初の「MQAデブラー放送」をスタートさせると発表しました。
Deblur Filtering は、デジタル音声信号に特有の「時間軸歪み」を取り除くというデジタルオーディオ符号化技術。音のクリアさが増し、定位感もよくなるという感覚的な改善効果が知られています。
ハイレゾ相当の音質と「時間軸歪み」除去の両方の特徴を兼ね備えたMQA音源でも使用されている技術です。
MQA音源では、ファイルサイズを小さくするために「折り紙」圧縮技術を用いていますが、「MQAデブラー放送」では「折り紙」圧縮技術を用いません。
MQAの「時間軸歪み」除去技術の有用さを認識しているオーディオ愛好家は少なくないようですが、不可逆圧縮である「折り紙」技術が気になっていた向きもあります。
世間はApple Musicのハイレゾ対応化で、これまで以上にハイレゾ音源への関心が高まっています。そんななか、ハイレゾ(相当)の放送をハイレゾが普及する以前から続けているミュージックバードの存在も賞賛に値すると思います。長年のノウハウがある分、こういったMQA技術を活用しての高音質化といった手法にも長けているのもメリットでしょう。
従来のデジタル音声にDeblur Filteringのみを加えて高音質化できる手法がこれを機会に拡大できるのであれば、大いに期待したいところです。
デジタル音源再生の難しさの深さ(とくにジッターの影響の大きさ)には以前から驚いていますが、ライトユーザーの多くはそれに気が付かないまま、ハイレゾストリーミング普及に突入してしまうのは、デジタル音源は音が悪いという誤った認識(CD黎明期のように)を植え付けてしまわないかと心配です。そんなことのないように、大手配信サイトもできるだけの音質維持策を講じてほしいものです。