インターアクションは2022年8月5日、オーディオブランド・Olasonic(オラソニック)事業を8月31日で終了すると発表。「事業の状況及び今後の成長性等を総合的に熟慮した結果」だとしています。
修理対応については、部品供給が終了している一部製品を除き、2023年8月31日まで対応するとしています。
Olasonicは東和電子が2010年に立ち上げたオーディオブランド。卵型のフォルムが特徴のPC用USBスピーカー「TW-S7」でデビュー。手軽でコンパクトな形状・使用感とは裏腹の高音質ぶりで、PC用スピーカーとして幅広い層に人気を博しました。卵型アクティブスピーカーのラインナップを拡大するとともに
2013年にはCDジャケットサイズの超小型の単品コンポ「NANOCOMPO」シリーズを発表。デスクトップで本格的なオーディオを楽しめるコンポメーカーとしても存在感を発揮しました。
その後2017年に、IoT関連事業におけるCCDやCMOSセンサー向け検査用光源装置など、B to B事業を手掛けるインターアクションへ、Olasonicブランドとその事業が譲渡。その後は、一体型のBluetoothスピーカーを手掛けるなど、時代やユーザーの新たなニーズや流行に合わせようとしていました。
Olasonicといえばやはり、卵型のアクティブスピーカー「TW-S7」であり、また、「TW-S7」に搭載されていた、USBの限られた電力でも大出力を実現できる独自の電源供給方式「SCDS」でオーディオ愛好家にも知られていました。
1万円程度の安価で、USB接続だけの手軽さと、USB接続によるデジタル直結の高音質を両立できるPC用スピーカーは当時は珍しく、卵型フォルムによる回折の少ない音場感に優れたサウンドも相まって、広く支持されました。
その後も入力対応を増やしたり、AC電源による汎用性の高いアクティブモデルや、2ウェイ化によるハイレゾ化、リモコン付属など、小型アクティブスピーカーに求められるニーズをうまく満たすラインナップを増やし、小型アクティブスピーカー業界で確固たる地位を築きました。
しかし、2017年にインターアクションに事業譲渡されたあとは、アクティブスピーカー業界のBluetooth化や、左右一体型スピーカーではなく一体型のバースピーカー型が流行するといった流れにうまく乗れなかったようです(ラインナップはしてましたが、あまり売れなかった?)。
単品コンポ事業も、マニア的な評価は高いものの、一般的なユーザーがデノンやマランツあたりのエントリーコンポを買う層を奪うまでには至らなかったようです。
PC用のアクティブスピーカーに早くから手を付けていたオンキヨーも苦労の末、ブランド消滅の危機は乗り越えましたが、前途は多難かもしれません。
PC用のアクティブスピーカーを2010年代に得意としていたメーカーが2つとも苦しいことになったのを見ると、時代を流れを感じます。
それでも、PC用の小型アクティブスピーカーのメーカーとして、国内ではクリプトンやフォステクス、海外ではEVE AudioやAudioengineなどが頑張っているだけに、時代の流れだけで片づけられないところもあるでしょう。
生産完了品も含めて、OlasonicのTWシリーズを愛用していた・現在も愛用しているという声を、このニュースのあと、ツイッターなどでたくさん見ました。
このままOlasonicブランドが終わり、どこも継ぐところもなければ今後は、Olasonic製品の修理対応などのアフターフォローはできなくなります。この点は、アフターフォローも復活したオンキヨーとは異なります。
残念ではありますが、このような見通しですので、OlasonicのTWシリーズに愛着のある方々は、いまのうちに動作良好な機体を中古であっても確保しておくのが良さそうです。