オンキヨーホームエンターテイメントは、HDMI入出力を備えた2chアンプ「TX-8390(S)」を、クラウドファンディングサイトのGREEN FUNDINGで、8月30日から発売しました。価格は台数限定先着で89,800円から。
HDMI入出力のほか、各種デジタル入力、ネットワークオーディオプレーヤー機能などを搭載したステレオプリメインアンプ。マイク補正対応の音場補正機能も搭載しており、マルチchのAVアンプをステレオ再生に特化させたようなモデル。
定格出力は135W+135W(8Ω)、最大出力は200W+200W(6Ω)。低ノイズの電源トランスや平滑コンデンサなどを投入。
DACチップは旭化成エレクトロニクスの「AK4458」を採用。独自のデジタルノイズ除去技術の「VLSC」も搭載。
HDMI入力は6系統、出力は2系統。4K/60p、HDR、BT.2020信号もサポート。
USB入力、アナログ音声入力、同軸デジタル入力、光デジタル入力も搭載。アナログ音声出力に加え、サブウーファー出力も2系統。
ステレオ機では珍しい自動音場補正「AccuEQ」を搭載し、ステレオスピーカーの距離、出力レベル、そして、サブウーファーを使用する際にはクロスオーバー値なども自動的に部屋の環境に最適化。
Wi-Fi機能も備え、ネットワークオーディオプレーヤーとしても利用可能。MQA、DSDなどのハイレゾ音源にも対応。Amazon Music, Spotify, Deezer, Radiko.jp, TuneInといった音楽ストリーミングサービスに対応。
ほか、Apple AirPlay 2やChromecast built-in、Bluetooth経由での音楽再生、Googleアシスタント、Siri、Alexaからのボイスコントロールにも対応。
アプリの「Onkyo Controller」を介して操作ができます。
5mm厚のアルミフロントパネルを採用。コントロールノブにもアルミ削り出しパーツを採用。外形寸法は435×174×383mm、重さは11.8kg。
オンキヨーから、このタイミングで新製品
とにかくもう以前の状態ではないオンキヨーから、このタイミングで新製品。しかも、通常販路ではなくクラウドファンディング。
しかし、いろいろと仕方ないところもあります。実は本機は2019年には開発されており、国内発売されていなかったという事情があります(海外では発売されたのかもしれません)。ということで、つい最近のオンキヨーの末期的状態で設計されたわけではないので(それでも当時も厳しかったでしょうが)、中身は大丈夫でしょう?
実は2019年開発のため内容の一部は最新規格に対応していません
しかし、そのために内容は最新ではなく、HDMI入出力の対応スペック(8Kや120Hzなどが非対応)や、Apple Musicのハイレゾ・ロスレスストリーミング非対応など、最近のトレンドが反映されていません。
また、似たようなHDMI入力対応のDACプリメインアンプは、マランツのNR1200という定番モデルがあり、なかなか厳しいところです。10年、いや15年前ならオンキヨーのブランドでライトユーザーにも売れたでしょうが(実際、HDMI入力はないものの、本機と似たような基本内容を持つネットワークレシーバー群はオンキヨーが定番でした。そういうのもすべてマランツに持っていかれたわけですが)。
いずれにしても、すでに開発してあったモデルの販売であり、売却前のオンキヨーの残務整理という趣すら感じさせます。今後、入手の難しい旭化成のDACチップを使っているところも幸の薄さを表してしまっているようです。
それでも、内容的にはこれまでオンキヨーが培ってきた技術の図らずもその集大成的なモデルとして(それにしてはエントリークラスになってしまいますが。いや、オンキヨーはエントリークラスこそ強かったのでこれでいいのでしょう?)、記念碑的な(墓標?それはあまりに悲しい)モデルとして受け止めたいと思います。
悪いことばかりではなく、今後はシャープたちによって、オンキヨーブランドが引き継がれていくことに希望を持ちたいとも思います。まずは、本機のDACチップを変更したうえで内容を最新版にアップデートしたモデルも期待したいところです。
本機のレビュー情報については、発売直後のタイミングではほとんどありません。これがD&Mなら製品発表と同時に各ニュースサイトでレビュー記事が出るところですが。一般ユーザーとて容易に入手できませんし、量販店での試聴も難しいので当然でしょう。オンキヨーの現状を反映しています。オンキヨーの製品なのに価格コムに製品ページすらできない時代が来るとは…。
今後、発見しだいレビュー情報を追加する予定です。
(既存のモデルでもっとも近い構成を持つTX-8250 HDMI端子は非搭載)