エミライは2023年9月12日、米国OPPO Digital製品のアフターサービス業務を終了したと発表しました。
OPPO Digitalは、2018年4月にオーディオ・ビジュアル関連機器の新製品の企画・開発を終了していましたが、それまでに発売されていた機器が販売終了後も市場で高い評価を受け続けており、中古流通も活発だったなどあり、エミライが2020年6月よりOPPO Digital Japanからの事業譲渡をうけ、米国OPPO Digital社製品のアフターサービス業務を継続していました。
独自に確保した保守用部品を使ってできる限り修理業務を継続する努力を続けてきたとのことですが、保守用部品の供給が停止されてから5年が経過し、在庫が払底。今後状況が改善される見通しもないことから、修理等のアフターサービス業務の全てを終了するに至ったとのことです。
OPPO Digitalのオーディオ・ビジュアル製品というと、UHD BDプレーヤー「UDP-205」「UDP-203」、USB-DAC「Sonica DAC」、DAC内蔵ポータブルヘッドホンアンプ「HA-2」、平面磁界駆動型ヘッドホン「PM-3」などがありました。
いずれも高い評価を受けている機器ばかりですが、4K Ultra HD Blu-rayをはじめとして、Blu-ray、CD、SACD、DVD Audioなどハイファイ系12cmディスクすべてを再生できるユニバーサルプレーヤーとして「UDP-205」(2017年発売)の人気・評価がとりわけ高いものがありました。DACやネットワークオーディオプレーヤー機能も搭載した、まさに全部入りのディスクプレーヤーでした。
映像系ディスクも含めたユニバーサルプレーヤー兼DAC/ネットワークオーディオプレーヤーは、オーディオ・ビジュアルを一台の機器で賄いたい向きにはありがたい存在であり、「UDP-205」の人気はUHD BDプレーヤーを軸としてユニバーサルプレーヤー兼DAC/ネットワークオーディオプレーヤーの需要を示した動きと思われました。
ところが、「UDP-205」以外にめぼしいライバル機が現れないまま2018年4月に「UDP-205」の販売が終了、その後も「UDP-205」の音質・機能性・利便性の総合力に迫るライバルも現れなかったため、「UDP-205」を確保してメンテして使い続けるユーザーが相当数いるという状況が今日まで続いていたわけです。「UDP-205」はSACDなどのアナログマルチch出力、ステレオXLRバランス出力があるのも大きいようです。
しかし、ついにメンテ用の部品も底を突いたようで、アフターサービス終了の無情なアナウンス。
なお、2023年現在は、REAVONのユニバーサルプレーヤー「UBR-X200」(実売約30万円)が「UD-205」に最も近い機能性(SACDなどのアナログマルチch出力、ステレオXLRバランス出力もある)とグレードを備えた現行品であり、いくらかの機能性のマイナス(Wi-Fi機能やタブレット/スマホ用アプリが無い、TIDALなどの高音質音楽ストリーミング・サービスやNetflixなどの映像配信に対応していない、ヘッドホン出力がない)はありますが、画質面では上、音質も拮抗しているという評価もあり、アフターサービスのことを考えると「UDP-205」の代替機となりえるのではないでしょうか?
もちろん、アフターサービスのない「UDP-205」を使い続けるのも自由だとは思いますし、ディスク部分が壊れてもDACなどは使えるでしょうし。
いずれにしても、高音質オーディオ再生に対応した映像ディスクプレーヤーというものが過去のものになりつつある、ということを感じさせられる事態です。