パナソニックは、新フラグシップ4K有機ELテレビ“有機ELビエラ”「HZ2000シリーズ」を10月16日に発売しました。65型と55型のラインナップで、65型機「TH-65HZ2000」は税抜49万円前後、55型機「TH-55HZ2000」は税抜35万円前後での実売が予想されます。
パナソニックの“有機ELビエラ”の2020年モデルは先に「HZ1800」「HZ1000」シリーズを展開していますが、「HZ2000シリーズ」は両シリーズの上位に当たり、同社では現在最高の4K有機ELテレビということになります。
「HZ1800」「HZ1000」シリーズも画質、機能ともに高水準のテレビですが、「HZ2000シリーズ」はさらに上の画質を狙ったハイクオリティーモデルとなっています。
では、「HZ2000シリーズ」と「HZ1800」「HZ1000」シリーズを比較しての違いをご紹介して、どのようなニーズにどのシリーズが合っているのかも考えてみます。
まずは、価格の違いです。
【4K有機ELテレビ・VIERA HZ1800シリーズ】
・65型「TH-65HZ1800」 税込み実売約36万円程度 8月下旬発売
・55型「TH-55HZ1800」 税込み実売約26万円程度 8月下旬発売
【4K有機ELテレビ・VIERA HZ1000シリーズ】
・65型「TH-65HZ1000」 税込み実売約34万円程度 6月26日発売
・55型「TH-55HZ1000」 税込み実売約20万円前後 6月26日発売
【4K有機ELテレビ・VIERA HZ2000シリーズ】
・65型「TH-65HZ2000」 税込み実売約54万円程度 10月16日発売
・55型「TH-55HZ2000」 税込み実売約38万円程度 10月16日発売
と、「HZ2000シリーズ」と「HZ1800」「HZ1000」シリーズの価格差はそれなりにあります。
ただ、この価格は「HZ1800」「HZ1000」シリーズは発売後しばらくして実売価格が当初よりも下がったものであり、「HZ2000シリーズ」については発売当初の価格であることには留意してください。「HZ2000シリーズ」も年内には数万円から10万円程度は下がることが予想されます。
「HZ2000シリーズ」と「HZ1800」「HZ1000」シリーズを比較する前に、「HZ1800」と「HZ1000」は何が違うのかも気になる向きもあるでしょう。この2つも別シリーズであり、価格差もありますから。
「HZ1800シリーズ」と「HZ1000シリーズ」を比較しての違いは、スピーカー、アンプ、音響に関わる回路、音質補正といった、サウンド周りのみです。画質や機能面での違いはありません。
このように、テレビで重要な「ビジュアル面」は実は「HZ1800」と「HZ1000」は同じなのです。画質にこだわる人はこの点を念頭に置いたほうがいいと思います。
「HZ2000シリーズ」では自社設計の「Dynamicハイコントラスト有機ELディスプレイ」を採用していますが、「HZ1800」「HZ1000」シリーズでは採用していません。
「Dynamicハイコントラスト有機ELディスプレイ」は、特別素材の放熱プレートと貼付けシートなどを独自の構造で構成することで一般的な有機ELディスプレイよりも放熱性能を高めています。
これにより、有機ELパネルの発光性能を最大限に引き出し、高輝度化と安定した発光にすることで、より豊かなコントラスト表現ができるというものです。
さらに、「HZ2000シリーズ」のみ、独自のパネルチューニングシステムを開発し、調整工程に加えています。これにより、暗部階調表現の乱れを低減でき、プロフェッショナルクオリティの黒の階調表現ができるとしています。
要は「HZ2000シリーズ」のほうがコントラスト表現と黒の階調表現に優れたパネルによる高画質を備えているのが「HZ1800」「HZ1000」シリーズとの違いのひとつです。
独自のパネル制御「Dot Contrastパネルコントローラー」もいずれのシリーズも搭載していますが、「HZ2000シリーズ」のみ、第二世代に進化したバージョンを搭載。
アルゴリズムを新たに追加し、暗いシーンでのコントラスト表現をより強化。さらに、明部についても高輝度域の階調表現を強化し、明部階調をより滑らかに表現できるようにしたとしています。
音質面では3シリーズとも立体音響技術Dolby Atmosに対応しており、薄型の有機ELテレビとしてはいずれも高度ですが、「HZ2000シリーズ」ではかなりこだわっています。
「HZ2000シリーズ」ではテレビ背面上部に上向きに配置したイネーブルドスピーカーを2基搭載。これにより、Dolby Atmosで再生される上下方向のサラウンドの再現力が高まっています。
「HZ1800」でも同様に2基のイネーブルドスピーカーが搭載されていますが、「HZ1000」では搭載されていません。
「HZ2000シリーズ」ではイネーブルドスピーカーのほかに、テレビ正面にはツイーターと2つのミッドレンジスピーカーで構成される前向きスピーカーをセンターと左右に配置。さらに、2つのウーファーと対向配置のパッシブラジエーターで構成されるウーファーユニットを左右に配置。3ウェイ3.2ch+2chの音声実用最大出力140Wのシステム構成を採っています。薄型テレビの内蔵スピーカーとは思えないほどの大規模な内容です。
「HZ1800」では前向きフルレンジスピーカー×2、ウーファー×1、パッシブラジエーターによる総合音声実用最大出力80Wのスピーカーシステムと規模が小さくなり(といっても薄型テレビとしてはかなり豪華ですが)、「HZ1000」ではフルレンジ2基のみで実用最大出力30Wのスピーカーシステムとさらに小規模となります。
さらに、「HZ2000シリーズ」のみ、スピーカーは「Tuned by Technics」を採用。パナソニックの単品オーディオブランドであるテクニクスのフルデジタルアンプ「JENO Engine」をはじめとするオーディオグレードのパーツを採用し、テクニクス製品開発陣の官能評価と音響解析システムを基にしたチューニングが施されています。
そのほかのテレビとしての機能は3シリーズとも同様です。
4K衛星放送チューナーを2基、地デジ/BS/110度CSチューナーを3基搭載。USB-HDD録画にも対応し、4K放送を見ながら4K裏番組録画したり、4K放送を見ながら4K放送と地デジの2番組同時裏録などが行えます。HDMI端子はHDMI2.1には対応せず、eARCには1系統対応。
ネット配信サービスはNetflix、Amazon Prime Video、YouTube、TVer、Hulu、U-NEXT、ABEMA、dTV、Paravi、DAZN、TSUTAYA TV、など豊富に対応。
吸着機能付きの「転倒防止スタンド」を採用。スイーベル(首ふり)機能も搭載しており、実用性の高い利便性も備えています。
どれをどう選ぶ?
以上を見てみると、「HZ2000シリーズ」は「HZ1800」「HZ1000」シリーズと比べて、画質面でのこだわりに大きな違いがあり、オーディオ面の違いも結構あることがわかります。
オーディオ面の違いは、サウンドバーや外付けのオーディオなどで増強・追加できますが、画質の違いは後からは埋められませんから、画質にこだわる方で予算もかけられる方は「HZ2000シリーズ」がおすすめでしょう。
機能や利便性重視で選びたいのであれば、この3シリーズに機能面での違いはありませんので、もっとも安い「HZ1000シリーズ」がおすすめとなります。
また、「HZ1800シリーズ」と「HZ1000シリーズ」を比較しての違いは、スピーカー、アンプ、音響に関わる回路、音質補正といった、サウンド周りのみです。画質や機能面での違いはありません(有機ELテレビ+Panasonic)。