国内メーカー各社のテレビの紹介を積極的に行っている当サイトにとっても驚きのニュースが入ってきました。
パナソニックは中国の電機大手TCLとテレビ事業で業務提携し、今年度中にも中小型機種を中心に生産委託を始める方向で最終調整に入ったと今日の読売新聞が報じています。
要は不振のテレビ事業の合理化・縮小ということで、この業務提携が行われれば、2024年度までにパナソニックのテレビの自社生産は最大4割の削減となる見通しとのこと。パナソニックは現在、世界で約600万台のテレビを販売。TCLとの提携で、自社生産は現在より年350万台程度に縮小する予定。
数値は公表していないものの、パナソニックのテレビ事業は赤字とのことで、TCLに生産委託した製品をパナソニックの「ビエラ」ブランドなどで販売することでコスト削減につなげようという目論見。
テレビ事業全体を無くしたり、他社に譲渡するよりは、ということでの現状で考えられる最善策を取ったということでしょう。
大型液晶テレビや有機ELテレビといった高価格帯や中型の一部は自社生産を続けるとのことで、当サイトで積極的に扱っているハイクラスで大型の液晶テレビや有機ELテレビの自社生産は続くようで、その点ではほっとしています。
ただ、やはり日本のテレビメーカーによるテレビの製造・販売は世界的にはもはや勝負になっていない現実は、シャープ、東芝のテレビ部門の海外資本化により、テレビに詳しくない人にも浸透していることでしょう。ですから、今回のことも非常な驚きということにはならないというのも残念なことです。
今回業務委託を受けるTCLもテレビ市場では世界2位の大メーカーであり、ハイセンスやサムスン、LGなど、中国・韓国のテレビメーカーが世界を席巻しているのが現実。
国内大手メーカーの高級クラスのテレビは、画質、機能面では中・韓の大手メーカーを凌駕しているとは言われていますが、それで売れるわけではないことは数字が証明しています。
個人的にはビジュアル機器にもオーディオ機器にも技術や品位を伴ったハイクラスの製品の存在を望みますが、一方で、日常家電と化している面でのテレビやオーディオで大企業が世界を市場に収益を上げ続けるには、いかに価格と品位のバランス・取捨選択が必要かも思い知ります。
ソニーはうまくいっているだけにパナソニックにも奮起を期待
テレビやオーディオが製造・販売の軸であったソニーは、このほど初の純利益1兆円を達成。もとの業種にこだわらないソニーの戦略は当たりましたが、オーディオ機器の存在感のなさにはやはり残念な思いです。それでもソニーブランドのテレビを維持できているのですからありがたいことです。
パナソニックはソニーとは違いますが、それでも、今後もグループ全体で生き残っていくための良い作戦を練って、実行してほしいものです。
パナソニックはつい先日、サプライチェーンのシステム開発を手がけているアメリカのソフトウエア会社「ブルーヨンダー」を約7600億円で買収し、完全子会社化することも発表していました。ものづくり主体の事業構造から脱却し、収益性を高めるのがねらいとのことですが、こういう方向で生き残るしかないのでしょうか。