パナソニックの4K液晶テレビ・VIERA 2021年モデルのハイクラス機・JX850シリーズは2020年モデルの同クラス機・HX850シリーズと比較して何が違うのかを解説。また、両モデルに共通の特徴も紹介し、両シリーズの内容を把握できるようにします。
JX850
・49型「TH-49JX850」:14万円前後/4月23日発売(2021年5月時点の実売価格)
・43型「TH-43JX850」:15万円前後/7月16日発売
HX850
・49型「TH-49HX850」:10万円前後/2021年5月時点の実売価格
・43型「TH-43HX850」:9.5万円前後/同
両シリーズとも、4Kチューナー2基搭載型のハイクラス液晶テレビという位置づけは同じ。しかし、「JX850」シリーズは2021年モデルとして2020年モデルである「HX850」シリーズよりも改善・向上・新搭載などの性能や機能があり、新製品としてのアドバンテージを有しています。
以下に「JX850」シリーズのみで向上・新搭載されている機能を紹介します。
同時に国内発表された4K有機ELモデルにも用いられる自動画質・音質調整機構「オートAI画質」を新搭載し、進化した信号処理技術「ヘキサクロマドライブ+」も搭載。
「オートAI画質」は、100万を超える映像のシーンから学習用データベースを構成しているAI(人工知能)によりシーンに応じて自動的に最適な画質の調整を可能にしているということで、つまり、コンテンツや今現在の画像に応じた自動画質調整がより向上したという認識でいいでしょう。
「ヘキサクロマドライブ+」はHDR10/HDR10+コンテンツの入力時、シーンに応じてHDRトーンマッピング処理を動的に変化させる技術が追加されており、高輝度域でも色鮮やかで、階調豊かな映像を実現したとしています。
HDRについては従来2020年モデルでのHDR10、Dolby Vision、HLGに加え、部屋の明るさに合わせて自動調整する新機能「Dolby Vision IQ」「HDR10+ ADAPTIVE」にも新対応。それぞれ、Dolby VisionとHDR10+の画質を部屋の環境により左右されずに最大限に引き出す技術です。
映像モードも拡張されており、一部の4K有機ELビエラで採用していた「フィルムシネマ」(Filmmaker Mode)、「キャリブレーション」、「プロフェッショナル」が新たに追加されています。
いずれも、4K/3,840×2,160ドットの倍速パネルを採用。パネル方式はIPS。これは同様。
エッジ型LEDバックライトと信号処理によるコントラスト処理を組み合わせた「Wエリア制御」(部分駆動)という基本は同様ながら、「JX850」シリーズの「Wエリア制御」は従来より高精細なアルゴリズムを搭載して採用し、さらなる高画質化を図っています。
操作系では独自OSの最新版「MY HOME SCREEN 6.0」を搭載。UIをリニューアルし使い勝手を向上させたほか、Bluetooth端末の2台同時接続にも対応。
BS4K・110度CS4Kチューナーを2基、地上/BS・110度CSチューナーを3基搭載。
チューナー数は同じものの、「HX850」シリーズでも可能だった2K放送、または4K+2K放送の2番組同時録画に加え、4K2番組同時録画に新対応。4K2番組同時録画は業界初の快挙です(ソニーも対応)。4K2番組同時録画は視聴中の番組1つと裏番組1つになります。裏番組を同時に2つ録画はできません。
2画面機能も4K放送に新対応。2K/4K放送+2K放送、2K/4K放送+BD/録画番組視聴が可能に。ただし、4K放送の2画面表示はできません。
新メニュー画面とデザイン一新のBluetoothリモコンも付属。従来のビエラ音声操作に加え、新モデルではGoogle アシスタントとAmazon Alexaに対応。
「JX850」シリーズではHDMI2.1対応も2020年モデルから強化。従来「HX850」シリーズはHDMI2.0に留まっていましたが、「JX850」シリーズでは新たに4K/120p入力、ALLMをサポートした「ゲームモード エクストリーム」を搭載。PlayStation 5やXbox Series X、AMD製PCカードの4K120p映像を表示できるようになりました。また、eARCにも対応しています。
JX850/HX850シリーズともに、4K/3,840×2,160ドットの倍速パネルを採用。パネルはIPS方式となっていますが、43型「TH-43JX850」のみVAパネルとなっています。
また、JX850全モデルでHDMI2.1対応はeARC、ALLM、4K120p入力をサポートしていますが、43型「TH-43JX850」では加えて、「VRR」(可変フレームレート・フレームレートが変動するゲーム映像を滑らかに表示)と、「AMD FreeSync Premium」(AMD製対応グラフィックスカード接続時に低遅延で滑らかなゲーム映像を表示可能)に対応。
43型「TH-43JX850」のみ、最新ゲーム機との親和性の高さにおいて、2021年春時点でもっともハイスペックなモデルのひとつとなっています。最新ゲーム機を高品位にプレイしたい方は、43型「TH-43JX850」に注目でしょう。
お部屋ジャンプリンクを使った4K放送番組の受信に引き続き対応。4Kディーガなど“4Kお部屋ジャンプリンク対応サーバー”を組み合わせることで、ディーガ内の4K録画番組を4K解像度のまま受信・再生できます。
対応機器から4K録画番組を4K解像度のまま受信・再生できる高度なDLNA機能はパナソニックだけの大きな特徴です。また、「外からどこでもスマホで視聴」やHDDに録画した番組を外出先でもインターネット経由で観ることができるといった、インターネット配信機能の充実もパナソニックの特徴です。
機能面ではソニーやシャープのようにAndroid OSは搭載していないので、多機能性やアプリ追加の自由性は少ないのですが、ネット閲覧や各種ネット配信動画(VOD)への対応は十分なので、特に不足は感じないでしょう。
両シリーズとも、立体音響のDolby Atmosに対応。テレビ本体のスピーカーのみで立体音響を再生。従来のステレオ音声も立体音響に変換できます。
両シリーズとも地震などでのテレビの転倒を防ぐ転倒防止スタンドを搭載。いずれも底部の吸着システムを使い、転倒を防ぎます。これも実用的な安全面でポイントとなる特徴です。
「JX850」シリーズは着実に画質面を中心に進化・改良されている印象。とくに、PS5やPCゲームで4K/120p入力やそのほかのHDMI2.1関連機能を重視するのであれば「JX850」シリーズを選ぶことになりましょう。
ゲーム関連が無関係でも基本的な画質や、使い勝手の細かな向上も確かにあるようです。
ただ、両モデルが併売される「JX850」シリーズ発売前後のタイミングでは両シリーズの価格差は結構あります。その差は49型で8万円ほど。いくら新モデルの画質・機能が向上しているといっても8万円の差があるかと言えば、使い方や主観によってはそこまでの差はないと感じる場合もありそうです。
ですから、どんな場合でも両シリーズの比較で「JX850」シリーズがおすすめというわけではなく、場合によっては安く買える「HX850」シリーズもアリなのではないでしょうか(4Kテレビ+Panasonic)。