生産終了機器情報。SE-MASTER1はPioneer(パイオニア)ブランドのオーバーイヤー開放型ヘッドホン。2015年5月15日に税別約25万円の実売価格で発売されました。
ブランドのフラグシップヘッドホンで、2021年現在でもメーカーホームページを見るとその座にあります(生産は終了したようですが)。
熟練した専任マイスターが1台ずつ緻密な組み立てを行うことにより、「妥協のないクオリティに仕上げた」という点をアピールし、英国の録音スタジオ「AIR Studios」のサウンドエンジニアとチューニングを行うことで高音質もアピールしています。
いずれにしても、当時のパイオニアブランドが持つ技術とノウハウを結集した高級ヘッドホンであることに間違いはありません。
音質に最も影響のあるドライバーユニットにはPCC(Parker Ceramic Coating)処理を施した厚さ25μmアルミニウム振動板と、PEEK(Poly-ether-ether-ketone)複合フィルムエッジを搭載した新開発の口径50mmドライバーユニットを採用。この振動板により、5Hz~85kHzという広帯域再生を実現。
ハウジングには高剛性のアルミニウム合金を使用。金属部品を使ってドライバーユニットをベース部に強固に固定する“フルバスケット方式”で共振を抑制。さらに、ベース、ハウジング、ハンガーの連結部にゴム部材を挟む“フローティング構造”を採用することで、ドライバーユニットからの不要な振動も抑える構造としています。
頭部への側圧を調整できるテンションロッド(2種類付属)や、肌触りがよく適度な硬さで三次元形状を採用したイヤーパッドにより、快適な装着感を得られるとしています。
MMCX規格でのリケーブルに対応。付属ケーブルはOFCリッツ線で、布巻と無鉛PVC素材の2種類の被覆を使用。長さは3.0m。プラグ形状は金メッキ製の6.3mmステレオ標準で、陽極酸化処理を施したアルミニウム削り出しケースを採用。
主な仕様は、再生周波数帯域が5Hz~85000Hz、出力音圧レベルが94dB、最大入力が1500mW、インピーダンスが45Ω。重量が460g(コード、テンションロッド含まず)(ヘッドホン+Pioneer)。
2021年現在も新品流通はあり、実売価格は税込み198,000円程度で安定しています。発売当時から音質面での評価は高く、ダイナミック型の高級・高音質ヘッドホンとして十分な実力を持っているようです。
音質傾向としては特定のキャラクターは薄く、主張の少ない無色透明的な方向のようです。これを無個性ととるかニュートラルと取るかは分かれそうです。
ヘッドホンアンプによって音が大きく変わるという意見もあり、それならば使いこなしがいはありますし、好みの音にする楽しみもありますが、簡単に良い音が欲しいようなユーザーには向かないかもしれません。特に低音の制動にアンプの影響が大きいようで、制動が甘いと緩くぼわぼわした低音になりやすいようです。
https://review.kakaku.com/review/K0000775617/#tab
https://pansaku.exblog.jp/23149734/
http://www.bergamotflavor.com/article/454995424.html
本機については、メーカーホームページでは2021年4月時点では明言していないものの、複数の大手販売店では販売終了となっており、メーカーでも生産終了した可能性がネット上ではいろいろと指摘されています。メーカーは明言していないため、まだ確たることはわかりませんが。
気になるのは本機を発売しているオンキヨー&パイオニアという会社の状態です。残念ながら同社の経営状態はこのところ芳しくなく、2021年3月末には、このままでは上場廃止というところまで追い込まれています。考えたくもありませんが、ナカミチやサンスイのようになってしまう可能性もあります。
もちろん、倒産は考えたくもありませんが、自力再建はもはや無理で、どこかの企業の助けが得られるとして、本機のような製品の製造・販売継続ができるとも限りません。
以上のようなことから、本機に本気で興味のある人は、早めに購入されたほうがいいと思います。
中古の場合は11万円以上くらいするようです。もし、本機が生産終了になったら中古価格は今より上がるのか、下がるのかはわかりません。ただ、生産終了で済まずに、オンキヨー&パイオニアがなくなるようなことになれば、修理などのアフターサービスへの不安などから中古価格は下がることになるとは思います(ヘッドホン+Pioneer)。