PS5がついに11月12日に国内発売されました。生産台数が少ないのか、そのほかの要因もあるのか、なかなか欲しい人がみな発売初日に買えたわけでもないようですが。
それはともかく、PS5はゲーム機という側面だけでなく、UHD BD(Ultra HD Blu-ray)ディスクや、各種ストリーミングサービスも再生できるメディアプレーヤーとしての側面も持っているのでした(ディスク再生はディスク版のみ)。
そして、これまでのPSシリーズもその時々に最新の映像系ディスクメディア再生機能を搭載することで、そのディスクメディアの普及にも一役買ってきたものです(PS2のDVDがもっとも顕著)。
さらに、ソニーは任天堂やマイクロソフトとは異なり、もともとがオーディオ・ビジュアルメーカーですから、映像・オーディオ系のディスクメディア再生能力や性能の高さも常に期待されています。当時はほとんど普及しておらず(現在もですが…)、その搭載にも高度なノウハウを必要としたSACD再生機能をPS3初期型に載せたこともその象徴のひとつでしょう。
(余談ですが、ソニーの機器の能力の高さは、PS3初期型において、普通は困難なSACDからのデジタルデータ吸出し可能という、非公式な性能まで実現していることで遺憾なく発揮されています?)
というわけで、今回のPS5にもUHD BD再生機として期待が集まったわけです。
ところが、発売直前のタイミングになって、通常のUHD BD再生機なら当然できる程度の機能さえもPS5は搭載していないという驚きの情報が当のソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)から一度発表(回答)され、オーディオ・ビジュアル愛好家やAV系のマスコミまでもが振り回されることになったのです。
振り回しというのは、結局、SIEの発表は間違いであり、訂正されるに至ったからです。
その内容は、PS5の対応音声フォーマットに関する問題です。公式ではPS5はドルビーアトモスやDTS:X対応の記載がないため、AV系マスコミであるファイル・ウェブがその対応の可否についてSIEに質しました。
すると、ドルビーアトモス、DTS:Xなどの再生・出力にはいずれも非対応という回答がSIEから寄せられ、ファイル・ウェブでも一度記事にしました。
この内容は驚きでした。再生とUHD BD以外のソースでの出力に対応しないのはわかりますが、HDMI出力のデジタル出力でビットストリーム出力ができれば、UHD BDに記録されたドルビーアトモス、DTS:Xのデジタル出力ができるので、外部のHDMI入力搭載・デコーダー搭載の機器と組み合わせることでUHD BDのドルビーアトモス、DTS:Xは楽しめます。
というか、せめてデジタル出力で対応するというのはUHD BDプレーヤーでは普通の装備ですし、高性能とUHD BD搭載が売りのPS5ではまさか出力非搭載はないだろうと思っていたから、なおのこと驚きなのです。
しかも、この突然の回答の記事は発売直前の11月10日に公開。
UHD BD再生機としても活用しようと思っていた人にとっては、購入を止めるに十分な重要な内容でありながら今更の発表?ということでもネット上で話題になりました(2chでも取り上げられています)。
さすがにみなさん怒っているというかあきれている人もいました。
ところがところが、今度は11月11日、発売日前日になって、ファイル・ウェブにSIEから「回答に不備があった」と連絡があったとのこと。
(当初の誤った情報も訂正した情報も同じ記事で扱われています)
新たな回答によると、「Blu-ray・Ultra HD Blu-ray再生時に、機器側が対応機種であればドルビーアトモス、DTS:Xは再生が行える」とのことで、つまり、PS5はUHD BD再生時にドルビーアトモス/DTS:X音声のビットストリーム出力可能ということです。結局は普通にUHD BDプレーヤーとして使えそうということで落着しました。
こんな大事なことをソニーの回答者が間違えるというのは、どういうことなのでしょうか?そこは残念に思います。
なお、ドルビーアトモスとDTS:Xについては、「映像ストリーミングサービスに関しては、アプリ等の仕様等によって、ごく一部ケースにおいて再生される可能性があるが、基本は再生されない」としています。この点については今後、改善できるのかは注視したいポイントです。
ところで、PS5には、独自の3Dオーディオ用カスタムエンジン「Tempest」を搭載。これにより、対応のヘッドセット(ステレオヘッドセットであればOK)で立体的なサラウンドを楽しめます。3Dオーディオは全てのゲームに対応。要は、ゲームでのドルビーアトモスとDTS:Xに対応はしていなくとも、ゲームでの立体音響に関しては独自規格と技術で対応しています。
なお、スピーカーによるバーチャルサラウンドサウンドはPS5発売日時点では非対応ですが、将来的な対応は予定しているともしています。
一方、PS5のHDR対応内容についてはHDRには対応しているものの、ドルビービジョン、HDR10+、HLGの再生・出力に非対応となっています。