2023年12月に日本でのサービス開始を予定していたハイレゾ音楽配信「Qobuz(コバズ)」の、サービス開始延期が発表されました。「e-onkyo musicからQobuzへの音源データの移行に伴い生じた課題が原因」だとしています。
「お客様に満足いただける最高品質のサービスを提供するため、課題の解決に向け対策を講じる必要があり、現時点では新たなスタート日を未定」としています。
2023年12月に日本でのサービス開始を予定していたはずの「Qobuz」の、サービス開始延期は、日本におけるハイレゾ音源配信市場に大きな影響を与える出来事です。
今回のサービス開始延期の原因は、e-onkyo musicからQobuzへの音源データの移行に伴い生じた課題であるとされています。
具体的には「Qobuz」は明示していませんが、ネット上では音源データのフォーマットや品質の違い、著作権処理などの問題があったのではないかなどど推測されれています。
音源データのフォーマットや品質の違いについては、e-onkyo musicではFLACなどの非ハイレゾ音源も配信されているため、Qobuzへの移行に際して、これらの音源をハイレゾ音源にアップコンバートする必要があり、その処理に時間がかかっているのではないかといった推測があります。
著作権処理については、海外のQobuzで配信されていた音源の中には、日本国内で著作権処理がなされていないものがあり、そのため、これらの音源を国内のQobuzで配信するためには、著作権処理が必要だったのではないかという推測もあります。
これらの課題を解決するためには、Qobuzは、多くの時間と労力を費やす必要があったと考えられます。それが当初設定した12月に間に合わなかったということでしょうか。
qobuz延期か・・・😭
サブスク開始が遠のく・・・
著作権絡みだろうな pic.twitter.com/ycRuXK0Y3x— shige (@skyangel787) December 18, 2023
e-onkyo主幹の音源が調整付かなかったとハッキリと言ったな。音源を移行するにあたって全ての著作権者にお伺いたてないといけないわけだけど、その辺を揉めた感じかね。Qobuzさんはサブスクやりながら音源も売るので、売った際の手数料計算関係は相当熱くなりそうだ。 https://t.co/BABo8g1y9v
— KUU (@kuu_taisho) December 19, 2023
「Qobuz(コバズ)」の、今回のサービス開始延期は、以下の3つの点で分析・考察できるでしょう。
Qobuzは、2023年9月にe-onkyo musicと事業統合し、日本におけるハイレゾ音源配信サービスの主力となることを期待されていました。しかし、サービス開始延期により、その期待は大きく後退することになります。
特に、ハイレゾ音源配信市場は、競争が激化しており、やる以上はなるべく早期の参入が重要です。Qobuzは、サービス開始延期により、他の競合サービス(AmazonやApple)との差をつけられ、市場シェアの獲得に苦戦する可能性があります。
Qobuzは、e-onkyo musicの音源データをそのまま移行するのではなく、Qobuzの独自の音質基準に合わせて変換する必要があると考えられます。そのため、技術的な課題だけでなく、ビジネス的な課題も伴うと考えられます。
具体的には、音源データには、アーティストやレーベルの権利関係が複雑なものも含まれているため、移行に際して、権利関係の調整が必要になる可能性があります。また、e-onkyo musicの音源データは、Qobuzの音質基準に合わせて変換することで、音質が変化する可能性もあります。
音源データの移行が完了し、サービスが開始されたとしても、Qobuzは、音質やサービス内容の向上に注力する必要があります。
e-onkyo musicのユーザーや、ハイレゾ音源配信サービスの利用者から、ニーズや要望を収集し、サービス内容を充実させることが重要です。
Qobuzもe-onkyo musicも競合のAmazonやAppleが行っていない、DSDを含むハイレゾ音源のダウンロード販売を行っていることは音質面・サービス面での差別化ポイントであり、とくに重要でしょう。
今回の延期について、Qobuzのダウンロード販売価格の安さへの日本国内の権利者(レコード会社)からの難色があったのではないかという憶測もあります。そうだとしても、ハイクオリティーなハイレゾ音源ダウンロード販売自体は行われるでしょうから、オーディオ愛好家にも大きくアピールできるこの点を大きく打ち出していって欲しいところです。
Qobuzは、今回のサービス開始延期を教訓とし、今後のサービス展開において、音質やサービス内容の向上に注力することで、日本におけるハイレゾ音源配信サービスの主力となることを目指していくべきでしょう。
今回のサービス開始延期は、Qobuzの日本におけるサービス展開の遅れというマイナス面もありますが、音源データの品質や著作権処理などの問題をしっかりと解決した上で、サービスを開始するというQobuzの前向きな姿勢を示すものでもあると言えます。
今後、Qobuzがこれらの課題を解決し、日本におけるハイレゾ音源配信市場で成功を収められるかどうかが注目されます。
具体的には、以下の点が重要になると考えられます。
音源データの品質・品揃えを高めることで、ユーザーの満足度を向上させる。
著作権処理を適切に行うことで、法的なリスクを回避する。
マーケティング活動を強化することで、認知度と利用者数を拡大する。
Qobuzがこれらの課題を解決し、日本におけるハイレゾ音源配信市場のリーダーとなることが期待されます。