一般ユーザーにはスマホ用のSoCチップのメーカーとして、ポータブルオーディオユーザーには完全ワイヤレスイヤホンをはじめとするBluetoothイヤホン・ヘッドホン用のSoCチップのメーカーとして有名な米Qualcomm(クアルコム)が、完全ワイヤレスイヤホン向けの新SoCチップ「QCC305x」を発表しました。
従来のQCC304Xチップよりも最新のチップとして、新たにBluetooth Low Energy (LE) Audio規格をサポートするなど、機能・スペック面に充実した内容となっています。
機能面を列挙すると、Bluetooth LE Audioによるオーディオシェアリング、音声サービスのほか、TrueWireless Mirroring、Qualcomm Adaptive Active Noise Cancellation、最大96KHzのQualcomm aptX Adaptive、Qualcomm aptX Voice、Qualcomm cVc Echo Cancellation・Noise Suppressionなどをサポートするとしています。
つまり、アクティブノイズキャンセリング機能や、aptX Adaptiveコーデックによる高い通信安定性と、最大24bit/96kHzまでのハイレゾ伝送に対応できるといった機能性とハイスペックが魅力です。音質を維持しながら低遅延/省電力のオーディオ伝送を実現できるというBluetooth LE Audioは実用面でのメリットが期待できます。
また、クアルコムが先日発表した注目されたハイクラスのスマホ用SoC「Snapdragon 888 5G Mobile Platform」との組み合わせでは、優れた音質と接続性、応答性が可能になるとしているのもポイントです。
注目なのは、QCC3000番台のチップは、どちらかというとミドルクラスや普及価格帯の完全ワイヤレスイヤホン向けのチップであり、その3000番台にして、かなりの内容が詰め込まれています。というのもこれまで上位シリーズのQCC5000番台でのみ採用していた一部の技術を、ミドルクラスSoCである3000番台にも盛り込むという意識的なものがあるからです。
「QCC305x」の登場により、たとえば1万円前後やそれ以下の価格でもアクティブノイズキャンセリング機能が搭載されるだけでなく、aptX Adaptiveコーデックによるハイレゾ相当の受信が可能な完全ワイヤレスイヤホンが出てくるようなことを期待したいところです。
単にSoCチップのみで多機能・高性能・高音質な完全ワイヤレスイヤホンができるわけでもありませんが、実力のあるメーカーであれば確実にSoCチップを生かした内容で、コスパにも優れるモデルを作ってきたという業界のこれまでの動向もあります。
そもそも完全ワイヤレスイヤホンでのハイレゾ相当の受信対応機自体がまだ少ないので、まずは価格に関わらず、ハイレゾ受信対応モデルの拡充も必要でしょう。その助けに「QCC305x」チップがなることも期待します。
aptX Adaptiveコーデック送信対応機(スマホ・DAPなど)も必要ですね。