Qualcomm(クアルコム)は、現地時間2月28日にスペインで開幕したMWC Barcelona 2022において、ワイヤレスオーディオプラットフォームとして、CDロスレス品質でワイヤレス伝送できる「Qualcomm S5 Sound Platform (QCC517x)」と「Qualcomm S3 Sound Platform (QCC307x)」を発表しました。
完全ワイヤレスイヤホンにも対応できるBluetoothイヤホン向けのSoCの最新チップ。
低電力化しながらも、演算能力は前世代から2倍に強化。従来より、20%の低電力化、25%の低遅延化を実現したとしています。
注目の装備のひとつがBluetooth 5.3で定義されているLE Audioにも対応する点。高効率な圧縮と安定した伝送が可能な規格ということで、Bluetoothイヤホンの実用性を高められる注目の新技術です。
そして、今回最も注目される装備が、44.1kHz/16bit、CDクオリティのロスレス・オーディオ伝送が可能になること。これまでのBluetooth SoCでは実装されていなかった機能であり、圧縮ありきであったBluetoothのオーディオ伝送における大きな進歩を象徴する機能となります。
CDロスレスの非圧縮WAVデータは1.41Mbpsですが、Blueooth規格でのオーディオ信号伝送は、最大1Mbps程度と差があります。そこで、CD品位をロスレスで圧縮できるflacなどの技術に準じた、ロスレス圧縮をかけて、1Mbps未満のデータ量で、44.1kHz/16bitのビットパーフェクトな送受信を実現するものと思われます。
最大96kHz/24bitのハイレゾ伝送が可能なSnapdragon Soundにも対応
また、すでに実用化が始まっている、最大96kHz/24bitのハイレゾ伝送が可能なSnapdragon Soundにも対応しています。こちらは数分の一程度にロッシー圧縮しての送受信です。
さらに、ゲーミングモードでは68msの超低遅延とゲーム内チャットも利用できるので、ゲーム用としてのBluetoothイヤホンの可能性も広がっています。
加えて、これまでより強力という第3世代アダプティブ・アクティブノイズキャンセリング(ANC)も搭載。より自然に近い聴こえ方の外部音取り込みも備えているとしていて、高性能なANC対応完全ワイヤレスイヤホンの設計がより容易になるようです。
音質重視のユーザーにとっては、44.1kHz/16bit、CDクオリティのロスレス・オーディオ伝送が可能になる機能が最大の注目点でしょうか?最大96kHz/24bitのハイレゾ伝送が可能なSnapdragon Soundの普及や、低価格な完全ワイヤレスイヤホンの音質の底上げ、ANC性能のアップなども期待でき、いろいろと期待してしまいたくなる新チップの登場です。
搭載製品は2022年下半期に登場する見込みとのことです。
(まだ数少ないSnapdragon Sound対応完全ワイヤレスイヤホン)