TVS REGZAは、4K液晶レグザのエントリーモデルとして、4K120p対応の「Z570L」シリーズを2022年7月1日から発売中。サイズラインナップは65/55/50/43型。
シリーズのラインナップと発売当初の税込み実売価格と発売半年経過後の実売価格は以下のとおりです。
4K液晶レグザ「Z570L」 7月1日発売(発売当初の税込み実売価格/発売半年経過後の実売価格)
・65型「65Z570L」 約26.5万円 約16.5万円
・55型「55Z570L」 約19万円 約11万円
・50型「50Z570L」 約15.5万円 約10万円
・43型「43Z570L」 約13.5万円 約8.5万円
4K液晶レグザには同クラスの2021年モデル「Z570K」シリーズがあり、「Z570L」シリーズはその後継機です。
「Z570K」シリーズもサイズラインナップは同じ。メーカーとしては型落ちの在庫品となりますが、市場ではまだ販売されており、場合によっては「Z570L」シリーズよりも安く買えます(とくに50型と43型)。
・65型「65Z570K」 約14万円
・55型「55Z570K」 約11万円
・50型「50Z570K」 約7.5万円
・43型「43Z570K」 約7万円
そこで、両シリーズの内容の特徴と比較しての違いをご紹介して、「Z570K」シリーズが得なのか、「Z570L」シリーズが新しい分、高性能なのかを解説します。
Z570LシリーズとZ570Kシリーズを比較しての違いでまず挙げられるのは、4Kテレビの画質を大きく左右する映像エンジンがZ570Kシリーズの「レグザエンジンZR I」からZ570Lシリーズでは新しく進化した「レグザエンジンZR II」に変わっていることです。
高画質と快適な操作性を両立する新世代「レグザエンジンZR II」。これは上位の「Z870L」「Z770L」「Z670L」シリーズで採用されているものと同じもの。各種処理を1チップで完結させる高性能プロセッサーです。
美肌フェイストーンZRII
ネット動画AIビューティZRII
地デジAIビューティZRII
クラウドAI高画質テクノロジー
おまかせAIピクチャーZRII
といった高画質処理を行います。
そのほか、各種ソースを4K化する「超解像技術」、また、「カラーリマスター」による広色域復元を行います。
エントリークラスでありながら、かなり上位のモデルまで映像エンジンが共通な2022年モデルの「Z570L」はこれまでのエントリー機「Z570L」に比べて性能面では大きく上回っていると言えるでしょう。
Z570KシリーズのOSはAndroidでした。スマホやタブレットのAndroidに準ずるOSであり、Android向けの汎用アプリを自由に追加して多機能化できるのがメリットとされています。
一方、スマホやタブレットのAndroidのようにはテレビのAndroidではアプリを追加できないといった、実使用時の制約もあります。
また、Android搭載テレビは操作の反応が遅い傾向があるとも言われ、テレビにAndroidの利便性を求めないユーザーには不評な面もあります。
Z570LシリーズではOSを一新。2020年モデル以前のレグザ専用Linux OSの系統に戻しました。これにより、追加の機能性は減りましたが、操作の反応性が良くなったと言われています。
OSが何であれ、最近のテレビはいわゆるネット動画(VOD)には主要なものはあらかた対応しています。
ところが、Z570Kシリーズではネット動画の大手である「Netflix」に標準状態で対応していません。しかも、驚くことに、Android OSのアプリ追加での「Netflix」対応もできません。このことはZ570Kシリーズ発売時に話題になったほどです。詳しい理由は不明ですが、Z570Kシリーズのテレビ本体では「Netflix」対応はさせないというメーカー側の意図があるようです。
Z570Kシリーズの後継であるZ570Lシリーズも発売時にもしや「Netflix」非対応が続くのか?と思われました。しかし、何事も無かったかのようにZ570Lシリーズでは「Netflix」に対応しています。
両モデルとも、「Netflix」以外の主要なネット動画サービスに、テレビ単体で対応しています。
(YouTube、ABEMA、Hulu、U-NEXT、 Prime Video、Disney+、TVer、dTVなど)
両シリーズともリモコンにはネット動画サービスのダイレクトボタンが配置されており、便利なのですが、
Z570Kシリーズ : YouTube、ABEMA、Hulu、U-NEXT、 Prime Video
Z570Lシリーズ : YouTube、ABEMA、Netflix、Hulu、U-NEXT、 Prime Video、Disney+、TVer、dTV
というように、Z570Lシリーズのほうがダイレクトボタンの数が多く、より便利になっています。とくに追加されたNetflix、Disney+、TVerのいずれかを多用するユーザーにとってはZ570Lシリーズが便利でしょう。
オーディオ面に関しては、両シリーズとも総合出力40W(同時駆動)の「重低音立体音響システム」を採用。スピーカー構成はフルレンジ×2、ウーファー×1で、上下方向の立体感も表現できるサラウンド規格・Dolby Atmos(ドルビーアトモス)にも対応。
なお、テレビの設置環境に応じて音響特性を補正する「オーディオキャリブレーション」機能はZ570Lシリーズのみの搭載です。
上記の3つ以外は基本的にZ570LシリーズとZ570Kシリーズの内容は同様です。
どちらも4K/3,840×2,160ドットの液晶パネル(VA)を採用し、直下型LEDバックライトの部分駆動なしの構成。
120Hzの倍速駆動に対応します。これにより動きの速い動画でも残像感を大幅に低減した見やすい画像と、描写コマ数の増加による滑らかな動きで鑑賞できます。
いずれもHDMI入力は4系統で、うち入力1/2がHDMI2.1をサポート。PS5などのハイスペックゲーム機の4Kのハイフレームレート映像が楽しめる4K/120p入力、自動的に低遅延モードに遷移するALLM、映像のちらつきやカクツキを軽減するVRRもサポート。最新ゲーム機の高性能・高画質を生かせる装備を備えています。
また、ドルビーアトモスや各種ロスレスサラウンドなど、高音質音声データのHDMI伝送に対応するeARC(入力2のみ)に両シリーズは対応します。
HDR規格は、HDR10、HLG、HDR10+、HDR10+ ADAPTIVE、DOLBY VISIONに加え、DOLBY VISION IQにも対応。現行の主要なHDR規格に対応しています。
ゲーム機の出力映像に合わせて、自動的に最適な映像を再現する独自の「オートゲームアジャスト」機能やゲーム専用高画質モードも用意。ゲーミング機能の充実も同様に図っています。
両シリーズとも、0.83msの低遅延表示(1080pの120Hz入力時)にも対応しています。さらに、4K/120Hz入力時とVRR時に0.83msの低遅延表示が可能です。
1080p/60Hz(12bit)、1440/60Hz、4K/60Hz(12bit)入力時は約9.2ms。
搭載チューナーは、地上デジタル×3、BS/110度CSデジタル×3、BS/CS 4K放送×2。USB HDD(別売)をテレビに接続すれば、地デジ/BS/CSの2番組同時、4K放送の裏番組録画が行なえます。
別売のタイムシフトマシンハードディスク(「D-M210」など)を接続することで、“タイムシフトマシン内蔵”のような操作を実現するタイムシフトリンクにも対応。テレビに全録レコーダーを内蔵しているような使い勝手を実現できます。
Z570Lシリーズは画質・機能面においてZ570Kシリーズから順調に進化していると言えるでしょう。ただ、価格差を考えるとZ570Kシリーズがお得と思う向きもあるかもしれません。
たとえば、PS5向けの4K/120p入力、ALLM、VRR対応テレビで低遅延性能も重視というなら、両シリーズは同等の実力なので、Z570Kシリーズがお得かもしれません。
汎用的なテレビとしても、直下型バックライトで倍速駆動を備えた4Kテレビがベーシックな普及価格帯と高画質テレビを分ける大きなポイントと言えますが、Z570Kシリーズがこの点において2023年前半時点で国内テレビ市場においてかなりリーズナブルな価格となっているのは見逃せません。
Z570Kシリーズの弱点のひとつである「Netflix」非対応への対処法としてはAmazon Fire TV StickやGoogle Chromecast with Google TVを追加する方法があります。どちらも数千円で追加できますので、費用面ではたいしたことはないでしょう。Chromecast with Google TVは汎用性の高い(アプリ追加自由度の高い)Androidを搭載していますので、両シリーズのユーザーであっても一台持っておくのは悪くないと思います。