東芝は4K液晶テレビのZ730Xシリーズをモデルチェンジ。新たにZ740Xシリーズとして、2020年2月21日から順次発売しています。50型の「50Z740X」、55型「55Z740X」、65型「65Z740X」の3モデルをラインナップ。いずれもオープン価格で、実売予想価格は50型が18万円前後、55型が21万円前後、65型が29万円前後。
Z730Xシリーズはこれまでも、ハイクラスの4K液晶テレビとして、高画質ながらハイコスパな点が評価され、人気がありました。このモデルチェンジで何が変わったのでしょうか。
おおざっぱな違いとしては、映像エンジンの刷新、さらに、クラウドを使った業界初という高画質化「レグザエンジンCloud PRO」や、動画配信サービス別の画質最適化「ネット動画ビューティーPRO」など、テレビのモデルチェンジではやはり最も注目されるべき「高画質化」に手を入れています。
また、液晶テレビでは大きな要素となる、パネルについては従来のIPSからVAへと大胆に変更。視野角の広さよりも、総合的な画質面でのメリット、あるいは、コスト面なども考慮しての入れ替えと考えられます。
Z730Xでは内部のスピーカーユニットが透けて見えるのを防ぐために薄い膜のような部材を筐体に入れていましたが、Z740Xではスピーカー部の本体色をシルバーに変えたことで膜が必要なくなり、それによって音のヌケがよくなったとしています。
さらに、これは性能や使い勝手とは関係ありませんが、Z730Xシリーズではラインナップされていた43型がZ740Xでは無くなっています。43型の高品位な4Kテレビが欲しかった人にとっては、残念な削減でしょう。
一方、変わっていない基本的な部分としては、4Kダブルチューナーによる4K裏禄やタイムシフトマシン、各種VODへの対応や操作系、重低音バズーカなど、機能面ではほとんど変わっていません。
Z730Xで搭載されていたスカパー! プレミアムチューナーは省略されていることには注意してください。
また、リモコンのダイレクトボタンはNetflix、YouTube、AbemaTV、Hulu、U-NEXT、Prime Videoの6つで、dTVがPrime Videoに変更されました。
なお、昨年あたりに4Kテレビの画質は暗い、という記事や評判が東芝のテレビに限らず流布していました。なかなかメーカーが公式には認めない雰囲気もありましたが、実際には、SDRの素材をHLG化して放送する際に推奨されている基準白レベルの変更(100%→75%)が原因で発生するとされています。
東芝ではこのことを明らかにしたうえで、SDR素材をHLG化して放送しているアップコン素材でも、4K/HLGネイティブ素材でも、それぞれに合った適切な処理を行うことで、いわゆる4Kテレビが暗い、という現象を改善したとしています。
また、Z730Xでは液晶輝度ムラがあったというユーザーの声がありますが、そのあたりも改善されているようです。
Z740Xの売りは、クラウドと人力!?(クラウドにアップする高画質化用データは当面は同社の開発スタッフによる人力での処理)を活用した、進化する高画質化エンジンであるのは間違いありません。ただ、6月にアップデートでの対応予定としているため、2月の発売時点では、「レグザエンジンCloud PRO」の真価はまだわからない状況です。
従来から定評のある機能を維持したまま、画質面での向上を図ったZ740Xは、このクラスの高画質液晶テレビを求める層で、テレビ本体でのタイムシフトマシン機能が欲しい人には最適なモデルでしょう。
Z730Xから買い替えるほどの違いかはなんとも言えない部分もありますが、4K放送が暗いと感じる(アップコン素材を観ることが多い)、動画配信サービスの画質にこだわりたい、という人で買い替えの余裕がある人にはよいかもしれません(4Kテレビ+東芝)。