TVS REGZAは、新開発のミニLEDと量子ドットに加え、低反射ARコートや広視野角シートの採用により“レグザ液晶史上最高画質”を目指した4K液晶テレビの2023年フラッグシップモデル「Z970M」シリーズを2023年4月21日に発売します。画面サイズは65型、75型、85型の3つ。いずれもオープン価格で、発売当初の税込み実売価格価格は52.8万円前後(65型)から。
4K液晶レグザ「Z970M」シリーズ
・85型「85Z970M」 約935,000円 4月21日発売
・75型「75Z970M」 約770,000円 同上
・65型「65Z970M」 約528,000円 同上
「Z970M」シリーズの内容・特徴を同時発売の下位モデル「Z870M」シリーズと比較しての違いを交えながらご紹介します。
両シリーズに共通するおおまかな特徴として、ミニLEDバックライトシステム搭載に加え、広色域を実現する量子ドットシートや、最新エンジンを使った高精度なパネル制御や画質処理との融合により、高い画質性能を目指した高品位液晶モデルであることがあります。
また、これまでのREGZA液晶テレビの高級モデルでおなじみの機能や特徴を備えています。マルチアンプ駆動の高性能音響システムや地デジ全録「タイムシフトマシン」を備えています。
また、4K120p/VRR/ALLMなどのHDMI2.1機能も備えており、PS5などの最新ゲーム機の性能を活かした映像美を楽しめます。
入出力端子、VODなどの対応状況、リモコン、全録画など録画再生機能などのベースも変わりません。
ただし、これらの基本的な共通内容のなかで上位の「Z970M」シリーズと下位の「Z870M」シリーズで違いがあるので、以下にその違いも含めて「Z970M」シリーズを詳しくご紹介します。
Z970MとZ870Mシリーズのおおまかな違いは、映像エンジンのグレードのほか、エリアコントロールの分割数や表面加工、ミリ波レーダーを使ったセンシング技術、サウンドシステムです。いずれの内容も上位モデルである「Z970M」シリーズが上回っています。
なお、「Z870M」シリーズのサイズラインナップは55型、65型、75型の3つで、いずれもオープン価格で、発売当初の税込み実売価格価格は以下のとおりです。
4K液晶レグザ「Z870M」シリーズ
・75型「75Z870M」 約550,000円 4月21日発売
・65型「65Z870M」 約418,000円 同上
・55型「55Z870M」 約308,000円 同上
以上のように「Z970」シリーズと「Z870M」シリーズはサイズラインナップがいずれも65型と75型を有している一方、85型は「Z970」シリーズのみ、55型は「Z870M」シリーズのみのラインナップとなっています。
(再掲)4K液晶レグザ「Z970M」シリーズ
・85型「85Z970M」 約935,000円 4月21日発売
・75型「75Z970M」 約770,000円 同上
・65型「65Z970M」 約528,000円 同上
いずれのシリーズも新開発のミニLED液晶パネルモジュールを採用。高密度に配置した高輝度ミニLEDバックライトと広色域量子ドットを搭載し、高いコントラストで色鮮やかな高画質を実現したとしています。
ミニLEDのエリアコントロールは、「Z970M」シリーズでは「65Z875L」(2022年モデル)比で約10倍を実現。「Z870M」シリーズでも「65Z875L」(2022年モデル)比で約3倍となっていますが、「Z970M」シリーズは「Z870M」シリーズと比べても3倍ほどとなっており、「Z970M」シリーズのエリアコントロールの緻密さが光ります。
「Z970M」シリーズのみ画面反射を抑え、高コントラストと鮮やかな色彩を再現する新開発の低反射AR(アンチリフレクション)コート、斜めから見ても、彩度や明るさが失われにくく、鮮やかな映像を再現するという広視野角ワイドアングルシートを採用。「Z870M」シリーズよりも高画質になっています。
なお、広視野角ワイドアングルシートの採用は、レグザ初となっています。
「Z970M」シリーズの映像エンジンは、2022年モデルより進化した2023年版「レグザエンジンZRα」を採用。
エンジン内に、ディープニューラルネットワーク(ディープラーニング)=DNN機能を内蔵し、映像信号の処理・回析の精度を向上させ、精細感や質感のアップ、ノイズ低減などをより一層進めているというのがポイント。
ディープニューラルネットワークを駆使したハードウェアAIエンジンで、映像解析を高度化するため、高ビット精度の信号処理と最新の超解像技術を導入しています。
“ZRα”そのものの名称は2022年モデルの「Z875L」シリーズと変わりませんが、最新のアルゴリズムを使用してアップデート。内容的には“ZRα II”になっているとしています。
新しい超解像技術「AIナチュラルフォーカステクノロジー(立体感復元超解像技術)」
美肌AIフェイストーンZRα
ネット動画AIビューティZRα
地デジAIビューティZRα
といった高精度な回路で高画質化を図っています。
「Z870M」シリーズでは2023年版「レグザエンジンZR」(「レグザエンジンZRII」の改良版)
を搭載。映像エンジンのグレードにも差があります。
美肌AIフェイストーンZR
ネット動画AIビューティZR
地デジAIビューティZR
「Z970M」シリーズのみユーザーが視聴する距離に合わせて、テレビが最適な画質・および音質に自動調整する「ミリ波レーダー高画質」機能と「ミリ波レーダー高音質」を搭載。
「ミリ波レーダー高画質」と「ミリ波レーダー高音質」は、REGZAテレビ2023年モデルの上位クラスに搭載された新機能。物体とのおおよその距離が判定できる「ミリ波レーダー」を利用し、視聴者とテレビの位置に合わせて、映像と音の質を自動で最適化してくれます。
ミリ波レーダーは通常、自動運転車や安全確保のために使用されることが多い技術ですが、REGZAでは、この技術を映像・音声処理に応用することで、よりリアルな視聴体験を実現しようとしています。
「ミリ波レーダー高画質」は「ミリ波レーダー」を利用して、テレビに最も近い物体(人物)を検出することで、映像の明るさや色温度調整に加え、精細感とノイズ抑制も自動で調整。視聴者がテレビに近い位置で観ている場合には、ノイズ抑制を強めて自然な映像を実現し、テレビから離れた位置で観ている場合には、映像の精細感を高めてメリハリのある映像を再現します。
「ミリ波レーダー高音質」は、テレビスピーカーから出力される音を左右で調整することで、視聴位置に合わせて定位を最適化する機能です。テレビ画面の真ん中付近で視聴しても、真ん中からずれた位置で視聴しても、適切なステレオバランスを保った音で聴こえます。
視聴者が複数人の場合は、テレビに最も近いユーザーを基準に調整します。なお、この機能は内蔵スピーカーのみ対応し、外付けスピーカーには対応していません。
「ミリ波レーダー高音質」技術は、テレビ画面の見え方にも影響を与えます。例えば、音声がクリアになることで、映像に合わせて音量を上げる必要がなくなり、映像と音声のバランスが良くなります。さらに、音質の向上により、映画やドラマ、音楽などのエンターテインメントコンテンツをより鮮明で臨場感あるものとして楽しめるようになります。
「Z970M」シリーズのみ、立体感復元超解像「AIナチュラルフォーカステクノロジーPRO」を搭載。
ニューラルネットワークが“構図”を推定。構図の中の被写体の顔や衣装を把握して質感や精細感を向上する事で、映像の中の“主役”がより際立つようになったとしています。
※REGZAの立体感復元超解像「AIナチュラルフォーカステクノロジー」について
「AIナチュラルフォーカステクノロジー」は、画像処理にAIを活用することで、立体感をよりリアルに表現することができるもの。
具体的には、画像の奥行き情報を分析し、AIが自動的に奥行き方向の情報を補完することで、より立体感のある映像を作り出すことができます。また、従来の超解像技術では失われていた映像の詳細情報を補完することで、より鮮明でクリアな映像を再現することも可能となっています。
この技術により、リアルな立体感と高画質の映像表現を実現することができ、テレビ視聴者に、より没入感のある映像体験を提供します。
「アニメビューティPRO」は、アニメ映像の種類を識別し、映像処理技術を施すことで、アニメ映像をリアルに再現する技術。
具体的には、セルアニメやデジタルアニメなどの種類を判別し、AI解析のアニメ用顔検出によってキャラクターの顔と背景を判別し、それぞれ最適な処理を施します。人物はノイズを抑制しながらなめらかに、実写のような背景はキメ細かくリアルに再現するような画質チューニングが施されます。
また、ネット動画をはじめ、地デジなどの放送番組コンテンツにも効果を発揮することができます。
従来からゲームに適した「ゲームモード」が充実しているのがレグザの特徴でしたが、さらにパワーアップ。
3つのモード「ゲームセレクト」機能を追加。ゲーム画質に忠実な「スタンダード」、“映画モード”ライクに仕上げた「ロールプレイング」、低遅延性能と暗部視認性を高めた「シューティング」から、ゲームに応じてモードをセレクトすると、低遅延を維持したまま“高画質に”ゲームが楽しめるようになりました。
最小遅延速度は、シューティングが0.83msec、スタンダードとロールプレイングが0.93msec(1080p/120Hz、1080p/60Hz、4K/60p入力時)。
低遅延ゲームモードの「瞬速ゲームモード」などの従来からのゲームモードは引き続き搭載。
サウンド面では、いずれのシリーズも立体音響のDolby Atmosに対応。
スピーカー構成と内蔵アンプ出力に違いがあります。
「Z970M」シリーズは11基のスピーカーを出力112Wのマルチアンプで駆動するレグザ重低音立体音響システム「ZHD」を採用。トップスピーカーとサイドスピーカー、センタースピーカーにより、迫力あるイマーシブサウンドでリアルな音場を再現。パネル背面には重低音バズーカを装備。薄型テレビで再現が難しい低音再生も充実させています。なお、85型「85Z970M」のみスピーカーは10基、アンプ出力は82W。
「Z870M」シリーズは7基のスピーカーを出力60Wのマルチアンプで駆動する「レグザ重低音立体音響システムZ」を採用。メインスピーカーとトップツイーターにより「音の広がりと定位を強化」したとしています。パネル背面にはこちらも重低音バズーカも装備。
以下両シリーズに共通の内容です。
ネット接続やネット動画、ネットワーク機能などを司るOSについては、2022年モデル同様、Linuxベースのオリジナルでレグザ専用にカスタマイズしたもの。他社で採用の多いAndroid OSではありません。これはAndroid OSの動作が不安定だとか、操作後の反応が遅いなどの弱点を考慮したうえで、より快適な操作感を重視した結果のようです。
HDMI入力は4系統で、うち入力1/2がHDMI2.1をサポート。自動的に低遅延モードに遷移するALLMのほか、4Kのハイフレームレート映像が楽しめる4K120p入力、映像のちらつきやカクツキを軽減するVRR、高音質音声データのHDMI伝送に対応するeARC(入力2のみ)機能を備えています。
HDMI以外の入出力端子は、4極ミニプラグのビデオ入力(映像・音声LR)、光デジタル音声出力、ヘッドフォン出力、LANを各1系統用意。USB端子は4系統で、タイムシフトマシン専用×2、通常録画専用×1、汎用×1。
HDMI入力対応のスペックとも関連しますが、両シリーズとも4K120p入力/VRR/ALLM/eARCに対応し、最新スペックのPS5やPCゲームに対応しています。
4K/120P入力もVRRも約0.83m secの低遅延でプレイできる「瞬速ゲームモード」、ゲーム機に適切な設定にALLM、VRRなどの項目を自動調整する「オートゲームアジャスト」、対応グラフィック・カードとの接続時に低遅延かつ、ティアリングのないスムーズなゲームプレイが可能な「AMD FreeSync Premium対応」など、従来からの優れたゲームモードを備えています。
視聴可能なネット動画は、Netflix、Prime Video、Disney+、YouTube、Net-VISION、TVer、SPOOX、Paravi、DMM.com、Rakuten TV、dTV、ABEMA、U-NEXT、Hulu、NHKプラス、WOWOWオンデマンド、DAZN。
主要なネット動画サービスは網羅しています。
ネット動画サービスは従来から主要なものはカバーしていますが、2022年モデルでは非対応だったDAZNに対応しました。
搭載チューナーは、地上×9(タイムシフトマシン含む)、BS/110度CS×3、BS/CS 4K×2。別売のUSB HDDを使って、地上/BS/CSの2番組同時録画や4K放送の裏番組録画が行なえ、放送済みの番組をさかのぼって見られる全録機能「タイムシフトマシン」も引き続き搭載。
「過去番組表」やテレビ起動時やチャンネル選局時に気になる番組を見つけてもボタン1つでオープニングから視聴できる「はじめにジャンプ」、ジャンル別リストから見たい番組をすぐに再生できる「ざんまいスマートアクセス」、見たいシーンにアクセスできる「シーンリスト」、2K/4K放送番組を自動録画してくれる「おまかせ録画」などの豊富な録画機能を引き続き利用できます。
全録機能「タイムシフトマシン」を引き続き搭載していますが、録画番組を自動で整理してくれる機能のうち「ざんまいスマートアクセス」が2022年モデルから進化。
新モデルでは、テレビ番組だけでなく、ネット動画からもユーザーの嗜好に合わせたコンテンツをレグザがピックアップ。タグを切り替えるだけで、テレビ番組・ネット動画を横断して、好きなジャンルやアーティスト出演のコンテンツを探すことができるようになりました。
HDR規格は、HDR10、HLG、HDR10+、HDR10+ ADAPTIVE、DOLBY VISIONに加え、DOLBY VISION IQに対応。
付属リモコンには、従来ボタン「Prime Video」「Netflix」「Disney+」「ABEMA」「YouTube」「TVer」「U-NEXT」「hulu」「Net-VISION」に加え、新たに「NHKプラス」と「WOWOWオンデマンド」が追加され、業界最多となる11個ものダイレクトボタンを搭載。
85型「85Z970M」と75型「75Z870M」を除くモデルでは、回転スタンドを採用し、見やすい角度にテレビを簡単に調節できます。
【Z970Mシリーズ:スタンドを含めた外形寸法と重量】
・85Z970M:190.6×44.1×112.9cm(幅×奥行き×高さ) 56.0kg
・75Z970M:167.8×35.4×100.8cm(同) 50.5kg
・65Z970M:145.5×29.6×88.1cm(同) 39.0kg
【Z870Mシリーズ:スタンドを含めた外形寸法と重量】
・75Z870M:167.4×35.0×100.6cm(幅×奥行き×高さ) 47kg
・65Z870M:145.2×28.2×88.1cm(同) 32.5kg
・55Z870M:123.3×28.2×76.3cm(同) 25.0kg
両シリーズを比較すると、Z870Mシリーズの内容が基本で、Z970LシリーズはZ870Mには採用していない高画質化機能が数々加わっているといったところ。また、内蔵スピーカーにも差があります。
画質・音質をより追求したZ970シリーズはたしかにZ870Mシリーズとは差があるでしょう。それが同一サイズで10万円以上のものかは個人の主観によるかもしれません。
いずれにしても、両シリーズはミニLEDバックライトと広色域量子ドットパネルを搭載した高品位な4K液晶テレビです。
この条件下で、予算を抑えるよりも画質を追求したい方がZ875Lを選ぶべきでしょうし、REGZA初のミニLEDバックライトと広色域量子ドットパネルを搭載した4K液晶テレビをできるだけ安く楽しみたいというのならZ870Lとなるでしょう。
画面サイズで言えば大型の85型が欲しければ「Z970L」シリーズでしょうし、55型が欲しければ「Z870L」シリーズとなるでしょう。