米国サンフランシスコで開催されたイベント Galaxy Unpacked 2020において、韓国のSamsung(サムスン)は、完全ワイヤレスイヤホンの新モデル・「Galaxy Buds+」を発表しました。米国では2月14日より、149ドルにて発売されます。
2019年春に米国で129.99ドルで発売された、「Galaxy Buds」の後継機。バッテリー駆動時間が大幅に伸びるなどの改良が施されています。
「Galaxy Buds」単体で最大6時間、充電ケース併用で最大13時間だった再生時間を、「Galaxy Buds+」ではイヤホン単体で最大11時間、充電ケース併用で最大22時間と、バッテリー駆動時間が80%以上伸びています。イヤホン本体のバッテリー容量は58mAhから85mAhに増えていることと、新世代のBluetoothチップによる一層の省電力化によるものと思われます。
急速充電については、「Galaxy Buds」が15分の充電で1.7時間の再生が行えたところ、「Galaxy Buds+」では3分充電で1時間再生と、時間がない時の使い勝手がさらに向上しています。
充電ケースはいずれもワイヤレス充電に対応。 Qi規格の充電パッドのほか、Galaxy S20などワイヤレスパワーシェア対応のスマホと重ねて持つだけで充電できます。
イヤホンの基本性能としては、従来はダイナミック式シングルドライバー構成と特に変哲のないものだったのが、Buds+はダイナミック型のデュアルドライバーと大胆に進化。聴感上のワイドレンジ化や音の情報量の高まりといった高音質化が期待できます。
サムスングループとなった老舗イヤホン/ヘッドホンブランドであるAKGによるサウンドチューニングは従来から継承されています。AKGは小型筐体イヤホンのチューニングに定評がありますから、完全ワイヤレスイヤホンのような、筐体内の容積が限られているイヤホンではとくにそのチューニング力を発揮できるように思います。
Galaxyスマホ用のヘッドセットとしての使用も想定されていますから、通話品質も重要です。「Galaxy Buds」では左右イヤホンそれぞれの内側/外側に配置した2基のマイクで声をクリアに集音していましたが、マイクも外側に2つ、内側に1つの3マイク構成に強化され、いっそうクリアな通話ができるように配慮されています。
「Ambient Soundモード」と称しているいわゆる外音取り込み機能も3マイク構成により、いっそうクリアに音が聴こえるように改善されています。
スマートフォンやタブレットの近くで充電ケースを開くと、自動的にペアリングのポップアップを表示し、デバイス同士の接続移行もスムーズに行えるといった便利な機能はそのままのようです。
ワンプッシュでSpotifyを呼び出し、お気に入りの曲やポッドキャスト再生ができる機能を「Galaxy Buds+」では搭載しています。
仕様は Bluetooth 5.0、コーデックは基本のSBC、AAC、サムスン独自のScalableに対応。これはいずれも同じ。
サムスンの音声認識技術「Bixby」と統合されており、スマートフォンを操作することなくBixbyを呼び出せる機能も同じようです。
完全ワイヤレスイヤホンでは珍しい、サムスン独自の機能をいくつか搭載しているのも特徴と言えましょう。
人間工学に基づいて設計されたウイングチップとイヤーチップを組み合わせることで、あらゆるユーザーの耳にフィットするとしている形状は、ほとんど同じ。
ただし、イヤホンの重量は、片方5.6gから6.3gとごく僅かに重くなってはいます。ケースの重量は39.6gで同じ。ケース込みのポータビリティーはほとんど同じでしょう。装着感はわずかに変わっている可能性はあります。
カラーは「Galaxy Buds」がブラック、ホワイト、イエローの3色、「Galaxy Buds+」がホワイト、ブルー、ブラックの3色とカラバリは変化しています。
完全ワイヤレスイヤホン市場は、アップルの1強状態で、大きく遅れてソニーが追っている状況。アップルもソニーも、アクティブノイズキャンセリング機能を搭載しており、いずれも強力なのも特徴です。
2強に挑むために、他社はこぞってアクティブノイズキャンセリング機能を搭載した完全ワイヤレスイヤホンを投入しています。そんな中でもサムスンは、従来型のモデルでした。
正直、幅広いコーデックに対応しているわけでもなく、強力な防水があるわけでもないなど、突出したと特徴は見られません。イコライザーアプリも用意されてはいないようです。Galaxyのオプションとして機能すればよい、という余裕の表れなのかもしれません。まずは日本国内発表を待ちたいところです(完全ワイヤレスイヤホン+Samsung)。